第六章 異世界転生、どうしたものか
短編、これを広めてください（日本の将来のため）。要旨だけです。
読まれてない方は読んでください。これを広めるために書いている小説です。
亀の甲は、王宮の衛兵たちに囲まれ、尋問を受けていた。
「貴様、何者だ？ここで何をしている？」
兵士隊長が鋭い眼光で亀の甲を睨んだ。亀の甲は両手を上げ、枯れた声で答えた。
「年寄りをいたわる心が、おぬしらには無いのか？」
「いたわるだと？ここは立ち入り禁止だ、老いぼれ！」
隊長の号令とともに、兵士たちが一斉に亀の甲を取り囲んだ。
「若い者は人の話を聞かんのだな」
亀の甲は冷静に、しかし大声で叫んだ。
「我は神から遣わされた者だ！」
その声に兵士たちは一瞬、戸惑い顔を見合わせた。
「神の使いだと？また、頭のおかしいじじいか」
兵士の一人が嘲笑しながら言った。亀の甲はさらに声を荒げた。
「触るでない！そなたは世界を壊すのか！」
「世界が壊れる？何を言ってるんだ、このじじいは？」
兵士たちは困惑しながらも、亀の甲を警戒した。亀の甲は落ち着いた口調で言った。
「おぬしらに、我が神の使いであることを証明しようか。どこか高い場所に連れて行け。触れれば、この世界が壊れることを忘れるでないぞ」
剣を構えた兵士たちが警戒しながら取り囲む中、亀の甲は平然としていた。心の中では、「ここで死んでも、それもまた一つの運命だ」と思っていた。
その時、隊長が一歩前に進み出た。
「こちらへ来い」
隊長は部下たちに「嘘なら八つ裂きだ」と告げ、亀の甲を警戒用の高い塔へと連れて行った。
「さあ、神の使いだと証明してみせろ」
隊長は亀の甲に詰め寄った。亀の甲はゆっくりと塔の上から海を眺め、言った。
「若い者はせっかちだな。心を落ち着けて、海の果てを見てみろ」
兵士たちは何かが現れるのを期待して、海を見つめた。しかし、そこには何も見当たらなかった。
「見たが、何も無いぞ」
兵士の一人が不満げに言った。亀の甲は静かに答えた。
「端から端までよく見てみろ。海が少し、円を描いているのが分かるか？」
兵士たちは指示通りに海を見た。そして、確かに海がわずかに円を描いていることに気づいた。
「本当だ…少し、丸くなっている…」
兵士たちは驚いた様子で言った。亀の甲は続けた。
「おぬしらは知らぬだろうが、大地も海も平坦ではない。丸い球体なのだ。夜に見える月のように、丸いのじゃ」
「丸い？馬鹿な！丸ければ落ちてしまうだろう。やはり、頭の悪いじじいだ」
兵士の一人が嘲笑した。亀の甲は声を荒げた。
「触るでない！触ると神の加護が無くなり、地は落ちるぞ！おぬしらも、海が円を描いていることを理解したじゃろ？」
「この世には重力があって、物は下に落ちる。おぬしらは空気中の酸素で生きている。雲は太陽で温められた水蒸気だ。雷は水蒸気が摩擦で電気を帯びることによって起きる。おぬしらの体はDNAと細胞でできておる。E=mc²、質量とエネルギーの等価性。もしもその石を使えば、王都は一瞬で消し飛ぶぞ。おぬしらの頭では理解できまい。我は王に会うために遣わされた者なのだ」
亀の甲は、言葉の洪水のように難解な知識を並べ立てた。兵士たちはその言葉に混乱し、戸惑っていた。だが亀の甲は疑いを持つことなく、平然としていた。
「何をしている！早くしないと、この世は消し飛ぶぞ！神の最後の救いが我だぞ！」
亀の甲が怒鳴ると、隊長は観念したように言った。
「分かりました。王宮へお連れします」
隊長は部下たちに亀の甲を連れて行くように指示した。亀の甲は満足げに頷き、兵士たちに連れられて塔を降りていった。
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