第十章 異世界転生、次は「己を知り」じゃ
日本を豊かな国にする方法論も別途書いてますので、よければお読みください。
亀の甲は、翌日から町の人々に話を聞いて回った。まず出会ったのは、畑仕事に汗を流す男性だった。
「おじさん、毎日大変じゃな」
「ああ、まあ、お天道様の下で汗を流すのは気持ちがいいもんだ。それに、お国のためになるなら、頑張るしかないからな」
別の男性も、同じようなことを言った。
「大変だけど、これも国の為だ。文句なんて言ってられないよ」
三人目の男性も、笑顔で言った。
「俺たちの働きが、国を支えているんだ。誇りを持って働いているよ」
誰に聞いても、大きな不満はなく、皆、日々の生活に勤しんでいた。
楽をすることを信条とする亀の甲にとって、骨身を惜しまぬ村人の姿は理解を超えていた。
農作業中の女性も、食事の準備中の女性も、皆、気さくに話に応じてくれた。
「奥さん、毎日大変じゃな」
「ええ、まあ。でも、こうして食べさせてもらっているんだから、文句なんて言えませんよ。ただ、兵役に行かされると聞いたときは、一日中泣いてしまうんです」
別の女性も、涙目で言った。
「私たちにできることは何もないんです。ただ、家族が無事に帰ってくるのを祈るだけです」
三人目の女性は、寂しそうに言った。
「せめて、子供たちだけでも幸せに暮らせるように、頑張るしかないんです」
子供たちは、目を輝かせて言った。
「大きくなったら、お父さんやお母さん、王様のために立派な大人になるんだ!」
多くの人々が、「お国のため」「王様のため」という言葉を口にした。しかし、稀にではあるが、今の生活に疑問を持つ人もいた。
「正直、毎日が苦しいです。でも、どうすることもできないんです」
亀の甲は、人々の話を聞き、論理的に思考した結果、疑問を持つ人々が兵役に招集されていることに気が付いた。
(この国に生まれていたら、真っ先に兵役に行かされていたのだろうかと、ひやりと背筋に渇き汗を感じた)
亀の甲は呟いた。
「善人が損をする典型じゃな。心根が正しいのは良いことじゃが、行き過ぎると悪になる。過ぎたるは猶及ばざるが如し、じゃ」
「この老体で何ができるか分からないが、レオンの将来のために頑張ってみるか」と、亀の甲は久しぶりにやる気になった。
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