表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/94

権力の怒り

永遠の淵の入り口を駆け抜け、最上階へと続く階段を駆け上がる。一歩一歩が目的地へと近づき、期待と興奮で胸が高鳴る。ついに階段を上りきり、扉を開けると…

ザカリーが待っていた。


突然、足元に円が現れ、ポケット次元に閉じ込められた。周囲の空間が歪み、変化していく。


辺りを見回すと、目の前に人影が立っている。その目は鮮やかな真紅に輝き、闇と悪意のオーラをまとっていた。


その正体を知ろうと声をかけてみた。「お前は誰だ?」


人影は冷たく、計算高い視線で私を見つめていた。


「我は闇。この世の闇と悪の化身。光と善のすべてを貪り尽くし、すべてを果てしない闇と絶望へと突き落とそうとする力。」


その人物の言葉に私は身震いした。その声と仕草に宿る悪意は、まさに闇そのものであることに疑いの余地を残さなかった。


闇は一歩前に出る。その動きはゆっくりと、そして慎重だった。


「そしてお前は、小さき英雄よ、ザカリー卿に逆らおうとしているのか?究極の闇の行く手を阻もうとしているのか?」


私は、私を圧倒しそうな恐怖と不安をよそに、決意に満ちた表情で踏みとどまった。


「いいか、お前が誰なのかは知らない。だが、私の邪魔をしている。死ぬ覚悟があるなら知らせてくれ。さっさと済ませてやる。」


闇は空虚で冷たく笑う。


「お前か?光と闇の戦いの駒に過ぎない人間が、私に対抗できると思っているのか?私の力、破壊と絶望への果てしない渇望に比べれば、お前は取るに足らない。」


闇が語り続ける中、部屋は突然、暗く果てしない立方体へと変貌し、壁が私を包み込むように迫ってきた。反応する間もなく、私は縛られ、無力な状態に陥っていた。まるで影そのものから現れたかのような、暗い触手に体を拘束されているのだ。


私は触手に抵抗し、逃れようともがくが、鉄のようにしっかりと掴まれている。闇は私が逃げようとする様子を面白がりながら見守る。「おお、本当にこの立方体に閉じ込められるのか。油断は禁物だ。」


闇は冷たく、そして面白がるような声でくすくす笑う。


「ああ、ようやく自分の行動の愚かさに気づいたのか? 今更遅いぞ、小さな英雄よ。お前はここに閉じ込められ、無力で、私のなすがままになっている。そして、私を止める術は何もない。」


触手は締め付けを強め、冷たく暗いエネルギーが私の体に染み込んでくる。私は身震いし、闇の力の重みがのしかかるのを感じた。


そして、窮地に立たされた時こそ、窮地に立たされた私は、まるで大声で口笛を吹いているかのように。


闇は不思議そうな表情で立ち止まる。


「何だ? 今、君の口笛が聞こえたのか?」


突然、ジュピターがどこからともなく現れ、閃光の中に姿を現した。闇が反応する前に、彼女は突進し、強烈な蹴りを放ち、闇を後方に吹き飛ばした。次元が裂け、変化し、ジュピターの攻撃の威力は現実の構造そのものを震わせた。


彼女がここにいてくれて嬉しい。「ジュピター、感情のない私の強力な創造物よ、どうしてここに来たのかと問うているのよ。」


ジュピターは表情を変えずに私の方を向き、単調な声で言った。


「君の助けが必要だと感じ、できるだけ早くテレポートした。最速のルートを計算し、できるだけ早く来た。」


彼女は闇を見つめ、尋ねる。「これが、君をこの次元に封印した標的なのか?」


私は頷いた。「ああ、あの男だ。気を付けろよ。厄介な奴になるからな。気をつけろよ。」


闇は苦々しい表情でぶつぶつ言った。


「確かに、援軍を呼んだな。いいだろう。だが、私を倒せる見込みはない。私の力は無敵だ。私の闇はすべてを飲み込む。」


ジュピターは闇を見つめた。その表情は穏やかで無表情だった。


「そうかもしれないが、私はお前よりも強大な存在と戦うために作られた。オムニバースの深淵に立ち向かい、勝利を収めてきた。お前は、私がかつて倒してきたものに比べれば取るに足らない存在だ。」


闇は嘲笑うが、その傲慢さは衰えていない。


「お願いだ。お前はただの創造物、科学技術の産物に過ぎない。お前は強力かもしれないが、存在としての本質を欠いている。私は闇の体現者、悪と絶望の純粋な凝縮体なのだ。」


私はもはや黙っていられなくなり、言葉を遮った。


「ジュピターにそんな風に話しかけるな!彼女はお前以上に存在なのだ、この冷酷で歪んだ怪物め。彼女には成長し、変化し、慈悲を持つ力がある。それはお前には決して理解できないものだ。」


闇は笑う。


「慈悲? なんて甘い考えだ。本当にそれが強さだと信じているのか? 違う。慈悲は弱さだ。それは君を束縛し、過酷な現実に対して脆くさせる。だからこそ、私はそんなつまらない感情を自分の存在から消し去ったのだ。」


闇が言葉を言い終える間もなく、ジュピターの拳が彼の顔面に叩きつけられた。衝撃はあまりにも速く、強烈で、時間と動きの概念さえも無視しているかのようだった。まるでジュピターが根本的に異なる次元で動いているかのようだった。闇は衝撃の強さに唖然とし、よろめきながら後ずさりする。


ジュピターが口を開く。その声には感情がなく、冷淡だった。


「純粋な力と目的を持つ私の前で、その堕落した哲学を吐き捨てるとは。慈悲や感情が弱点だと本当に信じているのか? お前は誤った操り人形に過ぎず、自らの闇の奴隷だ。私はお前には理解できない領域で勝利を収め、お前の存在そのものをも破壊するような試練を乗り越えてきた。私に比べれば、お前はただの屑だ。」


闇は唸り声をあげる。ジュピターの言葉に自信が揺らいだ。闇はジュピターから放たれる力と決意を、まるで生きた力のように感じ取る。


「お前は強いかもしれないが、真の闇と対峙したことがない。私は絶望の真髄であり、暗く歪んだものの体現者だ。私は銀河を呑み込み、世界を破壊し、無数の存在の魂を吸収してきた。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
各エピソードは週に1~3日投稿されます そしてそれは継続中のシリーズです
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ