人生初の対人戦は異世界の中で!
シドウ達が教室を出てすぐのこと。
「あなた、なんなの?どうしてこの学校を襲うのよ。」
「んふふふ?質問なんかしちゃって。俺っちの事が好きなのかにゃぁ~?にゃんにゃん。」
後ろからアリシアの首に右腕をかけて、軽く首を絞めて、左手で猫のポーズをしてそういうビルキン。
「っ!気持ち悪い。」
アリシアが羽を出そうとした瞬間。
ビュン!
白い光線がアリシアの足元に降ってきた。
そして、床からはジュゥゥゥ。と、やける音と、小さな穴が空いていた。
「あのさぁ。俺っちの能力って、使ったら特定の体の部分が熱くなるのよ。だから、余計なこと言うんじゃねぇよ。ひ・と・じ・ち・ちゃ・ん。」
さっきまでニヤニヤしていたビルキンの目は曇っていた。
アリシアが怒らせてはいけない相手を挑発してしまったことに気づき、冷や汗をかいたとき、
「ふぅ~。スッキリした~。」
トイレから帰ってきたフレイが教室に現れた。
そして、フレイとビルキンが目を合わせる。
「「誰だよお前?」」
お互いがキョトーンとする中、フレイは、ビルキンに後ろから軽く首を絞められているアリシアと目が合った。
・・・おいいぃぃ!!何でアリシアの首絞めてるんだよこの人!え?これどういう状況?
ここは異世界だからなにかの授業の一環なのかもしれない。
「あのー。クラスのみんなは?後、この状況は何でしょうか?」
「フレイ!このビルキンって言うやつが急に学校を襲ってきて、クラスのみんなをグラウンドに移動させたの。あなたも逃げて!」
「へへっ。そうですぞぉ~。逃げろ逃げろぉぉ~。」
「こんな気持ち悪いやつ。私一人でもどうにかなるから。」
アリシアが寂しそうな笑顔を見せた瞬間
「この小娘ぇぇ!」
ビルキンは首を絞めていた右腕を外し、アリシアの首にチョップする。
そして、アリシアはバタッ。と音を立てて地面に一瞬で倒れた。
それを見た瞬間、僕はビルキンに向かって走り出していた。
戦闘開始!!
「なんだよお前ぇぇぇぇ!!!」
「んふふふ!俺っちビルキンだにょ~ん。」
僕とビルキンの拳が衝突する。
しかし、
「んんんん。ヒャッホーーう!」
「ぐあっ!」
身長に差があり、ビルキンの拳に押し負けて床に叩きつけられた。
「にょん!にゅん!へいいい!」
ビルキンは倒れた僕の頭を踏む為に、奇声を上げながら右足を大袈裟に上げては下げるを繰り返している。
それを避ける為に僕は後ろに転がって行き、立ち上がった。
「俺っちは大人で、君は子供だろ?この戦いに負けてもしょうがないんじゃなーいの?」
「・・・」
「体格差もあるし多分経験も俺っちの方が多いよね?どうして逃げないのさ?」
「女の子を殴った野郎を見過ごせるわけねぇだろ!」
そして5秒程の沈黙。
「ははっ。・・・女の子を殴った。これは事実だごめんなさい。」
ビルキンは頭を下げた。
「でもね。こっちも仕事なんだ。この後のことは謝らないぞ?」
ビルキンの目が少し鋭くなり、さっきよりも空気が重たくなった。
「ウォーター!」
「ごくごく。おいしーーー!」
僕が手から出した水がビルキンの顔面に当たるが、ダメージと言うより、喉を潤してむしろ回復に近いようだ。
「ああ!?これは攻撃魔法だろ?」
「いやね?俺っちクラスの魔法の使い手になると、こんなのただの水なのよ。まぁ君は魔法を学んで浅そうだし頑張ってちょ!はい、ばいちゃ!」
「うお!」
ビルキンが僕に向かって右手を前に出すと、その5本の指から白い光線が出てきた。
僕はそれに驚き咄嗟に大きく右へジャンプする。
「あちちちっ。きょぇぇぇ。流石に5本同時はあちぃでござんすなぁ?」
あれがビルキンの能力か?
「・・・」
「なんだよ。」
「ビルキンさんの能力ってどんな能力?」
「敵に自分の手の内をあっさり明かすバカがどこにいるんだよぉ?坊ちゃん!俺様の能力が体のどこからでもビームが出せるって事を教えるわけねぇよ!ねぇ、アリシアちゅわぁぁぁん?」
そう言ってビルキンは倒れているアリシアの頭をなでなでした。
なるほど。ビルキンは頭が悪いことに気づいた。
だが、やっぱりこの能力も強い!
「ほらほら!逃げてばっかじゃ俺っちつまんないよぉ!俺っちが強いのはしょうがないけどさ~。にーげーるーなーよぉ。」し
「うおっ!ひぇ~。危ない!」
僕はビルキンが出すビームから逃げるため、教室を走り回るのが精一杯だった。
ビルキンは、膝や手、腹などから、何の前触れも、無しに自分の服の内側から高速のビームを出すのだ。もちろん僕は適当に走り回っている。
そして、しばらく逃げ回っていると。
「げっ、もうこんな時間じゃん!早く帰らなきゃボスに怒られちゃうわ!ビルキン、ここでこの男の子を倒しちゃうんだからね!」
ビルキンは急にそう言って両手を前に出して、力を貯め始めた。ビルキンの両手には光の光線の塊。
どうしよう。今までステラファイアーを使ったら必ず力尽きてるし、中途半端な形で終わってばっかりだ。
ここでビルキンを倒しきれなかったらアリシアがさらに危険だ。
相打ち覚悟でやるしか、ないよな。
僕は右手を前に出して構えた。
「うぉぉぉぉぉぉ!」
「ひゃは!さっきまでとはまるで別の雰囲気を感じるよ少年!ん?この雰囲気、いや、ボスは女って言ってたし。まぁ、倒せば問題ないか!」
ビルキンが何かブツブツ言っていたがそんなのは気にしない。
「力を貸してください!ステラファイアーーー!!!」
「大人が子供に勝てないってのを教えてやるよクソガキィィ!スナイプフィニッシャー!」
ステラファイアーと、凝縮された光のビームがぶつかる。
「うお!なんで、なんで俺っちの最強必殺技が食われてるんだ?火が、火がこっちにくる!」
僕が出した火が段々とビームに着火していき、次第にはビルキンの両腕に火がついた。
「あっぢゃゃゃぁぁぁ!!」
はは。これであいつも気絶、する、だ、ろ。
ここで僕は意識を失い、倒れた。
「太郎くん!太郎くん!」
「は、はい!ステラ様!」
目をカッと開きながら僕の肩をグラグラ揺らすステラ。
それで僕は意識が戻り、安心したのもつかの間。
ステラはこれを見て。と言ってからスクリーンを指さした。
「は?急に火が着いたと思ったら急に消えやがって。普通にあちぃしよぉ?」
真顔のまま倒れている僕を見下ろしているビルキンの姿が映っていた。
手は少し焦げている。
「おい!お前さぁ!な、ん、で、そんなに危ない能力もってんの?なに?魔法じゃ俺っちに敵わないのにさ、それは効いたんだよねぇぇぇ!もしかしてそれって実力差とか関係ない力?」
ビルキンは僕の背中をげしげし蹴っている。
「え、 どうしようあいつ僕の体をげしげし蹴りまくってるよ。ステラ様。僕はあいつを倒しきれてなかったんですか?」
「はい。先に太郎くんがチートスキルの代償で倒れちゃいましたから。」
ステラは悲しそうに目をつぶってそう言った。
2人が落ち込んでいると
「もういいや、お前、イライラするから、今度こそ、ばいちゃ。」
「うわお!どどどど、どうしようステラ様!あいつ僕の頭に向かってビーム撃とうとしてますよ。僕今度こそ消えちゃう!」
「そんな。早く、早くフレイ君が回復すれば!まだ諦めないで!太郎くん。」
「もちろんですよぉぉぉ!!」
2人であたふたしていると今度はバゴーーーン!という音が聞こえた。
「「え?」」
スクリーンからビルキンの姿が見えない。
その代わり、赤色の長髪を括っている男性が現れた。
「おい、お前誰の弟に手を出したか分かってんのか?」
「「フィ、フィルムゥゥゥ!!」」
フィルムが黒板に向かってビルキンを蹴り飛ばしてくれたようだ。
ビルキンは黒板にめり込み、黒板には人型の穴が出来た。
そして、ビルキンは黒板から出てくる。
「いっだぁぁぁい!!痛いよーん。いい所だったのに邪魔をするなぁ!もう、誰の弟か?そんなの、・・・はい!?おま。おま、お前さんは、フィ、フィルムファレイス?」
「そうだよ。」
「うがぁぁぁ!何でラスボスがくるんだよぉ!ほんとに!こんな奴が俺っちと戦いに来るなんてさぁ。軽く言って反則でしょ!まぁ、倒せばあとは楽だけどね。にぇぇぇぇい!!」
ビルキンは奇声を上げながら体の至る所から同時にビームを出し始めた。
「あつい!あつい!でも、ここで死ぬくらいならこんな熱いの我慢出来るもん!俺っち偉すぎるぅぅぅ!!」
「当たらなかったら意味ないけどな。」
「ぬぅ!?うぎょぇぇぇえい!!」
フィルムはビームを軽々と避けてビルキンに近づき、顔に向けて拳を出して殴り飛ばした。
ズザザザザザー。と音を立ててビルキンは地面を滑っていく。
「ほえ~。ステラ様。こんなの勝ち確定じゃないですか。」
「よかった。」
ステラは膝を崩し、その場にぺたんと座った。
今、あっちはビルキンが奇声を上げながらフィルムに飛びかかっているが一度も攻撃があたらず、逆にビルキンが攻撃を食らっているという状況だ。
それを見るとステラは少し落ち着いたのか、立ち上がり僕に話しかけた。
「いきなりですが、チートスキルのコントロールの仕方を教えます。」
「え、チートスキルってコントロールできるんですか?今までは凄く強い火を出して意識を失ったら能力解除という仕様だと思っていたんですけど。」
「ん~。私が今から教えることが出来ても、体に負担をかけて意識を失う可能性は大いにあるから、それだけは忘れないでね。」
そう言ってステラは僕にチートスキルのコントロール方法を教えた。
「まず、この能力の代償は、太郎くんの意識です。意識=魔力と考えてね。」
ふむふむ。
「ここが重要なんだけど、今まで太郎くんが能力を使ったら倒れていた理由は、いつも土壇場で使っているから、テンションも上がって、余計に意識を使って、より強い火を出しちゃったからなのです!」
ほほーう。
「では、1度冷静になってステラファイアーをしてみろということですか?」
「そうです。冷静になることで、失う意識が少ないから戦闘を継続できます。火の見た目が小さくなるので、燃やし尽くせるスピードは遅くなりますが、発射速度は確実に今までよりも早くなるでしょう。」
なるほど。場によって変えたら良いね。
ステラが僕にチートのコントロール方法を教えた一方スクリーンでは
「はぁ・・・はぁ。もうやだ!」
「早く来いよ。返り討ちにしてやるから。」
「ひぃぃぃぃ!!!」
怒っているフィルムにボコボコにされているビルキンが映っていた。
「ぐぬぬぬぬぬ!!こうなったら悪役らしく逃げちゃうもん!行くよアリシアちゃん!」
「おい、まてよ。」
ビルキンがアリシアをおんぶしたことでフィルムは迂闊に手を出せなくなる。
「ばいちゃ!」
ビルキンが地面にビームを撃つ事で煙がおこる。
「クソが!」
フィルムが煙をはらった頃にはもう遅かった。
「まずい。早く追いかけねぇと。」
」
「太郎くん!復活の準備は完了ですよ!」
ステラは自信があるようにピースをした。
しかし、
「ステラ様、どうしましょう。1度冷静になると怖くなってきちゃった。」
僕は怖くなって、地面に三角座りしていた。
さっきまでは怒りで飛び出していたから何も思わなかったが、対人戦で命を狙われるのは初めてだ。
ステラは腰を下ろして僕を見るなり口を開いた
「太郎くん。怖い気持ちは分かります。しかし、太郎くんが起きないとフィルムさんはビルキンを追いかけられません。それに、考えてみてください。」
「?」
「太郎くんは負けたままでいいんですか?」
「・・・」
「一応、お、女の子を賭けて戦ったんですよね。ここで勝たなきゃ一生の恥に」
「なりますよね!そんなのは嫌だ!今の怖いよりも未来の怖いの方が怖い!」
「ということは太郎くん。」
「ええ!斎藤太郎、現在フレイ・ファレイス。リベンジマッチです!」
「うん!信じてるから!」
ステラの満面の笑顔を見て僕は異世界に戻った。
「は!」
「お、起きたかフレイすまないけど俺はここを出なきゃいけない。」
「僕も連れて行ってくれ!」
「・・・相手は強いぞ?」
「リベンジマッチだよ!お兄ちゃん!」
「お兄ちゃんって言われるのって良いなぁ。」
フィルムはそう呟くと少し考える仕草をして、
「分かった!リベンジマッチ何だったら俺は手を出さないからな?」
「うん!」
「よし、そうと決まったら俺の背中に乗れ。弟よ。」
「おす!合体!!」
僕はフィルムにおんぶしてもらう。
「落ちないようしっかりと捕まっててくれよ?」
「おうよ!」
フィルムはそう言って走り出し、教室の窓から飛び出した。
「ぬわぁぁぁぁぁぁ!!怖いいい!!」
「大丈夫だフレイ!兄ちゃんがいるからな。」
足が速すぎるフィルムに何とかしがみつきながら、走って2分ほどたち人気のない大きな野原に着いた。
そこには女の子を背負った男性の姿が。
「「ビルキンく~ん。」」
男性は足を止めるなり真っ青な顔でこちらを振り向いた。
「なっ、フィルム・ファレイスとさっきのガキ。追いつくの速すぎませんんん?」
「俺、足速いもん。」
「なっとくぅぅぅ!!」
そう叫んでからビルキンは背負っていたアリシアを後ろにあった木の所へ連れていき、気を背もたれとして寝かせ、もう一度僕たちの目の前にやってきた。
「なんの御用件でざんすか?」
「僕のリベンジマッチ。」
「え!嫌だね!俺っち君の能力怖いもん!」
ビルキンは両腕をグルグル回して駄々をごねた。
「いいからやれよ。」
「はい。」
そんな駄々もフィルムの一言でおさまる。
リベンジマッチ開始!!
「えぇい!もうちゃちゃっと終わらせちゃうもんね!くらえぇぇい。スーパーハイパーウルトラビルキンビーム!」
「ちょっ!いきなりレベルが高いよ!」
ビルキンは両手を左右に伸ばし、コマのようにその場で回り始めた。
ビルキンは両手、両膝、からビームを出している。
それを僕は低くジャンプしたり、その場を駆け回りながら避けている。
「あぢゃゃゃゃ!!!」
「!?」
「そうだ、フィルム・ファレイスとの戦いで俺っちは消耗してたんじゃんか!」
しばらくビームを出し続けていたビルキンの両手と両膝からは黒い煙と火傷のあとが出来ている。
ハッ!賢い僕は閃いた。
ビルキンはビームを出したところから煙を出したり、火傷したりしている。
もしやビルキンのビーム、使いすぎると体が焼けてしまうのでは?
初戦の僕との戦いの時は、体が万全だったから何も起こらなかった。
しかし、あのフィルムと戦ったあと、もう一度戦うとこのような変化が起きた。
・・・これ、勝ったかもしれない。
「ビルキン。僕の勝ちが確定しましたわ。」
「はい?・・・何ニヤついてるんだよクソガキィィィ!」
「えい。よっ!ほい!」
ビルキンは僕に向かって三本のビームを撃つ。しかし、それは僕には当たらなかったら。
なぜなら、僕は三本の何でも燃やし尽くせる火を出したことで、ビームは全て空中で焼き尽くされたからだ。
「もううう!なんで見えてるんだよぉぉ!この速いビームが!」
「ビームは真っ直ぐだから手の動きを見れば何となくでいけるんだよ!」
焦って足踏みをしているビルキンに対して
僕はそう言って、さっきの三本の火よりも太めで、球体の火のボールを両手から2個ずつ。合計4個作り、ビルキンの胴体に向かって軽めに投げた。
「そんなの当たらねぇよい!あちゅいい!」
ビルキンはまた両手、両膝からビームを出した。しかし、4個のボールを消した瞬間ビルキンの目の前には火の矢が!
「目からビーーーム!!うぎゃぁぁぁ!!」
ビルキンは咄嗟に両目からビームを出した!
ビルキンは目からビームを出したことに乗り、目が火傷して、その場を転がり回る!
「あつい!いでぇ!!ぐおおおお!」
転がり回っているビルキンに僕は走り出し、拳を腹に向かって当てようとするが、
「おら!そこだろガキ!」
「ぐふっ!」
逆に腹に蹴りを入れられ、吹き飛ばされてしまった。
慌てて立ち上がると、目の前には両目を閉じながら拳を構えているビルキンの姿があった。
「へへ。仮にも悪魔様んとこの中ボス四天王の俺っちがそうやすやすと負ける訳にはいかないなぁ。」
「くそがぁぁぁ!!!」
僕はもう一度ビルキンに向かって走り出した!
今度は初めとは違い、拳と拳がぶつかり合っても、どちらがが倒されるということは無かった。
あぶねぇ!これビルキンが目見えてなかったから上手く力が入れれてなかったんだよね!
ビルキンをこんな状態にできたのは、消耗させてくれたフィルムのおかげだ!
ありがとう。お兄ちゃん!
心の中でそう言いながら僕はビルキンと一旦距離を取った。
・・・もう、かっこよく戦わなくてもいいんだよね。
「ビルキン。ごめん。僕はあなたとは正々堂々と戦えない。」
「ん?え、どうゆうことかにゃぁぁ?」
「今から石を投げる!」
そう言って僕は足元に落ちている石や土をビルキンに向かって投げまくった。
ビルキンはそれを手で叩き落としたり、避けたりしているが、
「うぐ!」
ビルキンは短い呻き声を上げた。
「が、は、腹がいたい。」
「ごめん。金的。」
「くそ、がき。」
ビルキンは予想だにしなかった技を急に食らわせられ、そのまま気を失った。
「終わった。」
僕はそれを確信するとその場に座り込む。
「ん。ここは。私は学校にいたはずじゃ?」
「お。目を覚ましたのかい?」
「あなたは!え。フィルムさん!本物!」
「ええっと、キミは悪い奴に連れ去られてここに来たんだ。」
「それをフィルムさんが助けてくれたんですか?」
「いや、助けたのは俺じゃない。」
フィルムは少し離れたところに座っている僕を見た。それにつられてアリシアも僕の方を見る。
「え、まさか、フレイが助けてくれたの?」
「ハハッ。やっぱり俺の弟は最高だな。」
「はい。」
アリシアは同級生が命懸けで自分のことを助けに来てくれて感動したのだろう。目を涙目にしながらもキラキラさせている。
そしてらフィルムはというと
「じゃ、俺はこの悪者をを学校に連れて戻るし、2人が無事なことも先生に言っておくから、気をつけて家に帰るようにな。あと、弟のことをこれからもよろしくお願いします。お嬢さん。」
そう言って倒れているビルキンをロープで捕縛し、一瞬で消えた。
「フレイ~。」
「お、アリシア意識が戻ったんだね。」
「フレイ、ありがとう!」
「うお!」
僕は急に走ってきたアリシアに抱きつかれた。
へへ、命をかけて頑張った甲斐があったぜ。
「えっと、一緒に帰らない?」
「いいけど、ごめん。今僕疲れちゃって歩けそうにないや、もう少し休んでからでも良い?」
僕がそう聞くとアリシアは
「なんだ、そんなことか。それなら私が!」
「うわお!」
「さぁ、行くよ?」
羽を出して後ろから僕に抱きつき、空を飛び始めた。
「いえーーーい!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」
どうしよう!これ、女の子に抱きつかれながら空を飛ぶのは嬉しいことなはずなのに、ドラゴンに連れ去られた時よりも怖い!
アリシアは可愛いけど。
それから数十分間アリシアと空中散歩して僕は家に帰って来た。
その後、同じく家に帰ってきたフィルムにあの後の話を聞くと、ビルキン含める武装集団は日本で言う警察署的な場所に連れていかれたようだ。
学校にいたクラスメイトの生徒たちも、戦闘をしたシュタウト以外は怪我な無いらしい。
良かった良かった。
そう思い、僕はベッドに潜った。
そういえば、ビルキン、悪魔様とか、中ボス四天王とか言ってたな。悪魔?いやまさかね。
考えるのは今じゃなくてもいいし、めんどくさいので僕はとりあえず寝た。
~どこかの悪魔の城にて~
「んんんん。ビルキン遅いなぁ~道に迷ったのかなぁ?」
悪魔は自分の部屋でせんべいを食べながら部下の心配をしていた。