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異世界の転校生

「俺、けっこうかっこいい感じのこと言えたんじゃね?これで彼女いないって逆にすごくね?!」

「お前が友達でよかったよ!」

そんな会話をしてから俺と友人は別れた。

「さて、行きますかね~。」

家に戻っていく友人の背中を見届けたあと、俺はもう一度学校へ向かうために歩き出す。

すると、ギュルルル。

急に腹が痛くなってきた。

「腹が、いっ、いてぇ。と、トイ、レ」

足から力がぬけ、視界が真っ暗になり、俺はその場に倒れた。


「えーっと。なになに?あ、こういうマニュアルね。ふーん。これからはアタシが直接助言できるのかぁ~。」

「う。」

少し低めの女性の声が聞こえ、段々と意識が戻り始めた。

「やぁ!少年。元気かい?」

「ここは?あなたは誰ですか?」

目を開けると、そこにはところどころツンツンしている長い銀髪に、自信がありそうな少し鋭い目付き。歯が少し尖っている可愛いと言うよりはカッコイイ系のお姉さんがいた。

俺とそのお姉さんは椅子に座っていて、その空間には映画のスクリーンのようなものがあった。

「アタシはカトリ。一応女神だ。」

「め、女神様?」

「おいおい、そんな嫌そうな目で見ないでくれ。自分は美人だから女神だよ。って言ってるんじゃなくて、本当に女神って種族というか、仕事なんだから。」

困ったように頬を人差し指でポリポリとかくカトリ。

そんな彼女の様子と、この状況だ。信じざるおえない。

「なるほど。では、ここはどこですか?初めて来た場所だと思うんですけど、いった」

「死んだんだよ」

「え?」

カトリは真剣な顔で、俺の言葉を遮るように真っ直ぐな声でそういった。

死んだって聞こえた。誰が?・・・俺が?

「あの、死んだって言うのは?」

「佐藤悠太。君は体調不良が原因でさっき死亡してしまったんだ。」

「そんな、体調不良なんて!思い当たる節・・・ありましたわ。」

俺は急に来た原因不明の腹痛のことを思い出す。

「あの腹痛。なんで急に来たんでしょう。」

「ん?見てみるかい?」

カトリは俺のその言葉を聞いてスクリーンを指さした。

そこには、昨日の夜中の俺の姿が。


台所の電気を付けて冷蔵庫を漁る俺。

「お姉ちゃんのプリン発見!これは消費期限が3日前だ。まぁ、冷蔵庫に入れてたんだし、大丈夫でしょ!いただきーーー!」

そう言って俺はプリンを頬張った。

「うーーー!うみゃぁぁぁい!」

夜中だから小声だ。しかしテンションは高いのでその場で足踏みをしている俺がいる。

横で一緒に動画を見ているカトリを見てみたが、真顔だ。

その後俺は

「お、消費期限が5日前の牛乳だぁぁ!このミルク、飲んでミルク?なんつってな!ガッハッハッハ。」

牛乳パックに口をつけて残りの牛乳を一気に飲み干した俺。

恥ずかしい!!

チラリと横を見ると、カトリは真っ青な顔だ。

早く寝ろ!眠ってくれ昨日の俺ぇぇ!

そう思いながら動画を見続けると

「やっぱり深夜と言えば豚骨ラーメンでしょ!イエェェス!!これこれぇ!」

そう言ってラーメンを食べていた。

ここでスクリーンは真っ暗になり、俺とカトリは目が合った。

「いや、あれはその」

「まぁ、夜中になったらテンション高くなるよな。分かるよ。あと、消費期限は無視しちゃあ。いけないぞ?」

恥ずかしいぃぃ!

テンションが高いところを見られたのも恥ずかしいし、死亡の原因も恥ずかしい。

「少年。いきなりだけど、とても強い力を手に入れて、異世界って言うやつに行ってみないか?」

「はい?」

本当に突然だな。

「異世界?」

「そうだ。少年みたいな若いやつに強い力、いわゆるチートスキルっていうのを渡して悪魔っていうラスボスがいる世界に転生させてたおしてもらおうって政策が最近できたんだよ。」

ほほーう。

チート。異世界転生。

俺は太郎を思い出した。

「まぁ、無理強いはしない。」

「いや、行きます!」

「え?」

「俺、チートスキルを持って異世界に行きます!」

「マジかい。分かった。」

自分では非現実的だと思っていたことができる。

これ、面白そうじゃないか!

俺はその後、カトリからチートスキルを貰い、異世界へ転生した。




ノワルロード学園の朝

「はい、みんなおはよう!いきなりだけど今日から転校生が来ます。」

シドウのそんな言葉に教室はザワザワする。

「はい、入ってきていいよ~。」

ガラガラ。とドアが開き、新入生が黒板の前までやってきた。

茶髪のウルフカットに青い目。

眼鏡をかけている。

身長は僕と同じくらいだ。

その男子はお辞儀をして

「みなさん。こんにちは俺はシュタウト・カリスです。能力は手から自由に剣をを作ることが出来るというものです。」

そう言うと、シュタウトは、両手を出した。

右手には赤色の竹刀。左手には水色の竹刀。

「右手には火属性、左手には水属性の力を与えています。このように、高い自由度で剣を作ることが出来ます。」

「「「「「「「かっ!かっこいい!」」」」」」」

「!?」

同級生たちの急な歓声にシュタウトは驚く。

「ねぇねぇ!その剣の形って何かモチーフはあるの?」

「お、確かに始めてみる形状だな。」

「ん?コレは俺が昔見た剣を元にして作ったんだ。」

「「おお!」」

早速オウガとカルナが話しかけていた。

「じゃあ、シュタウトはフレイの横、後ろ席の1番右に座ってくれ。」

シドウがそう言ってシュタウトは僕の横の席に座った。

「「よろしく!」」


その後、平和に5時間目が終わった。

シュタウトは足が速い。腹筋が割れている。

運動神経が良い。

この学校の存在を知ったのは最近で、不可能だと思っていた友人の夢を達成させるためにここにきたらしい。

うん。なんか深いな。


6時間目。

僕たちのクラスは洞窟の中にいた。

「今日は洞窟探検だ。目の前に右の道と左の道がある。どっちの道を行っても最後は同じ、この洞窟の入り口に戻る。」

今回はモンスターを倒しながら洞窟を出る。という授業だ。

「ワタシたちのクラスは8人だから4人ずつで分けるぞ~。グーチームとパーチームで別れてくれ~。」

シドウの指示を聞き、僕たちは4人ずつになるまでグーかパーを出し続けた。

「じゃあ、パーチームが左の道。グーチームが右の道で頼む。ワタシは入口で待ってるからな。」

そう言ってシドウは後ろを向きここまで来た道を歩いていった。


「よろしくお願いします!3人とも」

「おう。」

「よろしく~」

「はい!」

パーチームは、テシー、オウガ、カルナ、ストル。

グーチームが僕、アリシア、クウラ、シュタウトになった。


「じゃあな、4人とも。どっちが先にゴールにつくか。負けねぇぞ?」

オウガがそう言うと、パーチームは進んで行った。


「じゃあ、僕たちも行こう。」

僕たちも進む。

すると、

「ゴゴゴ。」

2つの岩が突然動き出した。

そして、人型になった。

「これは、ゴーレム!3人ともこのモンスターは物理攻撃は効きにくいから魔法で戦おう!」

「へへ!そいつならボクに任せてよ。」

自信満々のクウラが先頭に立った。

「ロード学園長みたいに、あのでかいヤツ、少ーしの水で倒しちゃうよぉ~。」

クウラが左右の手それぞれを2体のゴーレムに向け、照準を、合わせる。

「えい!」

手からは勢いのある水がシュッ!と音を立てて出た。それはゴーレムの腹に素早く当たり、そのまま、ビチャ!と音をたてて散っていった。

「「ゴゴゴゴゴ!!」」

「あわわわわ」

ゴーレムは急に体を濡らされて怒り出した!

クウラは怒ったゴーレムに驚き、あわあわと震えながらすぐに後ろのアリシアの背中に隠れた。

「ちょっ、クウラ?」

「ごめん。あのモンスター怒らせちゃった。怖くて戦えないかも。」

クウラは自分で怒らせたゴーレムにビビり、戦えなくなった。

「私たちに任せなさい、2人とも、さっきクウラが水を出した感じで、私たちも同時にウォーターを使うわよ!」

「了解!」

「え、」

「せーの!」

アリシアの掛け声と同時に、2リットル分の水鉄砲、4回分が発射された。

それぞれのゴーレムに2回分がかかる。

「「ゴゴン。」」

ゴーレムは腹に一気に大量に水をかけられたことで、泥へと変わった。

「やったわね!」

「うん!」

「・・・」

シュタウトは申し訳なさそうな顔をしていた。

「3人ともありがとうぅぅぅ!!」

洞窟にはクウラの鳴き声が響き渡った。

すると、

「「「「「きぇぇぇぇぇ!!!」」」」」

「ん?洞窟の奥から何かが来る?」

僕は洞窟の奥から何かを感じでそう言った。

「あれは、ダークホースよ!」

5頭の黒い馬がこっちへ走ってきていた!

「ええっと、ダークホースは音に反応するから。」

アリシアのその言葉をきき、僕とシュタウトは泣き止んだばかりのクウラを見る。

「つまり、ボクがやっちゃったんだね。ごめんね。3人とも。今度はへましないよ。」

そう言ってクウラはもう一度先頭に立った。

クウラは両手を合わせて

「ウォーターウェーブ。」

と唱える。

すると、クウラの足元から大量の水の波が出てきた。

「「「「「きぇぇぇぇぇ。ぇぇぇぇ。」」」」」

ダークホースはそのまま波に流されて僕たちから遠のいて行った。

「どう!さっきのボクかっこいいでしょ!」

さっきまでの雰囲気はかっこよかったのに、格好をつけた後がな~。

「ナイスファイト!」

そう言ってアリシアはクウラに駆け寄った。

「なんか、悠太みたい。」

「俺みたいだ。」

僕とシュタウトが同時にそう言った。

シュタウトは何故か目を大きく開いている。

「悠・・太?」

「いや、ごめん僕の友達の名前だよ。」

「その友達ってここの国の人間?」

あ、そうか、この世界じゃ珍しいもんな~。

でも嘘は付けない

「いや、僕がここに来る前からの友だち。」

・・・どういうことぉぉぉ!!

日本のことを思い出しながら喋ったから、中途半端な答え方しちゃったよ!

この国じゃないよって言えばいいだけだったのに。

「くそ、異世界に言って念願のチートを貰っても頭が悪いのは変わらないのかよ。」

そう僕が呟くと

「なぁ、今日朝飯食ったか?」

「いや、食べてないよ。」

僕がそう言うと、シュタウトは僕の肩に手をおき、

「家の人の思いを踏みにじるな。それが今俺たちにできる数少ない親孝行だろ?」

その言葉を聞き、僕の頭は真っ白になった。

まさか。・・・いや、そう言われれば証拠はある。

竹刀、自由度の高い能力、アイツは僕の願い、チートスキルを持って異世界に行く。を

現実味が無いと言っていた。

でも、シュタウトがあいつなら、今夢を叶えられる。

僕は決心して聞いた。

「佐藤悠太?」

「やっぱりか!久しぶりだな太郎。」

僕とシュタウト、いや、悠太は腕を組む。

「俺の名前を呼んだあと、チートスキルどうのこうのってブツブツ言ってたろ?それで気づいたんだよ!太郎!」

「最高かよ悠太!」

2人で飛び回っていると

「2人とも~そろそろ行くよ~。」

アリシアに呼ばれたから早歩きで僕たちはアリシアとクウラの元へ向かい、ゴールを目指した。

「そういえば、シュタウトはゴーレムと戦った時、なんで魔法を使わなかったんだよ?」

「あ、私も少し気になってた。」

その質問を聞き、シュタウトは腕を組み、うーん。と少し考えてから、「よし」と言って真面目な顔に戻った。

「俺の能力は自由に剣を作れる。魔法の属性を持った剣や何でも切れる剣とか。」

「「「うん。」」」

「でも、自由に剣が作れる代わりに魔法や魔力に関する力は全部剣に行くんだ。」

「それって、お前」

「ああ。俺は普通の人みたいに手から魔法を出したり、加減をして魔法を打つことが出来ない。」

チートスキルは体に大きな負担を与えるってステラが言ってたけど、疲労意外にもあるんだなぁ~。

僕がそう思っていると

「でもさ、手から魔法が使えなくても、魔法の剣が作れるってかっこいいじゃん!」

「・・・だよな!クウラ!」

クウラが笑顔でシュタウトに話しかけていた。

「手から魔法が使えなくても悲しいって思ったことはないから、3人とも安心してくれ!」

それを聞き僕たち3人は笑顔でシュタウトの顔を見ていた。

「あ、そろそろゴールだ。」

目の前に白い光穴が見えてきた。

「お、ゴールおめでとう!」

洞窟を出ると、シドウがいた。

「あれ、テシーたちは?」

「ん?そろそろ来ると思うけどなぁ。」

すると、

「「「「モンスター多すぎるだろ!」」」」

パーチームが走って出てきた。

「すまん。言い忘れてたんだけど、左右どっちかがモンスターが比較的に多いらしい。」

「もう~遅いですよ先生!」

「すまん、ストル。」

「いやでも、ストルがいて助かったわ。」

「うむ。出会ったモンスターの半分を仲間にして戦わせたのだからな。」

「本当にありがとうございました。ストルさん。」

「いえいえ、オウガさんは私がモンスターと仲良くなる間守ってくださいましたし、カルナさんは一瞬でケガを治してくれました。それに、モンスターに追いかけられた時はテシーさんが爆発で落とし穴をつくってくれました。私たち最高のチームですよ!」

キラキラしたストルの目を見てみんなほっこりする。

そんな雰囲気の中、急に地面がグラグラし始めた。

「みんな後ろに下がれ!」

シドウはそう叫び、全体に指示を出す。

「モグゥゥゥゥゥゥ!!!」

土からは家1件分の大きさのモグラが出てきた。

「こいつは、野良モグラか。」

「大きさなら俺が有利だ。任せろ。」

「いや、オウガ待ってくれ、ここは俺に行かせて欲しい。」

「む?」

モグラと戦おうとしたオウガの前にシュタウトが立った。

「分かった。俺もシュタウトの戦いを見てみたいからな!」

「ありがとう。」

そう言ってシュタウトは野良モグラと睨み合った。

「モグモグゥゥゥゥゥゥ!!」

モグラは土に潜る。

その瞬間シュタウトは水色の剣を2本両手から出し、地面に突き刺した。

すると

ドバーーーーン!!!

シュタウトの足回りから大量の水が溢れ出す。

「グゥゥゥゥ???」

モグラはその水に押し出され、土から急に出てきた。

宙に浮いたモグラに向かってシュタウトはジャンプし

「何でも切れるソード!!!」

と叫んで真っ黒な竹刀をつくり、モグラの腹を刺す。

「クゥゥゥ。」

モグラは竹刀が刺さるとチリになっていった。

着地をしたシュタウトはみんなのほうを振り返り

「改めまして、俺はシュタウト・カリス。

魔法や魔力に関する力は全部この剣に持っていかれるから、加減して魔法を打てないし、手から魔法を出すことも出来ない。こんな未熟な俺だけど、長い間よろしくお願いします。」

こいつ。僕よりも主人公してやがるぅぅぅ!!

「「「「「「「シュタウトォォォ!!!」」」」」」」

僕含めシュタウトの同級生たちが大きな拍手を送った。

そして僕たちはその後普通に家に帰ることが出来た。



「やぁ、太郎くん。」

「ステラ様!」

いつもの僕はいつもの部屋にいた。

「聞いてくださいよ!今日異世界転生が」

「太郎くん。」

「?」

ステラは真剣な顔で僕を見つめている。

「この世界で1度死んでしまうと、もう生き返れません。」

「え。」

ステラはなぜ急にそんなことを言うのだろうか。

「この前学園長と戦った時どうしてダークホールに飛び出しちゃったんですか。」

ステラの顔は少しずつ泣きそうになる

「僕もあの二人みたいに活躍したくて。」

「でも!テシーくんは能力の使いすぎで疲れただけ!オウガくんは自分の体なら耐えれるという確信があった!」

ステラのその言葉に、僕は気づいた。

あの二人は命に危険が無い範囲でした事だ。

それに比べてダークホールを潰そうとした僕はどうだ?

学園長の事だから多分寸止めで終わるだろ?

死んでもまた転生できるよね。

そう思って突進して行ったんだ。

「命を、軽く見てた?」

「そうですよ!カッコよくなりたいから無茶する。それは太郎くんのいい所です。でも、まぁ、何とかなるでしょ。そんな考えじゃこの先コロンとやられちゃうんですよ!太郎くんのバカ!」

そう言ってステラは椅子の下にあったクッションを僕に向かって投げつけた。

僕は目をつぶり、深呼吸する。

「ステラ様。もしもこの先僕が死んだら、もうステラ様に会えなくなるんですか。」

「グスッ。・・・そうですよ。」

「それだけは絶対に嫌だ!もう2度と、何とかなるでしょ?って思って戦ったりしません!心配をおかけしてすみませんでしたら。」

僕はステラに向かって謝罪の気持ちを込めて頭を下げる。

「太郎くん。頭を上げてください。」

ステラがそう言って、僕はステラの顔を見た。

ステラは目元が少し赤いが、泣き止んでいる。

「戦闘をする時が多いこの世界です。多少の無茶を許しましょう。私も元々は戦いを好む側でした。強敵との戦闘が楽しすぎて、ボロボロになるまでの死闘をする。これも許します。・・・ただ1つ約束して。」

ステラは1拍開けていう。

「絶対に死なないで。」

「はい!ステラ様との約束は絶対に守ります。」

僕の真剣な顔を見たステラは、深呼吸をして

「分かればいいんですよぉ!」

といつもどうりの様子に戻った。

「さて!さっき太郎くんが話そうとしてた続きを聞きましょうかね!」

「はい!」


その後、僕はステラと一緒にお菓子を食べながら悠太がシュタウトとして転生していたことを話した。

その話が終わったあと、映画を見た。








人気ひとけの無いどこかの城にて~

「ん?今までは無視していたが、やはりオレと似た魔力の波長を感じる。・・・女神はここには来れないはずだが。」

大きな椅子に座りながら顎に手を当てて独り言を呟く男。

「これが本当で俺の邪魔をされても面倒だ。

申し訳ないが幹部に言ってもらおう。・・・すまない。幹部の誰か!仕事を頼みたいんだが!」

その男が少し声を張ると、元気よくドアが開かれた。

「悪魔様!」

「あれ?君は」

長身で細身、目付きが鋭く、黒のスーツを来ていて、一見賢そうな20代くらいの男が現れた。

「幹部様たちは今旅行に行ってらっしゃるので、幹部様の代わりに、中ボス四天王の1人である俺っちが命令を聞きますよい?」

悪魔と呼ばれた男の前で膝を下ろし、その男性はそう言った。

「え!旅行!いいなぁ~俺も行きたかったのにぃ!」

「悪魔様は熱があるから気づかれないように行こうってなったらしぃっすねぇ~。」

「・・・やさしい。」

「で!俺っちに命令ってなんでしょうかい?」

目をキラキラさせてそう言う男。

「うん。俺が今から言う方向に行って、俺と似た魔力の波長がある女性を連れてきて欲しいんだ。」

「ほほ~う。あの、その女性を連れてくる為ならば」

手をコネコネさせて何かを聞こうとする男性。

「ああ。オレ達の目的のためだ。暴力を許そう。ただ、死ぬことは許さない。分かったな、ビルキン・グリス。」

さっきまでの雰囲気とは変わり、悪魔は椅子から立ち上がるとラスボスと言われても驚かない圧を出し、命令した。

「はわわわぁぁぁん!あいあいさぁぁぁ!」

ビルキン・グリスは目を大きく開き、敬礼をしてそのまま走って部屋を出ていった。



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