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ブラック版婚約を破棄するって言いましたよね?

最初のお話と同名別人のパターンです

「ユリア・ウザボラ公爵令嬢。貴様との婚約を破棄し、ここにいる聖女メルと婚約を結ぶことを宣言する! せいぜい、他国で平民として生きるんだな!」


「素敵ですわ、王太子様」



 わたくしの婚約者であるはずの王太子マーサリア様。その横でマーサリア様を見上げる聖女メル様。わたくしは一体何を見せられているのでしょうか? 喜劇?



 そう思っていた次の瞬間、幕が閉まる幻覚が見えました。わたくしだけかと思えば、皆様同様の幻覚を見ていらしたようです。







「わ、私はなにを?」


「殿下。婚約破棄、承りましたわ。我が公爵家の後ろ盾を失って、王太子としてやっていけるとお思いで?」


「待ってくれ、ユリア!! ここ最近の私はおかしかったんだ! 何かに操られたようで!!」


「も、申し訳ございません。ユリア様。あたし、そんなつもりはなくて!! 聖女に選ばれてから、どこかおかしくて、なんでこんなことをしたのか、あたしも自分でわからなくて!!!」


「申し開きは結構ですわ。最近のお二方の行動は、目に余りましたもの」



 そう言い放って会場を後にするわたくしに、なおも呼びかけ続けるお二人。わたくしたちは、今までいったい何をしていたのでしょう?





 わたくしが違和感を覚えたのは、聖女がこの国で選ばれた時でした。感情を露わにしない貴族としての教育を完璧に受けたはずのわたくしが、聖女という単語を聞いて、感じたことのない怒りに包まれたのです。

 聖女は礼儀もなっていない者でした。しかし、わたくしという婚約者がいるはずのマーサリア様が、その聖女とまるで恋人同士かのように仲良くしていらっしゃったのです。マーサリア様は我がウザボラ公爵家が後援しているからこそ王太子となられました。わたくしを王妃にするという前提に立っていることをお忘れになったかのようなお姿に、失望したと同時に、なぜか聖女への恨みが止まらなかったのです。



「お父様。婚約破棄されましたわ」


「そうか。では、この国に見切りをつけよう」



 会場を出たところで、お父様に出会いました。そう言ったお父様に、わたくしは答えます。


「わたくし、聖女という存在のいない場所で暮らしたいですわ」


「そうか……では、魔界なんてどうだ? ユリアなら魔王にだってなれる」


「なんたって、前魔王と人間の姫との間の子供、ですからね」



 そう言って、わたくしは隠していた真っ黒い羽を出現させました。


「聖女とマーサリア様。あなた方がいつか、わたくしの魔王城へ来ることを楽しみにお待ちしておりますわ」




 そう告げたわたくしは、空に飛び上がり魔界へと向かったのでした。

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