4話裏切り
三連休は出かけていて投稿できませんでした。もし読んで下っている方がいたらすみませんでした。次回は三月三日の投稿予定です。
木漏れ日の森を後にした私たちは王都に急いで戻っていた。
「町を経由してからでは遅いだろう。一直線で行くぞ」
ディーラはそう言い街道から外れ黒く染まった森、暗黒の森へと入っていった。
「魔物が多いからにおそくなるんじゃ?」
「私の配下の聖獣を出すから安心しろ」
ディーラの聖獣は小さい人型の精霊である「ウィル・オ・ウィスプ」のファトゥスだ。
「魔物どもはこいつがいれば近寄ってこない」
そう言いながらファトゥスを召喚して肩に乗せた。
「ディーラいつの間に相棒決めたんだ」
「この前の討伐戦でな」
そう話しながら走っていると急にディーラが立ち止まった。
「立ち止まってどうしたの?早くいかないと」
「目的地に着いたんだよ」
ディーラ意味のわからないことを言い手を叩いた。
「!」
とたんに魔物が私たちの周りに集まってきた。
「驚いただろ。こいつら全部俺の配下なんだぜ」
ディーラはそう言いながら魔物を撫でていた。
「木漏れ日の森にいた魔物たちもあなたが?」
「あいつらは俺が魔法で操った死体だよ」
「なぜそんなことを?」
「一番広範囲攻撃の得意なお前を王都から連れ出すためだよ」
「なんのために?」
「王都を魔物どもに襲わせるためだ」
ディーラは笑みを浮かべながらそう言った。
「王都には他の六人の勇者がいるから無駄だよ」
「ドラゴンや巨人、それ以上の魔物がうじゃうじゃといるんだ。いくら勇者が強くとも勝てないさ」
私はその言葉に絶望した。
「どうしてそんなことを?」
「俺はスラムに生まれ、強くなって勇者になった。この国を守りスラムのような場所をなくそうとした。けれど国民の奴らはそんな俺を軽蔑し、スラムに火を放ちそれで俺の親友は死んだ。そんな心の腐った人間がいる国なんて亡べばいいと思ってな」
そこで私は初めて彼の過去を知った。
「レイおまえだって長年迫害されてきた種族じゃないか。ならこの気持ちがわからないか?」
「あるわけがないだろ!」
私はうそをついた。
「そうか残念だな。ならここで死んでもらおう」
そう言うとディーラは魔物をけしかけてきた。
『セット』
『コキュートス』
私が呪文を唱えた途端周りの桃のが一気に凍り付いた。私の使った広範囲拘束魔法「コキュートス」だ。この魔法は術者の半径五十メートルの敵味方ともに凍らせて動けなくする魔法だが、私は改良の末に敵意を持つものだけを凍らせることができる。ディーラはしっかりと逃げたようだ。
「やはりお前は此処で倒さんとやっかいなことになりそうだな」
こうして私とディーラの戦いが始まった。