3話木漏れ日の森
今回は二日連続で投稿します。次からは一週間に一回になると思います。
私とディーラが王都を出てから四日が過ぎ、私たちは木漏れ日の森に到着した。
「やっと着いた」
「・・・」
私がそういってもディーラは何も返さなかった。そして移動の間もそれぞれが何かしゃべっても返答することはお互いになかった。なぜか私とディーラは言葉がなくても伝わるようだった。無口同士で何か伝わるものがある気がする。
しばらく歩くと全身を探られたような気配がし、魔力の波長が変化した。
「結界に入ったようだな」
「そうだね」
ここにきて初めての会話が成立した瞬間だった。
ゴゴゴゴ
地面が揺れ、森の中心にあった丘が動き出した。
「勇者レイとディーラだったかな?」
丘だと思っていたものから急に声が聞こえた。
「こいつが霊亀か」
丘だと思っていたものは霊亀だった。
「初めまして!僕は霊亀のナティウスっていうんだ。君たちの話は主から聞いてるよ。全く話さないのに連携がうまいとってもいいコンビだってね」
この霊亀はほかの個体と違いとてもおしゃべりと聞いていたが、どうやら本当のようだった。
「ごめんごめん。いつもの調子でしゃべってたよ。僕はまだ若くてたったの500年しか生きていないんだよ」
「500年も生きた大人の間違いでは?」
普段静かなディーラもさすがに驚いたのか突っ込みを入れていた。
ちなみに私はウッドエルフだからナティウスと時間の感覚が近く特に驚くことはなかった。
「ここに来たのは魔物の目撃情報の調査かな?もしかしたらもっとっ強い結界を張らないといけないかもしれないから調査はたのんだよ!」
ナティウスがそういいまた地面の中に潜っていった。
「調査を始めようかディーラ」
「レイは西のほうをお願いできるか?俺は東を探すことにする」
「了解」
珍しく会話が長続きしたことに驚きながら私とディーラは別れたのだった。
・・・
「ルォォォォォ」
「うるさい」
私は目の前に現れた人狼型の魔物のコポルトの心臓を槍で貫きながら言った。
(コポルトはここからかなり離れた人狼の森にしかこの国では生息していないはずなんだけど)
そう思っていると後ろから二つの尾を持った猫型の魔物である猫又が襲い掛かってきた。
『アイススピア』
私は得意な氷雪属性の魔法「アイススピア」で猫又を倒した。
「アイススピア」は氷柱を出して放つ魔法だ。
「確かにこれは異常事態ね」
ここに来るまでにかれこれ五十体以上の魔物と遭遇している。
(全部見終わったから急いで戻ろう)
そう思い私は走り出したのだった。
・・・
「レイ魔物はいたか?」
「かなりいたよ。ディーラのほうは?」
「こっちもだ」
これは間違いなく異常事態ということがわかり急ぎ王都に戻ることを私達は決めた。
「ナティウス!」
ゴゴゴゴ
地響きがなりナティウスが姿を現した。
「もう行くんだね。こっちでも結界を強化しておくから主たちにつたえてね」
「わかってる」
「それじゃあ俺たちは行ってくる」
そう言って私達は森から出るのだった。