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俺たちが罪を犯したから。

作者: らびっと

挿絵(By みてみん)

俺はずっと研究室の中にいた、小さい頃から。

というか趣味が研究以外なかったのだ。

本当に研究が好きだったのか、それともそれ以外に好きなことがなかったのかわからないが。


どこからか声が聞こえてきた。

「n@=*@;)「」

「なi@;おkr」

「ナイ#おkir)」

「ナイラ起きろよ、授業中だぞ」


目を開けると教室にいる同級生達が俺のことを見ていた。

どうやら俺は寝てたみたいだ。

黒板を見ると歴史の授業をしていた。

先公がこちらに睨みを効かせながら言った。

「えーと今回はな、俺たちフロンティア星人のルーツを教える。」

先公は勝ち誇ったような顔で言った。

「俺たちフロンティア星人は細胞分裂をして人口を増やしてきたんだ。しかし急激に人口がふえすぎたせいで今から500年前の1600年に第二次惑星大飢餓問題という深刻な問題に直面していたんだ。だが、そこで1人の勇敢な若者が立ち上がったんだ、それが今にあたる尊敬するガブロス尊師様ってわけだ。」

馬鹿馬鹿しいと心の中でつぶやいた。

「で、1606年に。一人でガブロス尊師様がちきゅうという惑星の江戸という場所に偵察をしに行ったんだ。そして1960年に一斉に細胞分裂をし遺伝子をばら撒いたんだそして人間に戦争を仕掛けたんだ。」

そして1人の女生徒が聞いてきた。

「そしてどうなったんですか?。」

先公が鼻息を出しながら言った。

「それがな、数で圧勝したんだよ!その時の人間の人口は100億人だったんだが、なんと我らフロンティア星人の数は2.5倍の250億人だったんだよ。」

先公がそう言った途端クラス中から手から血が出そうなほど、拍手喝采が起きた。

そして俺の幼馴染のセリナが挙手をして言った。

「そこに住んでいた原住民のにんげんという生物はどうなったんですか?」

さっきまで拍手の音が鳴り止まなかったのに、その言葉を聞いて一気にクラス中が無音になった。

そして先公は隠すように言った。

「もう授業の時間が終わりそうだな、じゃあな。」

と言い、駆け足で教室から逃げた。

そして退屈な授業を終え、放課後に自転車を二人乗りしながらセリナに言った。

「流石ににんげんの話をみんなの前でするのはまずいだろ。」

「だって気になったんだもーん」

現代社会ではにんげんの話はタブーかされている。そんな中にんげんの話をあたかも平然と言えるセリナの性格に俺は憧れていた。

そんなことをボーっとしながら考えていると何かにぶつかった感触を感じた。

何が起きたのかと前を見た、すると自転車が大きく壁に衝突をしていた。

そして全身が暖かくなり、俺の意識はとても深いところまで行った



そして俺は眠い目をこすりながら起きた。

その場を見渡すと親父の研究室にぶつかったことがわかった


そして指に切り傷ができていた。

そして隣を見ると、いつも見たくないほど見ているあいつの顔があった。


「おい、起きろよセリナ」


「もうちょっと寝させてよー」


この期に及んで昼寝とはなんて呑気なんだと思った。


「そんなこと言ってる場合じゃねーだろ、早く起きろよ。」


無邪気な顔でセリナは言った


「おーけーべりーまっち」


そう言った途端にスラっと立ち上がって歩き始めた


足が痛かったが、セリナが早歩きをするので、無理やり早歩きをした。


廊下を一歩一歩歩いていると前方にドアが一つポツンとあった。

そして無意識にドアを開けた。


すると誰が見てもわかるようなステレオタイプのタイムマシンが置いてあった。


頭が混乱していると後ろから何か声が聞こえた。


「お前ら何をしておる!」


何か見慣れた声だった。


振り返って見ると、俺の父親がそこにいた。


「勝手には入っちゃいけないだろ」


研究室に自転車が衝突したことはまだバレてないらしい。


そして俺は言った

「逃げるぞ!セリナ」

俺たちは逃げた。部屋に勝手入ったことよりも、自転車が研究室に衝突したことがバレることを恐れたため逃げた。


そしてそこから一年間が過ぎた。去年と全く変わらずなんの変哲もない退屈な一年だった。


だがしかし、その間に世界は大きく変わってた。

フロンティア星人たちは、ガブロス尊師に対する信仰心が日に日に激化していた。


俺はこの惨状を見ていられなかった。

みんな仕事を放棄し、尊師に多額な寄付をしている。

寄付をすることでしか、幸福を得られないような体になってしまっているのだ。

見ることしかできない無力感が俺を襲い、またカブロス尊師に願っているフロンティア星人たちを遠くから見るのだ。


そしたら ぽんと誰かに肩を叩かれた。

その反動で泣きそうになったが、泣いていることをバレたくないので、後ろを振り返らなかった。


「どうしたんだ?」

雰囲気で察したのかは分からないが、セリナがこっちの 様子を伺ってきた。


そして俺は隠すように笑いながら言った。

「いや、なんでもない」

バレないように笑ったつもりだが、セリナはまじまじとこちらを見つめてくる。

「セリナはフロンティア星人のほとんどがカブロスのことを信仰していることについてどう思う?」

考えずにいつのまにか無意識に喋っていた。多分本心なのだろう。

「なんでそんなこと聞くんだよw」

なぜかその言葉に異様にムカついたので顔をムッとさせてみた。

するとセリナは言った。

「みんなはカブロスが正しいと言ってるけど私はそうは思わない、まるでこんなの洗脳じゃないか」

俺はその時どんな顔をして聞いていたのかは分からないが、セリナが人間のことが好きなのかが疑いから確信へと変わった。

これは夢なのか現実なのか分からないまま、セリナの手を半ば強引に引っ張り、あるところへとつれていった。

それは一年前に事故を起こした場所だった。

俺はずっと思っていた。タイムマシンで過去に戻り、カブロスが細胞分裂する前に麻酔銃を打ちたいと。

だけど最後の一歩を踏み出す勇気がまだ俺にはなかった。

けれどもセリナの言葉で勇気がでて、この計画を実行しようと思った。

「乗るぞ…………セリナ」

声を震わせながら言った、どんな顔をしていたかは忘れたが多分ものすごい腱膜で言っただろう。

そして、セリナは何かを察したように、頷き言った。

「わかった………」

そして俺たちはタイムマシンで江戸時代まで飛んだ。

タイムマシンに乗っている間はとても緊張したが、非現実を目の前にして心のどこかで興奮している自分がいる。

目の前が太陽よりも眩しく視界が覆われた。

脳の中に意識が戻った時、車で事故を起こしたことを思い出した。

隣を見るといつも見たくないほど見ているあいつの顔がありちょっとだけホッとした。

そして俺は相槌のように言う。

「成功したか?」

「成功したよナイラ!」

あいつの顔は顔が怖ばっていたけど、心の奥底から興奮しているのを感じ取れた。

そして俺たちは緊張のせいか疲れていたので、芝生の上で軽く寝転んでいた。

そのまま寝そうになりそうになったその時。セリナのかすれた悲鳴が聞こえた。

声が聞こえる方向に顔を向けると、セリナは言った。

「ナイラが2人いる……」

やばいという感情が出たが内心ホッとした。

やっぱり俺の過去を話さないといけないのかと思うとちょっとだけ重荷がおりた気がした。

話すことに何故か抵抗を感じなかった。そして俺はセリナに相槌を打たせないようにスラスラと言った。

「俺はこの世界に昔から疑問を持っていた。都合がいいことしかしてないフロンティア星人は本当にここにいていいのか?などということを考えていた。そして俺は江戸時代にタイムスリップをしてカブロスを倒すという計画を練っていた。しかし、決行当日、打つ瞬間に手が滑って急所に当たらなかったんだ。」俺は間隔を空けないように続けて言った。

「だからフロンティア星人がカブロスのことを崇拝しているところを見ると、失敗してしまった責任を感じて自分自身が嫌いになったんだ。しかしセリナ!お前は違った。」その時俺はセリナの目を初めて見た。すると泣きそうになっていた。そして俺は言い続ける。「行動一つ一つに人間の愛情を感じた。その行動が俺の心をちょっとずつ軽くしてくれるんだ。だからお前といるととても楽しかったんだ。だけどある日親父が電話で話しているところを盗み聞きしてしまったんだ。そしたらセリナは遺伝子を掛け合わしてできた実験体だったんだ。」もちろん嘘だ。

実は密かに研究室で長年不老不死についての薬を研究していた。そして最近成功を収めた。そしてセリナの朝食にこっそり不老不死の薬を紛れ込ませておいた。

これで歴史が改変されてもセリナは生きてられると思った。

これがお前の不幸になるかもしれないが本当に申し訳ないということを心の中で強く思い、また発言をした。

「だから遺伝子が違うからお前がカブロスを倒したら、お前は生きてられる、だからお前がカブロスを倒して欲しい。」

そしてセリナは泣きながら言った。

「そしたら皆んな死んじゃうじゃないか!」

そして俺はまた嘘をつく。

「けどお前は遺伝子を掛け合わしたから死なないぞ。」

我ながら下手な嘘だ、だけどその時はアドレナリンが出まくってたので、誰も疑わなかった。

セリナは言った

「そんなの悲しいよ」

「俺の希望を叶えてくれ!」

「わかった!」

うまく聞き取れなかったが若かりしカブロスに銃口を向けていたことで、確信した。

そして江戸全体に響くような声で俺の親友は言った。

「今までありがとう、そしてさようなら。」その言葉と共にとても大きな音が鳴った。その瞬間にフロンティア星人達の息の根が止まり、そっと目を閉じた。



俺はずっと研究室の中にいた、小さい頃から。

というか趣味が研究以外なかったのだ。

本当に研究が好きだったのか、それともそれ以外に好きなことがなかったのかわからないが、ただ一つ言えるのが僕が作り上げたこの薬で大切な誰かがカブロスのことを倒してくれるということだけだ。


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