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コミュニケーションの神様  作者: 咲良ゆう
1/4

  『コミュニケーションの神様』




 神々が暮らす天上界。

 ひきこもりのリオは薄暗い自室でネトゲをしていた。


 その背後に立ったエイミが、リオのヘッドホンを上にスッと持ち上げて言った。


「リオ……神様クビだってさ」

「!?」


 いきなり過ぎる宣告にリオは目を丸くして驚いた。


「なんでえ!? なんでいきなりクビなの!?」

「なんでじゃないでしょ。あんたがあまりにも仕事しないもんだから上層部で問題になってんのよ。職務怠慢は十分な理由でしょう」

「え、マジで言ってんの?」


 リオは焦った。

 全ての神様には役割というものがある。

 クビになるという事は岩や洞窟に何百年も封印されたり、神通力を剥奪されたうえ天上界を追放されたりする過酷な罰なのだ。


「残念ながらマジだよ」


 エイミは無表情のまま言った。


(うお……目が全く笑ってないよこのヒト……)


 冗談ではないというのが、これでもかというぐらいに伝わる。


「いやいやいや! お姉ちゃん! 私、コミュ神としての仕事してるじゃん。なんでそんな不当な扱い受けなきゃならんのよ!?」


 エイミはリオにとって姉であると同時に上司でもある。

 二人はコミュニケーションを司る神様だった。

 コミュニケーションを司る神様というのは、下界の人間関係が少しでも良いコミュニケーションをとれるよう働きかけるのが主な仕事である。


 口を尖らせて不満をこぼすリオにエイミが尋ねる。


「あんたがいつ仕事したのよ? 今だってゲームしてたじゃん」

「してるってば。今も。お姉ちゃんの知らない所で」

「どんな仕事?」

「ネトゲを通じて、挨拶しない奴に挨拶するよう啓蒙してるよ」


 思いっきりドヤ顔でリオは言ってのけた。


「………」

「………」


 一瞬の沈黙後、エイミは俯いて笑い始めた。


「ふふ……」


 つられてリオも笑い始める。


「はは……」


 二人は一緒に笑い出した。


「ふふふ」

「ははは」

「ふふふふふ───って、バカー!!」

 

 エイミはリオを怒鳴りつけた。


「そんなんが仕事して認められるわけないでしょ! バカなの!? あんたは!?」

「そんな言い方しなくてもいいじゃん……」


 そこまでバカなの?───とでも言いたげな勢いで非難されたリオはしょげかえった。

 しょげかえるリオを見てエイミがため息一つ。


「ハァ……」


(ここまでバカだとは思わなかった……。そもそもネトゲにおける挨拶は必須じゃなくケースバイケースだよ。挨拶が疎まれる場合もあるのだから強要なんてもっての外だ。ネトゲやってるクセに挨拶警察という問題を知らないのかしらね)


 リオは不満そうに言った。


「でもさ、たしかに私はコミュ神としての仕事を十分にしてるとは言い難いけど、だからっていきなりクビにするのは酷すぎない?」

「……まあね」


 エイミは軽くではあるが同意を示した。


「でしょう! こんないきなりクビにするのは横暴過ぎるよ!」


 エイミが同意したのを聞いたリオは、我が意を得たりと急に強気になった。


「これはぜひ天界の上層部とやらに抗議に行くべきね」

「………」

「お姉ちゃんも一緒に来てくれる?」


 リオの問いにエイミが答える。


「その必要はないよ」

「なんで?」

「上層部の判断としては、一度だけチャンスをあげるとのこと。その仕事に成功すればクビは取り消しだってさ」

「……!?」


 リオはすぐに事情を察した。


(……そうか……私のクビは決定事項だったけど、お姉ちゃんが既に抗議してくれたという事か……)


「それならそれで、最初からそう言ってくれればいいのに……」

「最初からそう言ったら緊張感が薄れるでしょ? わたしはね、あなたに仕事に対してもっと真剣になってほしいのよ」


 エイミは少し悲しげな顔をした。


「………」


 そんな顔をされると何も言えなくなる。


「……とにかくね、クビになりたくなかったら、ちゃんと仕事しなさい」

「わかったよ……どんな仕事なの?」

「あるコミュ障で引きこもりの男子中学生をなんとかするという任務だよ」

「なんとかって?」

「コミュニーケンションレベルを上げること」


 コミュニケーションレベルというのはその名の通り、コミュニケーションのレベルを表した値である。



 『レベル1~10 幼児(0歳~6歳ぐらい)』

 『レベル10~20 小学生(6歳~12歳ぐらい)』

 『レベル20~30 中学生(12歳~15歳ぐらい)』

 『レベル30~40 高校生(15歳~18歳ぐらい)』

 『レベル40~50 大学生(18歳~22歳ぐらい)』

 『レベル50~100 一般的な成人(18歳~)』


 

 これは実際は大きな振れ幅がある。

 コミュニケーションレベルというのは年齢と共に勝手に上がっていくものではなく、あくまでも本人の経験値次第なのである。


 例えばレベル55の高校生もいればレベル35の中学生もいる。レベル25の大学生もいるしレベル15の成人もいる。

 目安はあるが、実際は人によってバラバラなのである。


「その中学生はレベルいくつなの?」


 リオがエイミに尋ねる。


「11」

「……………え?」


 リオは目を丸くした。


「コミュニケーションレベルは1つ上げるのに約4ヵ月かかるんだよね?」

「一般的にはね」


 1年で3つ上がるという計算。


(レベル11から、中学生の最低レベルの20まで上げるってことは……)


「この仕事って3年もかかるじゃん!」

「違うよ」


 リオが叫ぶとエイミは首を振って否定した。


「任務内容はレベル30まで上げることだから、つまり───」

「───6年かよっ!!!!」

「いや、レベル低い時は上がりやすいから、実際はもっと早いよ」

「早いって、どれぐらい?」

「それはリオの頑張り次第だよ。早ければ数年で帰れるから頑張ってね」


(結局、年単位の仕事じゃんか!)




* * *




 人間が暮らす下界、地上界。

 引きこもりの沢井祐太郎は、昼間からカーテンが閉じている汚く散らかった薄暗い部屋でネトゲをしていた。

 その背後に立ったリオが、祐太郎のヘッドホンを上にスッと持ち上げて言った。


「とりあえずさ、学校行こう。んで友達作ろう」

「!?」


 いきなり見知らぬ女が部屋の中にいるという異常事態に祐太郎は慌てふためいた。


「なんだオマエは!? どこから入ってきた?!」

「どこからって玄関からだけど」

「なに勝手に入ってきてんだよ! ドロボーか!?」

「ドロボーじゃないってば。もしドロボーだったら、わざわざ声かけたりしないでしょ?」

「じゃ何なんだよ! 誰なんだよオマエは!」

「私はリオ。コミュニケーションの神様だよ」


(神様ときたか……なんて胡散臭いコスプレ電波女……………いや、ありえるのか?)


 その見知らぬ女は魔法少女のコスプレといった感じの恰好をしている。

 普通なら胡散臭い電波女としか思えないのだが、祐太郎は不思議とこの女が本物の神様であるような気がした。

 リオに限らず全ての神様には、任意の相手に自分が神であると信じさせる神通力が備わってるのだ。


「……そのコミュニケーションの神様とやらが何の用なんだ?」

「もう言ったじゃん。引きこもりはやめて学校行こう。そこで友達を作ろう」

「嫌だ」

「なんで?」

「なんでって……嫌なもんは嫌なんだよ。ってか、なんでオマエにそんなこと命令されなきゃならねーんだよ」


 祐太郎のコミュニケーションレベルをどうやって上げたらいいのか?

 リオはまず当面の目標として、祐太郎を学校に行かせること、友達を作ることを目指した。

 他人とのリアルな関わりがなければコミュニケーションレベルは上がりようがないのだ。


「命令はしてないじゃん。何々しようっていう”お誘い”だよ」

「断る」 

「なんで?」

「……あのさ、逆に聞くけど、オマエはなんの筋合いがあって俺にそんなこと言うわけ?」

「………」


 聞く耳を持たないといった感じの祐太郎にリオは顔をしかめた。


(予想はしてたけど面倒な奴だなあ……。さすがコミュレベル11なだけあるな。しょうがない。奥の手を使おう)


「私のお願いきいてくれたら、あなたのお願いもきくわよ」

「!」


 その言葉に祐太郎がピクっと反応する。


「……願いって、なんでもいいのか?」

「いいよ。私の願いと釣り合う範囲ならね」

「釣り合う……」

「そう。だから石油王になりたいとか超能力がほしいとか、そういったものはダメよ」

「………」


 祐太郎は少し考えていった。


「オマエ俺に『友達作れ』とか言ったよな?」

「うん」

「だったら俺は彼女がほしい。可愛い彼女が。これなら願いは釣り合うだろ?」

「好きな子がいるの?」

「………」


 そうリオが聞くと祐太郎は少し顔を赤らめて黙った。


(あら? 好きな子はいるけど言うのは恥ずかしい感じ? 可愛いトコもあるじゃん)


 俯き加減で黙っていた祐太郎がリオに目を向ける。


「?」


 リオの全身を眺めた祐太郎が少し考えてから口を開く。


「……アンタでもいいよ、彼女は。アンタよく見るとそこそこ可愛いし」

「………」


 リオは一瞬、怒りでピキっとなった。


(……殴ったろかいねコイツ。何が”そこそこ”だ)


「あのさあ、こんなこと言いたかないけど、あなたが『彼女を作る』のは『友達を作る』よりハードルが高くなると思うよ? たぶん百メートルぐらい」

「余計なお世話だ」


 今度は祐太郎が怒りでピキっとなった。


 凡庸な外見、陰気な内面。

 自分がイケメンにほど遠い事は自覚してるが、それでも『彼女を作るのが難しい』という事実は指摘されたくない。

 ハードルが百メートルもあるほど困難というのは、さすがにカチンとくる。


「もっと別の願いはないの?」

「……ない。帰れ」


 祐太郎の口調は怒気を含んだものになっていた。


「なに? 怒ったの?」

「帰れ」

「帰らないよ。あなたに友達を作るまでは」

「友達なんかいらねえ! 帰れ!」


 怒鳴る祐太郎。

 しかしリオも負けてない。


「いらないって事ないでしょ。恋人もいいけど、友達もいいものだと思うよ」

「いらねえっつってるだろ! 帰れよ!」

「帰らないよ。あなたに友達を作るのが私の仕事なのでね」

「知ったことか!」


(怒らせちゃったみたいね。うーん。ちょっと失敗……)


「さっき『彼女がほしい』って言ったよね? 誰を思い浮かべてたの? どんな子? もしかしたら橋渡しが出来るかもしれないよ」

「橋渡し?」


 祐太郎はこれには食いついた。


「うん。彼女がほしいなら手助けするわよ」

「でもアンタ、恋愛の神様じゃないんだろ?」


(意外と細かいトコ突っ込むな)

 

「まあね。私はコミュニケーションの神様だけど恋愛に無関係なわけじゃないよ。だって恋愛も一つのコミュニケーションなわけだからね。恋愛の神様ほどじゃなくても、いくらか力にはなれると思う」

「力になれるって、どんな風に?」




 その日の放課後。

 祐太郎が通う中学校の近くのマンションの屋上。

 リオは祐太郎に借りた双眼鏡でテニス部の女子の一人を見ていた。


「なるほど。可愛い子だね。名前はなんていうの?」


 双眼鏡を返しながら祐太郎にたずねる。


「……亜由美」


 祐太郎はボソっと答えた。

 その顔はまた少し赤くなっている。


「亜由美ちゃんか。じゃ、ちょっと行ってくる」

「どこに?」

「どこって彼女のトコだけど? どんな子なのか話してみる」

「その恰好で行くのか!?」


 リオは魔法少女のコスプレ風の恰好のままだった。

 

「まさか。制服ぐらい作れるよ。こんな風に」


 両手を胸の辺りで交差させると体が一瞬光り、両手をパッと広げるとリオは制服姿になっていた。


「どう? 似合う?」

「変身中のシルエットは裸じゃないんだな」

「んな感想は聞いてないわ」




 『学校へは行きたくない。家に帰る』といった祐太郎と屋上で別れ、リオは学校へ来ていた。


 テニスコートで亜由美を発見。

 ちょうど部活が終わった所らしく、部員は亜由美を含め後片付けに入っていた。


(いい時に来たな。さてさて、どんな子なんだろうね)


 後片付けをしている亜由美に近付いていくリオ。


(えっ?!)


 何かに気付いたリオの足が止まる。


(待って!? これって!?)


 驚いたリオは亜由美の様子を遠巻きに眺めた。


(これもしかして……)




 情報収集を終えたリオが祐太郎の部屋に戻ってくる。


「亜由美ちゃんと話してみたよ。いい子だね」

「だろ? 優しいんだよ、彼女は」


 得意げな顔をする祐太郎。


「でも───」


 リオが深刻そうな顔をすると、祐太郎も表情を曇らせた。


「……でも、なんだよ?」

「結論から言うね。亜由美ちゃんのことは諦めたほうがいいよ」

「なんで?」

「だって既に彼氏いるもん。生徒会長の久保君っていうカッコイイ彼氏が」


 それを聞いた祐太郎はこの世の終わりのような衝撃を受け、固まった。


「久保……」

「うん、知ってるよね? 生徒会長でサッカー部のエースでバレンタインには複数の女子からチョコ貰ってたっていう、イケメンの久保君」




【リオの学校での回想】



 学校でリオが見たのは、部活が終わった亜由美と久保が楽しそうに談笑してる光景だった。 

 近くにいた部員に聞いてみると、二人は彼氏彼女の関係なんだとか。


(しかもイケメンで生徒会長でサッカー部のエースって……勝てる要素ゼロじゃん! 詰んでる! これもう詰んでるよ!!)


 美男美女のカップルに付け入るスキは微塵も見当たらない。

 引きこもりの祐太郎が、イケメンで文武両道の久保に勝つのは不可能に思える。


 リオは一瞬にして祐太郎と亜由美が恋人同士になる未来などない、という事を悟った。


(無理……うんもうこれ絶対ムリだわ)



【回想終わり】




「それとも久保君から亜由美ちゃんを奪えるか、チャレンジしてみる?」

「………」


 無言のまま暗い顔で俯いてる祐太郎。


(まあ無理だよねえ……)


 察したリオは、気持ちを切り替えて笑顔を作った。


「チャレンジしないなら他の子にいってみようか。可愛い子は亜由美ちゃんだけじゃないんでしょ?」

「………」

「ほら、言ってみてよ。恥ずかしがらずに」

「………」

「いるんでしょ? 可愛い子って」


 明るく尋ねるリオに祐太郎はボソっと呟いた。


「……もう帰れよ」


 その声には静かな怒りが含まれていた。


「可愛い子いないの? 心当たりもない?」

「いない。帰れ」

「そんなわけないでしょ。可愛い子ってクラスに2~3人はいるものだし」

「帰れ」


 会話が成り立たず、『帰れ』を連発する祐太郎にリオは少し腹が立った。


「……あのさあ、言いたくないならいいけど、とりあえず学校は行こうよ。いつまでも引きこもりなんてやってないで。このままではいいとは思ってないでしょ? 自分だってさ」

「帰れ」

「………」


 怒りのボルテージが上がっていくリオ。


「成人しても引きこもりを続けるつもりなの? お父さんが事故や病気で死んだらどうするの?」


 早くに母を亡くした祐太郎は一年前までは父と祖母との三人暮らしだった。

 祖母に育てられたおばあちゃん子だが、その祖母も一年前に他界して、今は父との二人暮らしである。


「保険金も尽きたら収入ゼロだよ? 引きこもりなんてやってたら生きていけない───」

「ゴチャゴチャうるせえ! そんときゃ自殺でもなんでもしてやるよ! 帰れよ! うざってーな!」


 激高した祐太郎は手近にあったゲームコントーラーを、リオをほうへ力任せにぶん投げた。

 コントローラーはリオの頬をかすめて、ガン! という大きな衝撃音と共に壁に当たった。


 もうちょっとで顔面に当たる所だった。

 いくら神様とはいえ、あれが顔面に当たったら大惨事である。


 だが、それよりもリオは祐太郎の言葉のほうに衝撃を受けた。


(自殺って……)


 本気ではないと思う。

 いや、思いたい……が、そんな末路もあり得るような雰囲気が今の祐太郎にはあった。

 リオの怒りのボルテージは急速に下がっていった。


「友達なんかいらねえ! 彼女もいらねえ! だからもう二度と来るな!」

「………」


 もはや取り付く島もない。

 こうなっては下手に刺激しないほうが良い。

 そう判断したリオはとりあえず撤退することにした。




* * *



 天界。

 

「結論、祐太郎のコミュレベルを上げるのは無理だと思う」 

「もうギブアップなの!? まだ一日も経ってないのに!?」


 まったく予想外の言葉に、エイミは目を限界まで見開くほど驚いた。

 いくらなんでも一日でギブアップは早すぎる。


「絶対無理だってこれは。学校へ行かせるのさえ不可能だと思うよ? 引きこもりをやめるぐらいなら自殺するみたいなこと言ってたし」

「本人がそう言ったの?」

「それに近いことは言ってた。あの子は筋金入りの引きこもりだと思う」

「………」


 少し間をおいてエイミが言う。 


「……ね、この任務が失敗したら神様クビってことわかって言ってるの?」

「いやいや、ちょっと聞いてよ。この任務はさ、絶対不可能なものだと思うのよ。だから悪いのは私ではなく、絶対不可能なミッションを課した天界上層部だと思うんだ。仕事に熱心じゃなかった私を苦しめる為に無理難題を押し付けたんだと思う」

「………」

 

 エイミは落ち着いた口調で言った。


「とりあえず何があったのか教えて。詳細に」






「……というわけなのよ。この任務は絶対不可能でしょ? どう考えたって」


 話し終えたリオがエイミに同意を求める。


「なるほどね。祐太郎君が手強い相手だというのはわかったよ」

「でしょ? 無理だよ。あの子は学校へ行かせるのさえ不可能なレベルなのに、コミュレベルを30にするなんて絶対無理。ミッションインポッシブルだよ」


 この任務は絶対に無理、不可能というのをリオはここぞとばかりに強調した。


「上層部には任務の変更を求めるよ。こんなん絶対無理なんだから」

「………」


 話を聞いていたエイミは何かを考える素振りをしていた。

 そしてゆっくり口を開く。


「……ねえリオ。『学校へ行かせるのさえ不可能なレベル』ってホントなの?」

「もう言ったでしょ。学校行くぐらいなら自殺するんだってさ」


 誇張し過ぎたのに気付いて補足を入れる。


「……引きこもりをやめるぐらいなら自殺するってのは、そういう事なんでしょう」

「………」


 少し間をおいてからエイミが言う。


「……言いたい事はわかったよ。だったらさ、わたしと一つ賭けをしない?」

「賭け?」


 エイミから賭けを持ち出されたのは初めてだ。

 意外な提案にリオは怪訝そうな顔をした。


「うん。祐太郎君を学校へ行かせるよう、わたしが頑張ってみる。それでも絶対に無理だと思ったら、わたしが責任をもって上層部に任務の変更を認めさせるわ」

「お姉ちゃんが任務を手伝ってくれるってこと?」

「そう。出だしの部分だけね。もし学校へ行かせることに成功したら、あんたは責任をもって祐太郎君のコミュレベルアップを───例えどんな事があっても最後まで投げ出さずに手伝うと約束してもらう」

「………」


 話を聞く感じ、悪い賭けじゃないような気がする。

 祐太郎を学校へ行かせるなど絶対に無理と踏んでいたリオは賭けに乗ることにした。


「いいよ。お姉ちゃんでも無理だと思うけどね。祐太郎は筋金入りの引きこもりだから」


 エイミはコミュ神として優秀なほうだが、それでも祐太郎をなんとかする事は不可能に思える。

 リオは賭けに勝つ自信があった。


「じゃあさっそくミッションを始めようか」


 自信に満ち溢れた顔でエイミは任務の開始を宣言した。 




* * *




 この日もネトゲに興じていた祐太郎は、強敵のボスを倒しご満悦だった。


「おっしゃー! ザコが!」


 ヘッドホンを外し、傍らにあるペットボトルを手に取る。


「おー! ボス撃破おめでとう。上手いね」

「!?」


 後ろから声がして、祐太郎は慌てて振り向いた。


「な、なんなんだよアンタ!?」

「わたしはコミュ神のエイミ。昨日は妹のリオが失礼な事をしてしまってゴメンなさい」


 ぺこりと頭を下げるエイミ。

 その後ろにはリオの姿もあった。


「お詫びに何かしたいんだけど、わたしに何かしてほしい事ってあるかな?」

「別に……」


 いきなり言われても思いつかない。


「そう。じゃあ思いつくまで待っててもいい?」

「………」


(なんだこの子……メチャメチャ可愛いな……)


 アイドルのように可愛いエイミに祐太郎は圧倒された。


「それ、ファイナルクエストだよね?」


 エイミは祐太郎がやっていたゲーム画面を指差した。


「まあ……」

「待ってる間、一緒に遊んでもいい? 倒せないボスがいて困ってるの」

「やったことあるのか?」

「あるよ。レベルもカンストしてる」


(あんのかい!! 人がゲームしてるとうるさく言うクセに! しかもなんだよカンストって! 私よりやりこんでるじゃん!)


 後方にいたリオは心の中でエイミにハリセンを食らわせた。


「倒せないボスって?」


 興味を持った祐太郎が問いかける。


「さっき祐太郎君が倒したボスだね。まだ倒せなくて困ってるの。手伝ってもらっていい?」


 おねだりするような表情が可愛く、祐太郎は胸がドキっとなった。


「……まあいいけど」

「ホント!? ありがと!」




「よっし!」

「やったー! 倒したー!」


 一時間後、ボスを撃破。


「イエーイ! やったね!」


 エイミがハイタッチの手を差し出すと、祐太郎は軽くタッチした。


「嬉しい! やっと倒した! 祐太郎君、ありがと!」

「ああ、うん……」


 満面の笑みで礼を言うエイミが可愛く、祐太郎は思わず視線を逸らした。

 その顔は少し赤くなっている。


 それを見たリオは面白くない気分になった。


(なにコイツ……私の時とお姉ちゃんの時と、ずいぶん対応が違うんですけど……)


「楽しかったー! ね、また遊びに来ていいかな? 一緒に居たほうが連携とりやすいし。ボス戦だけじゃなくクエストも一緒にやりたいな」

「別にいいけど」

「ホント!? ありがと! じゃあまた明日!」




 こうしてエイミとリオは祐太郎の家へ通うことになった。

 家ではエイミと祐太郎がゲームに興じ、それをリオが後ろから眺めるという構図だった。




 三日後。

 今日も二人は楽しそうにネットゲームをしている。

 強敵を一緒に倒すごとに、二人の仲が良くなってるような気がした。




 一週間後。

 今日もエイミと祐太郎の二人はゲームに興じている。

 二人はネトゲだけじゃなく、オフラインのパズルやレースゲームもやるようになった。



 

 一か月後。

 今日もゲーム───以下、略。




(………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ナニコレ?)




「あんたらいつまでゲームやってんのよ!?」


 我慢できなくなったリオは大きな声で叫んだ。

 エイミが振り返ってリオに言う。


「ちょっと外に出ようか」


 リオとエイミの二人は屋根の上に移動した。


「ゲームばかりしてた私を非難したクセに、あれはなんなの!? 私以上に堕落してんじゃん!」


(以前の自分が堕落してたという自覚はあったのね)


 エイミはやや呆れた眼差しをリオに向けた。


「遊んでたわけじゃないわよ。あなたの知らない所でちゃんと仕事してたし」

「どんな仕事?」

「ネトゲを通じて挨拶しない奴に挨拶するよう啓蒙───ってのは冗談で」


 拳を振り上げたリオにエイミが言う。


「いや、冗談なんだからその振り上げた拳を下ろしなさい」


 エイミが説明を続ける。


「敵を知り己を知れば百戦危うからずっていうでしょ? わたしはゲームをしながら情報収集をしてたのよ」

「情報収集?」

「そう。祐太郎君の情報をね」


 リオはエイミと祐太郎が何をしていたか一部始終を見ていたわけではない。

 たまに見に来る程度で、大半は天界へ帰ったり地上のゲーセンやネカフェで遊んだりしていたのだ。


「祐太郎の情報を集めてどうするの?」

「情報収集は基本のキだし、情報をどう役立たせるかを考えるのも仕事のウチだよ。祐太郎君がなぜ学校へ行かなくなったのか知ってる?」

「知らない」

「祐太郎君が学校へ行かなくなったのはイジメが原因だよ。仲の良かった同級生から急にハブられたり悪口言われたり殴られたりするようになったんだって」

「そんな事があったんだ」

「そう。まあそんな目に遭わされたら学校行きたくもなくなるよね」

「気持ちはわかるよ。んで、それをどう解決するつもりなの?」

「話を聞いた感じでは段階的な処置が必要だと思う。イジメへの対処法と再発防止策の二つね」

「具体的には?」

「わたしがどんな風に仕事するか、よく見てなさい」


 問題解決に自信を持ってるエイミは不敵な笑みを浮かべた。




* * *




 気付くと祐太郎は学校に居た。


(あれ? 俺なんで学校に……?)


 見慣れた廊下。教室。

 ここが自分の通ってた中学校である事は間違いない。


(ええっと…今日は三者面談なんだっけ)


 多くの生徒は母親が来ていたが、母がいない祐太郎はこういうとき祖母が来ていた。

 おばあちゃん子の祐太郎は、優しい祖母が好きだった。


(面談は終わったんだから、もう帰ろう。おばあちゃんはどこに?)


 辺りを見回すが、祖母の姿が見当たらない。


(おばあちゃん……どこだ?)


 祐太郎は嫌な胸騒ぎを覚えた。


(早く帰ろう、おばあちゃん。でないと───)


 言い知れぬ不安を抱えながら校内を探す祐太郎。

 廊下を小走りに歩いていた祐太郎の目に、恐れていた光景が飛び込んできた。


 誰かを探すように廊下を歩いている祖母。

 その後ろに同級生である浩史と仲間の二人の、計三人が祖母の後を付けるように歩いている。


「ゴミ」

「クズ」

「カス」


 三人は祖母に向かって聞こえるように暴言を吐いていた。

 祖母の肩は小さく震えていた。

 それを見た祐太郎の胸がズキンと痛む。


(やめてくれ……)


「クソボケが」

「学校来んな」

「消滅しろバイ菌」


 何度も何度も、繰り返し三人は祖母に暴言を浴びせ続けた。

 祐太郎はひどく気分が悪くなった。


(なんでこんな……) 


 リーダー格の浩史が祖母の後ろ頭をパンと叩く。


「………」


 祖母は気付いてないフリをして歩き続けた。

 それを見た三人は楽しそうに笑っている。

 今度は別の仲間が、祖母の頭をパンと叩く。


「………」


 それでも祖母は動じてないフリをして無言で歩き続けた。

 残りの仲間も祖母の頭を同じように叩いた。

 一連の光景を見ていた祐太郎は胸が締め付けられるような苦しみに襲われた。


(もうやめてくれ……)


 祖母を叩いた三人は心から楽しそうな顔をしていた。


 調子に乗った浩史が後ろから祖母の臀部にキックをする。

 その衝撃で祖母は少しよろけた。


 残りの二人も同じように祖母にキックをかました。

 キックされる度によろける祖母を見て三人は嘲笑した。


(………)


 ますます調子に乗った浩史が祖母の背中にジャンプキックをかます。

 大きな衝撃を受けた祖母は前のめりに転んだ。


 転び方がよほど面白かったのか、三人は爆笑した。

 その三人の醜悪な笑い顔を見た瞬間、祐太郎の中で何かがプツリと切れた。


「うおおおおおおお!!!!」


 気付いたら祐太郎は浩史に後ろからジャンプキックをかましていた。

 祖母の仇討ちである。


 キックされた衝撃で前のめりに倒れる浩史。


「ふざけんなこの野郎!!!」


 大好きな祖母が理不尽に痛めつけられ、祐太郎の怒りは限界突破していた。

 理性は吹き飛び、脳内は怒りのみが渦巻いている。


 仲間の一人を思いっきりグーで殴り、もう一人に前蹴りを食らわす。

 残った二人も浩史と同じく床に倒れた。


「テメーらはっ!!!」


 怒りに任せて倒れた三人を蹴りまくる。

 これまでのうっ憤を晴らすかのように、祐太郎は三人を蹴って蹴って、とにかくメチャクチャに蹴りまくった。


「許さねえ!! テメーらだけは絶対に!!!」


 祐太郎の蹴り、怒りはとどまるところを知らなかった。

 しばらく間、祐太郎は我を忘れて蹴りを浴びせた。

 

「………」


 蹴られまくった三人は死んではいないが、動かなくなった。

 怒りのエネルギーが尽きた祐太郎がハッと理性を取り戻す。


「………」


 目の前に居たのはエイミだった。


「エイミ……俺……」

「やれば出来るじゃん」

「俺……夢中で……」

「わかってる。自分の大切な人を理不尽に傷つけられたら、その大切な人を守る為に正当防衛に打って出る、実力行使に出るのは自然な反応だと思うわよ」

「でもこれ、やり過ぎなんじゃない?」


 いつの間にかエイミの隣にいるリオが口を挟む。


「それって───今おばあちゃんが何をされたか、祐太郎君がこれまで何をされてきたか───わかった上で言ってるの?」

「………」


 そうエイミに問いかけられると、リオは言葉に詰まった。

 イジメられたとはエイミに聞いたが、その詳しい話までは聞いてないのだ。


「おばあちゃんの仇討ちという事なら過剰防衛にも思えるんだけど?」

「あのね、もう一回言うね。祐太郎君がこれまで何をされてきたか、わかった上で言ってる?」

「祐太郎がイジメられた分の復讐もしたって事?」

「そうだよ。これももう一回言うね。自分の大切な人を理不尽に傷つけられたら、その大切な人を守る為に正当防衛をするのは当然の行為だよ。ここで言う大切な人というのは、おばあちゃんだけじゃなく”祐太郎君自身も含まれる”からね」

「!?」


 その言葉は二人の話を聞いていた祐太郎の心に小さく刺さった。

 リオが話を続ける。


「すべては正当防衛であり、正当な仕返しだったという事?」

「祐太郎君はおよそ半年間という長期に渡って、悪口や暴力という精神的、肉体的暴力を受け続けていたのね。1~2分ほど蹴りまくるというのは仕返しとして十分妥当な範囲というか、これでも足りないぐらいだと思うよ。半年間に渡って悪口言うとか蹴りを入れるとかして、ようやくイーブンになるの。わかる?」

「………」


 何も答えられないリオ。


「………」


 リオから反論がない事を感じ取ったエイミは祐太郎に視線を向けた。


「ねえ、祐太郎君。この三人を蹴りまくったのはどうして?」

「だってそいつらが、おばあちゃんに酷いことするから……」

「そうだね。三人がおばあちゃんにしたイジメは、祐太郎君が受けたイジメと同じものだってこと、気付いてた?」

「………まぁ」


 祐太郎は小声で答えた。


「祐太郎君はおばあちゃんに酷いことをした、おばあちゃんをイジメた三人を許せないと思った───だよね?」

「うん……」


 蹴りながら『許さねえ!』と叫んだことを思い出し祐太郎は頷いた。


「おばあちゃんをイジメた三人を許せないと思ったのに、自分をイジメた三人を許したのはどうして? おばあちゃんを守ろうと行動を起こしたのに、自分を守る為に行動を起こさなかったのはどうして?」

「………」


 自分でも理由はよくわからない。

 祐太郎は口をつぐんだ。


「祐太郎君は自分を守るのが下手、人付き合いが下手なタイプなんだと思う」

「………」

「コミュ力が低い、とも言うわね。物理的暴力は別として、精神的暴力から自分を守るというのはコミュニケーションスキルの一つなのだから」

「………」


 ここまで言ってエイミは『ふぅ』とため息を一つ吐いた。

 自分を守るのが下手な人間───それが一定数いることをエイミは知っている。

 コミュ神として、そういう現状は胸が痛いのだ。


「ねえ祐太郎君。大事なことを言うからよく覚えといて」


 力なくうなだれていた祐太郎が顔をあげる。


「悪口や暴力はもちろん、どんな仕打ちでも自分の大切な人にされて許せないと思うことは、自分自身に対しても許してはいけないのよ」

「………」

「自分自身に対して理不尽な仕打ちを許してしまうと問題が三つあって、一つはそれが毒となって自分の心や体を蝕むこと」

「………」

「もう一つはその毒を吐きだそうとするべく無自覚、無意識下で他人に対して毒を吐いてしまう、他人に理不尽な仕打ちをする加害者になってしまう可能性が高くなるということ。被害者が加害者に転じる負の連鎖ってやつだね」

「………」

「もう一つは他人に理不尽な仕打ちをしてなんの問題も無いなら『他人に理不尽な仕打ちをしてもOKなんだ』と加害者に学ばせてしまうこと。そう学ばせてしまうと加害行為は歯止めがきかず、被害者を増やしてしまうこと───などなどが問題として挙げられるわね」

「………」

「すぐに理解はできなくても覚えといて。どんな仕打ちでも自分の大切な人にされて許せないと思うことは自分自身に対しても許してはいけない、ってことを」

「………覚えとくよ」


 祐太郎は小さく頷いた。

 初めて知る概念もあって全てを瞬時に理解することはできなかったが、自分の大切な人にされて許せないと思うことを、そういう理不尽な仕打ちを自分自身に対して許すと心と体が蝕まれるというのは痛いほどわかる。


 頷く祐太郎を見てエイミが笑顔になる。


「良かった。大事なことだからよく覚えといてね」




 エイミが指をパチンと鳴らすと、学校の風景は消滅し、代わりに見慣れた自分の部屋の様子が目に飛び込んできた。

 学校から自分の部屋に瞬間移動。


(学校にいたはずなのに俺の部屋……何が……どうなって……??)


 わけがわからない祐太郎は自分の部屋をキョロキョロと見回した。


「さっきのは……なに……夢?」

「さっきの学校の全ては、わたしが祐太郎君に見せた幻だよ。幻夢っていう技で、まぁ夢みたいなものね」

「………」

「でもわたしとリオは幻じゃないし、祐太郎君と交わした会話はまぎれもない真実、という事は言っておくね」




* * *




 翌日。

 祐太郎の部屋に入ったリオとエイミは変化に驚いた。

 汚く散らかっていた部屋が、綺麗に片付けられていたのだ。

 昼間から閉ざされていたカーテンも開けられ、明るい陽の光が部屋を照らしている。


「いい! いいね! 部屋の感じ、すごく良くなったよ!」


 エイミが手放しで褒めると祐太郎は少し恥ずかしそうにした。


「ありがとう。すぐに学校に通うのは無理だけど、プリントをやって出しに行くぐらいなら、やっていいかもって……」


(マジかっ!?)


 筋金入りの引きこもりである祐太郎が学校へ行くことは絶対にないと思っていた。

 が、あっさり方針転換。

 たった1ヵ月での変化にリオは驚愕した。


 祐太郎が学校へ行くなら賭けは自分の負け、エイミの勝ちになる。


「引きこもりやめるぐらいなら自殺するんじゃなかったの!?」

「俺そんなこと言ってないだろ……」


 リオの問いかけに祐太郎は憮然とした表情で答えた。


「言ってたじゃん! それに近いようなことを!」

「言ってない」

「言った!」

「ハイハイ。もうやめなさい」


 やれやれという感じでエイミが二人を窘める。


「言った言わないはどうでもいいよ。大事なのはこれからなんだから」

「………」

「………」


 リオと祐太郎はフンと顔を背けあった。


「さて祐太郎君。確認のため質問させてね」


 エイミは場を仕切り直した。


「祐太郎君のコミュニケーションレベルはいくつか覚えてる?」

「11でしょ」


 この1ヵ月でエイミと祐太郎はゲームだけじゃなく、話もたくさんした。

 ある程度のことは祐太郎に伝えてあるのだ。


「祐太郎君はコミュレベルを上げたいと思ってる?」

「思ってるよ」

「なぜ?」

「幸福になる為。コミュレベルを上げたほうが職場で良好な人間関係を築くことが出来るし、仕事も上手くいきやすくなる。仕事が上手くいくと幸福に繋がりやすくなる……でしょ?」


 この辺はエイミの受け売りである。


「そうね。でもわたし言ったよね。コミュレベルが低いままでも仕事が上手くいくケースはあるって」

「こうも言ったでしょ。コミュレベルが低いまま仕事が上手くいくのは、飛びぬけた才能があるケースや奇跡的なレベルで周りに恵まれてるケースがほとんどだと。コミュレベルが低いと仕事の人間関係がストレスになりやすく、仕事自体も上手くいきにくい。結果として幸福になりにくいと」

「そうだね」

「俺は周りの人間に恵まれるという奇跡をアテにしてないし、自分に飛びぬけた才能があるとも思ってないよ。……いや、百パーそう思ってるわけじゃないというか───自分の可能性を盲目的に閉ざしてるわけでもないけどコミュレベルは上げておきたいよ。職場の人間関係だけじゃなく、お互いの人生を豊かにしあえるような友人や恋人がほしいと思うもん」


(すげえなお姉ちゃん! コイツの口から、こんな他人の幸せに配慮するような言葉が出るとは夢にも思わなかった。たとえお姉ちゃんの受け売りだとしてもさ、それに同意させるだけでもすごいよ。よくここまで改善させたなあ……)


 リオは素直に感心した。

 この話し合いになんの意味があるのかは謎だったが、黙って行方を見守ることにした。


 エイミが問いかけを続ける。


「コミュレベルを上げる為には何が必要?」

「リアルでの人付き合いの経験値。上手くいけばレベルが上がる。一度失敗してもレベルは下がらないが、同じ失敗を何度も繰り返すとレベルが下がりやすい」

「そうだね。リアルでの人付き合いの経験値を上げる為には、具体的にどんな方法が考えられる?」

「多くの人と関わり、WINーWINになる付き合い方や困った人間への対処の仕方を覚えること。学生の俺はコミュレベルを上げるため学校という場を利用するのが手っ取り早い」

「まあ学校はコミュレベルを上げるためだけの場じゃないけど、”今は”それでいいと思うよ」


 そこまで言うとエイミはニッコリ笑った。


「うん! とりあえずは問題なさそうだね!」


 どうやら話は終わったらしい。

 リオがエイミに尋ねる。


「ね、これは何のための話し合いだったの?」

「理由の再確認だよ。理由がよくわからないまま学校行ってると挫折しやすいでしょ? でも祐太郎君が自分なりに納得する答えを持ってるなら挫折しにくい。学校行きたくないと思う日が来ても、根底の動機がしっかりしていれば簡単に挫折なんかしないよ」

「それはどうかなあ……人生は厳しいし、困難もたくさんあるでしょ」

「うん、その通り。人生は厳しいよ。困難だってたくさんある。だからね、そん時はあんたが支えてあげなさい。それも任務のウチなんだから」

「そうなの!?」

「なに驚いてんのよ。もともとはあんたの仕事───」

「───ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 突然、祐太郎が口を挟んでくる。

 その表情はリオ以上に驚いてる感じだった。


「エイミは俺の傍にいてくれるんじゃなかったのか!?」


 傍にいるなど一度も言ってないが、エイミは申し訳なさそうに言った。


「ゴメンね」

「………」


 祐太郎は心底ガッカリして肩を落とした。


「でもこの子だってコミュ神だし、きっと祐太郎君の力になってくれるはずだよ」


 エイミはリオに向かって手のひらを向けるという誰かを紹介する時の仕草で、祐太郎の視線を誘導した。


「………コイツが?」


 訝し気な目を向ける祐太郎。

 侮辱されたと感じたリオはカチンときた。

 こんな奴が役に立つわけがない、というニュアンスを感じたのだ。


「なによこのヒキオタニート! 私じゃ不満だっての!?」

「……っ!? うっせえ! この役立たずの貧乳神が!」

「!! なんですってこの───!」

「ああーーー! やめなさいってば!! なんですぐケンカすんのよ!」


 すぐさま仲裁に入るエイミ。


「コイツが悪い!」

「コイツが悪い!」


 リオと祐太郎はお互いを指差しながら同時に叫んだ。


(息ぴったりじゃないのよ)


「まずはお互いを名前で呼ぶことからだね。あと、中学卒業までの残り半年は保健室登校でもOKだよ。ぶっちゃけ、学校行くより受験勉強に時間割いて、人間関係は高校からやり直したほうがいいかもしれない。もちろん、祐太郎君が普通に学校通いたいなら止めはしないけど」

「………」


 今さら中学校に通う気にはあまりなれない。

 あと半年で卒業なのでエイミの言う通り今は受験勉強に時間を使って、人間関係は高校からやり直したほうがいいような気がした。 


「卒業まで、都合良ければたまに見に来るよ。受験勉強がんばってね」

「ありがと……俺、頑張るよ」


 笑顔で励ますエイミに対し、祐太郎は照れくさそうに答えた。




* * *





─────半年後─────




 いよいよ今日から高校生活の始まりである。

 新しい制服に身を包んだ祐太郎はリビングに降りてきた。


「おはよ」


 キッチンで目玉焼きを作ってるリオを見た祐太郎は驚いた。


「うえ!? なんでここに!?」


 目玉焼きを皿に移し替えるリオ。


「卵の焼き方どうする? 目玉焼き? スクランブル?」

「スクランブル」

「オッケー」


 リオは卵を割ってボウルに入れた。


「……いや! そうじゃなくて! なんでいるんだよ?!」


 祐太郎がリオに会うのは半年ぶりである。

 エイミからリオが来るとは聞かされていたが、こんな朝早くから来るとは聞いてない。


「騒がしいな。どうした?」


 祐太郎の父親がスーツ姿でリビングに入ってくる。


「いや、コイツ……! 不法侵入!」

「不法侵入? なに言ってんだ? こっちの高校に通うから従姉妹のリオちゃんが今日からここに住むって、もう話しただろ?」

「ひどいよ祐太郎……従姉妹の顔を忘れるなんて。私達は顔見知り───でしょ?」

「そうだけど……いや、イトコって……」


 納得いかない思いと、どうせまた妙な神通力で父親をどうにかしたのだろうという思いが混ざり合って祐太郎は何を言っていいのかわからなくなった。




 学校へ行くまでの道のり。

 リオと祐太郎は並んで登校する格好になった。


「半年ぶりだね。元気だった?」

「まあ……」


 リオが尋ねると祐太郎は小声で返した。


「そんな事より、今日からウチに住むってマジで?」

「マジだよ」

「俺の父親に妙な術をかけたのはオマエか?」

「違うよ。私、そんな大きな力は使えないもん。術をかけたのはお姉ちゃんだね。体に害はないから心配しなくていいよ。術を解こうと思えばすぐ解けるし」


 エイミがかけた術なら心配なさそうだ。


「オマエ毎日、学校に行くつもりなのか? そんな制服まで着て」

「そうだよ」

「どこの学校?」

「同じ学校だってば」

「はぁ!?」

「いや、制服で気付きなさいよ」


 制服は男女でデザインが違うのでわからなかった。

 だが言われてみると、同じような色使いのブレザーである。


「同じ学校ってなんで? 神様が学校行ってなんの意味があんだ?」

「私が行くと迷惑?」

「そんなこと言ってないが……」

「じゃあ、いいじゃん。楽しく学校生活送ろうよ」

「………」


 高校生活は一人でゼロから頑張るつもりだったので、少し調子が狂うのを祐太郎は感じた。

 一人きりで頑張りたかったという思いは、ちょっとある。


「こっちでは緒方莉緒という名前なんで、よろしくね」


 緒方は親戚の苗字だ。


「あ、そうそう。名前といえば、一緒に暮らすにあたって、しておくべきことがあったね」

「なに?」

「まずはちゃんと名前で呼び合おう。ねえ、祐太郎。私のことは『オマエ』じゃなく『リオ』って呼んでほしいな」


 リオは祐太郎をまっすぐに見つめた。


「………」


 なんだか気恥ずかしい。

 祐太郎は視線を逸らしてボソっと言った。


「……………リオ」


 チラと見ると、リオは親指を立てて笑顔で言った。


「グッド」




* * *



【リオの回想】



──────半年前─────




 引きこもりをやめる宣言を祐太郎がした直後。


 天界。

 時刻は夕暮れ。


 大きな公園にある中央の噴水の淵に、リオとエイミは腰かけていた。


「はい」


 エイミがリオにミニペットボトルの紅茶を差し出す。


「ありがと」


 リオは礼を言って受け取った。

 下界ほど美味しいものではないが、天界にもミニペットボトルの紅茶はある。


「すごいね、お姉ちゃん」

「何が?」

「あの筋金入りの引きこもりを学校に行かせるなんてさ。賭けは私の負けだね。約束通り祐太郎のコミュレベルを上げるっていうミッション、最後まで頑張るよ」

「うん。期待してる」


 夕暮れの公園は寂しくも温かいような雰囲気があった。


「筋金入りの引きこもりって改善することは不可能と思ってたけど、引きこもりはああいう風に説得すればいいのか。さすがお姉ちゃんだね。勉強になったよ」

「!?」


 リオがそう言うと、エイミは少し驚いたような表情になった。


(この子……まずいかもしれない……)


「どうかした?」


 不思議そうにリオが尋ねる。


「……………あのね、リオ」


 エイミは優しく諭すような口調で言った。


「あれは”祐太郎君用の説得”だってこと、わかってる?」

「ゆーたろーくん用の説得ってなに? どういうこと?」

「だからさ、あの言葉は祐太郎君向けに言ったものであって、引きこもりなら誰に対しても効果があるわけじゃないってこと」

「??」


 まだわかってない様子のリオにエイミが説明を追加する。


「つまりね、引きこもりが百人いれば、百通りの説得方法があるってこと」

「………」


(そうなのかな? 言われてみればそんな気もするけど、どうなんだろう……)


「察してもらえた?」

「ああ、うん……」


 ぼんやりとしかわからなかったリオは生返事をかえした。


(ふぅう……………)


 エイミが心の中でため息をつく。


(まだまだ…だなあ、この子は。こんな初歩的なこともわからないようでは本当に六年かかる───いや、ヘタしたら六年以上かかっちゃうかもなあ……)


「……よし決めた。リオ」

「な、なに?」


 何が始まるのかとリオは身構えた。


「あんたしばらく祐太郎君のトコには行かなくていいよ。わたしが代わりに様子見に行ってあげる」

「なんで? しばらくってどのくらい?」

「祐太郎君が中学を卒業するまでの半年間」

「行かなくていいの?」

「いいよ。その代わり、あんたにはコミュ神としての修行を基礎からみっちりやってもらう」

「ええーーー!!」


 嫌そうな顔をするリオ。


「『えー!』じゃないよ。祐太郎君のコミュレベルを上げる前に、まずあんたのコミュ神としてのレベルを上げる必要性を感じた。例えば今回わたしが使った幻を見せる幻夢の術、あんた使えないでしょ、これ」

「だって覚えるの大変じゃん……幻夢は習得に一年ぐらいかかるって聞くし、力の消耗も激しいって聞くし……」

「それでも今回みたいに役に立つ機会はあるんだから覚えなさい。半年で」


(ぐはーーー! 無茶言いやがる! 鬼だね、この人)


 パッと見は笑顔なのだが、目がまったく笑ってないのが逆に恐ろしい。


「あんたの言う通り普通は習得に一年かかるけどね。半年で叩き込んであげるよ」

「あっ! 私、用事を思い出した! 洗濯物干しっぱなしだったんだ!」


 逃げようとしたリオの襟首をエイミがガシッと掴む。


「やれるよね? リオ」


 ゴゴゴゴゴ……という効果音が背後から聞こえてきそうな迫力。

 可愛い顔して、エイミは怒るとすごく怖い。


「や、やります……」


 子犬のように怯えてるリオは震える声で答えた。



【回想終わり】




* * *




─────現在─────




 高校生活は良いスタートがきれた。

 祐太郎はすぐに三人も友達ができたのだ。


 同じネットゲームや同じカードゲームをやっていた事から意気投合したのだ。

 特にゲームに詳しかったAとは三人の中で最も仲良くなった。


 皆で携帯ゲームを持ち寄り、休み時間や放課後などネットゲームを一緒に遊んだ。

 力を合わせて強いボスを倒した時は大いに盛り上がった。

  

「おらァ!」

「やった!」

「倒した!」

「よっしゃー!」


 四人の中では、Aが一番ゲームが上手く頼りになった。

 他のプレイヤー達とのチーム戦では獅子奮迅の活躍をみせた。


「ボケがァ! 死ね!」


 Aは学校で遊ぶ時は黙々とプレイするのだが、放課後クラスメートの見てない前ではこんな風なセリフをよく叫んだ。

 チャットでも他のプレイヤーに向かって『クソ雑魚乙』とか『ゴミww』といった煽りを頻繁に繰り返した。


 そんな姿を何度も見せつけられると、次第にAが楽しいのはゲーム自体ではなく、誰かを煽ったり罵倒する事なんじゃないか?

 それこそがAが一番に求めるモノなんじゃないか? という風に思えてきた。


 Aの攻撃性は敵対するプレイヤーだけでなく、味方に対しても悪意が飛んでくるようになった。

 味方がミスをすると、『チッ』という舌打ちをするようになったのだ。


 ミスをした人は「ゴメン」や「すまん」など口頭でAに謝ったが、Aの舌打ちがやむことはなかった。


 ある日、四人は教室で雑談をしていた。

 話題はカードゲームのことで、それぞれ懐かしい思い出を語り合った。

 その中でAが得意気に、こんなことを言ってきた。


「水晶の騎士とラグナロクとダークマターのコンボばっかり使ってたら、友達なくしちまったぜ」


 楽しそうに笑うAが話を続ける。


「プラチナドラゴンとリターンリングと真魔結界のコンボも友達なくしちまったな。やりすぎたわ。もっと手加減すればよかった……」


 Aは得意気に俺ツエエーしていたが得意の絶頂にいるAとは対照的に、祐太郎含む三人は不快な気持ちになっていた。




 放課後、その日はAを除いた三人がファーストフード店に集まっていた。


「アイツ、調子乗ってね?」

「乗ってるな。最近はアイツと遊んでても楽しくねーわ」


 祐太郎は二人に全く同意だったので、自分も思っていたことをぶっちゃけた。


「ぶっちゃけ、イキリガ○ジだよな」


 祐太郎がそう言うと、同じ気持ちだった二人は大笑いした。


「イキリガ○ジ!」

「それな」


 ウケたのを見て嬉しくなった祐太郎は更にこう言った。


「友達なくしたことを自慢げに語るってのもアタオカだよな」

「俺があまりに強すぎて友達なくしたー、みたいな? 本物のコミュ障ガ○ジだわ」

「俺ツエエーしたくてたまらなかったんだろうな。友達なくすほど強いって自慢されても、厨二病のゴミカスとしか思えねえ」


 さらに祐太郎が畳みかける。


「アイツの舌打ちもムカつくよな」

「わかる! ちょっとミスするとすぐ不機嫌になんだよな」

「テメーだってさんざんミスってるクセにな。自分のミスは謝らない時があるけど他人のミスは絶対に舌打ちするんだよな」

「控えめに言って、クソだわ」


 祐太郎がそう言うと、おおいにウケた。


(これを言ったら終わるかもしれない……本当にこれを言っていいのだろうか)


 そんな迷いもあったが、もう止まれなくなった祐太郎は思ってたことを吐露した。


「Aはハブでも良くね? オレもうアイツと遊びたくねーわ」


 これもウケるだろうと思って二人を見ると、なぜか二人の姿は消えていた。


「………?」


 二人はどこへ行ったのだろうか?

 祐太郎は店内を見回した。


「ハブにするんだ?」


 声のしたほうに目を向ける祐太郎。


「リオ!?」


 消えた二人に代わって、正面のイスにはいつの間にかリオの姿があった。


「突然ハブにされるって辛いだろうね。A君は」

「知ったことか! 元々はアイツが悪いんだろ! イキリガ○ジとは付き合ってられん!」

「イキリガ○ジねえ……ところでA君って誰?」

「誰って……」

「そこにいる人のこと?」


 リオはテーブルの横を指差した。

 祐太郎が指差された方向に目をやると、そこにはAの姿があった。


「!?!?!?」


 祐太郎はゾーっと背筋が寒くなり、凍りつくような衝撃を受けた。

 そのAは祐太郎と同じ顔をしていたのだ。


 いや、もっと正確にいうならAではなく、その人物は”祐太郎本人”だったのだ。

 それに気付いた瞬間、祐太郎の意識はAに乗り移った。


 座っていた祐太郎はもういない。

 いるのはバカみたいに立ち尽くしている自分と、リオだけだった。


(終わりだ……俺は皆からハブられる……)


「もう終わりだ……」


 圧倒的な絶望感。

 祐太郎は死んでしまいたいような陰鬱な気持ちになった。


「終わりじゃないよ。ここからが始まりなのだから」


 リオが指をパチンと鳴らすと、ファーストフード店が消えて、自分の部屋の風景が目に飛び込んできた。




「おかえり。どうだった? 私の幻夢」

「げんむ……?」

「夢、幻ね」


 幻と言われても安堵感はまったくない。

 心に残ってるのは陰鬱な絶望感だった。


「今はいつ……どんな状況……?」

「高校の入学式を終えて家に帰ってきたっていう状況だよ。本格的な高校生活が始まるのは明日からだね」


(そうだ……)


 今日は入学式を終えたばかりということを祐太郎は思い出した。


「夢だったんだな……」


 ハッキリ思い出した時点で、祐太郎は少し安堵した。

 あれが現実じゃなくて良かった。

 本当に良かった。


「そうね。もう気付いてると思うけど、あのAっていうのは”中学時代の祐太郎君”だよ。どんな風にイキっていたか、どんな風に俺ツエエーしていたか、客観的に見てもらおうと思って」

「………」

「見ていて不快だったよね? 『イキリガ○ジ』呼ばわりしたくなるほど」

「………」

「今まさに身をもって知った通り───イキリや俺ツエエーは他人を不快にさせる可能性が高い───それを覚えてほしくて。中学時代の祐太郎がイジメられたのだって、これが原因なんだから」

「だからイジメは仕方がないと?」

「違うよ! そんなこと言ってない! イジメをもって思い知らせるなんて、コミュレベルがイキリストと同じだってば。そんな方法は間違ってる」


 リオは大きな声で否定した。


「じゃあどうすれば良かったの?」

「あの場合は本音をぶつけあってコミュニケーションをとるべきだったと思うよ。それがベターな対処法じゃないかな」

「………」


 話が脱線したので元に戻す。


「あのね、私が言いたいのは───なぜああいう幻を見せたかっていうと───」


 リオは少し寂し気な顔になり、絞り出すように言った。


「私はただ、祐太郎に同じ失敗をしてほしくないってだけ……それだけなのよ」


 本気で相手の為を思う心配。

 そんな風に感じられたリオの言葉は祐太郎の心に染み入った。


 たしかに同じ失敗を繰り返すのは愚かなことだ。


「……わかった。覚えとくよ」


 イキリや俺ツエエーは他人を不快にさせる可能性が高い……祐太郎はこの言葉を胸に刻みこんだ。

 その説得力は身をもって知った通りである。


 イジメへの対処法と再発防止策の二つが祐太郎には必要。

 過去にエイミに言われたアドバイスをリオは見事に実行した。


 コミュニケーションクエストの攻略が、ようやく本格的に始まる。

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