背徳の食卓
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「は?」
山姥は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。
そして不快気に眉を顰めた。
「何の謎解きですか。食べられないものと食べてはいけないもの?わたくしは言葉遊びをしに来たのではございません。」
言い返す姿に内心ため息をつく。
こやつ、何も分かっていないどころか分かろうともしておらぬな。
「言葉通りの意味じゃ。食べられないものと食べてはいけないもの、だ。」
山姥は不快な顔をしていたが、騒動があった時にぶつかって鞄から飛び出たであろうカップ麺を拾い上げた。
「この様な不健康なモノを口にする輩の戯言など何も響きませんわ。」
手にしたカップ麺を軽く振る。
指先に力を込めようとしているのが感じる。
「それを握りつぶしたら、其方も食べ物を粗末にしている輩と同じじゃからな。」
わしの言葉に山姥はぴくりと眉を動かし、渋々とカップ麺を机の上に置いた。
「なんか、背徳の食卓みたいだね。」
呑気なと言えば聞こえは良いが、アホ丸出しの声に生ぬるい目を向けてしまう。
「お重箱とカップ麺が並んでるなんて、ジャンク飯と正統ご飯。インスタントと手作りごはん。でもどっちも美味しいもので嬉しくなるじゃん。やっぱり炭水化物、神だよね。」
このアホ娘。どれほど肝を冷やしたと思っておるのだ。
だが場の空気が少し変わった。
「気分は悪くないなか?」
「うん。もう大丈夫。」
よっこいしょ、と年頃のおなごらしかぬ掛け声を出しながら、はれは己が元々座っていただろう席に腰を下ろした。
そしてわしと対峙している山姥に目を向けた。
「取り敢えず、座りませんか?わたしも話したいことがあるし。」
「まず」
上座に山姥を座らせたはれが口火を切った。
「わたしの態度が不快だったらごめんなさい。気分を悪くした事はお詫びします。」
はれは軽く頭を下げた。
上げた顔はまだ顔色が悪く、こんも背後で心配しているのがわかる。
わしとしても、はれは悪くないと言いたいところだが、何か考えがあるかもしれぬと見守る事にする。
「本当に、いまの人間は」
「一つお聞きしたいのですが」
あくまで自分は悪くないとぶつぶつ言い出す山姥をはれが遮る。
「アレルギーってご存知ですか?」
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