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山姥殿ですか?

お越しいただきありがとうございます。


 わたしが授業を終え部活の用事を済ませてから帰宅すると、丁度昼時だった。


 もともと今日の昼食は家で済ませるつもりだったので、お弁当は作ってもらっていない。

 帰りに寄ったコンビニで新作のカップ麺を入手して、それで済ませるつもりだ。


 気になっていたブツを手に入れられたので、うっきうきで頭の中は〆をどうするかで一杯だ。

「残ったスープにご飯をぶち込んでキムチとチーズ乗せようかな。それとも小鍋に移してご飯の上に明太子と玉子で雑炊にするか。豆乳入れてお餅入れるのもまろやかでいいよね。」

 頭の中は食べることで一杯だ。

 自転車を漕ぐ足にも力が入る。


「あれ?」

 家の近くまで来ると、門の前に人影が見えた。

 配達員さんがお届け物に来てくれているわけじゃ無いよね?など思いながら自転車を降りて近づき声をかけてみる。

「あの、何か御用ですか?」

「この家の方ですか?」

 声を掛けるとその人物はゆっくりと振り返った。

 年の頃は多分、わたしのおばあちゃんと同じくらいだと思うから70代半ばくらい?白髪の髪を結い上げた和装の御婦人が立っていた。

 お母さんの知り合いにしては年が離れているように見えるし、わたしが知らない親戚の人なのかな?

「はい。何かありましたか?」

「こちらに白の君が居られると耳にはさみましたが、ご在宅でしょうか。」 

 

 あーごんの関係者か。

 

 たろちゃんの件があってから、このような事がぽつぽつある。

 迷い子の関係者たちが、己の養い子を案じて相談に来るようになった。

 大抵は隣のぶんちゃんの家を連絡先にしているようだけど、隣が留守だと我が家を訪ねてくるモノたちも居る。

 いつもわたしが対応出来るわけでは無い、他の家族が対応に出たらどうするつもりだ、とごんに文句を言うと、中の気配をよく探ってから来るようにと徹底していることと、目眩まし的な結界のようなものを張っていると言っていた。

 いつの間にか、自分の家が不思議な館になったしまったようでちょっと怖い。


 うちに来たということは、お隣はお留守ということか。

 まあ、平日だからぶんちゃんは仕事だし、たろちゃんも学校に通いだしているから居ないのも不思議ではない。


 ここで会っちゃったから仕方がないかな。

 わたしは門を開けて、中に入るよう婦人を促した。


「はれさま、お帰りなさいまし。」

 家に入ると出迎えてくれたのは、ごんの影武者的存在のコンちゃんだった。

 昨年の神無月に、ごんの代わりとしてうちにいた子だが、その後も度々ごんの不在時には代わりをするようになっている。

 まあ、お母さんとか仕事早退して帰ってくることもあるし、そんな時にごんが居ないと大騒ぎになりそうだしね。

 

「ごんは?仕事?」

 コンちゃんがここに居るというはことは、ごんは居ないということだ。

 こんちゃんはできないこくりと頷いた。

「白の君はお社に行かれました。」

 ああーどうしよう。

「何かございましたか?」

 こんちゃんはコテンと首を傾げた。それと同時にわたしの背後の存在に気がついたようだ。


「山姥殿ですか?白の君とお約束があるとは聞いてはおりませんが。」

 

 







お読みくださりありがとうございました。


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