ぶんにも説教じゃ
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「まあ、仕方ないよね。こっちの界はすぐ新しいもの出るし。」
「こちらの界」 というのは、現世のことだ。現界は変化が目まぐるしい。
気を抜いていると、昨日まで新しかったはずの情報が今日になったら時代遅れになっている、ということも多々ある。
これに関しては「界の時間の流れ」が違うせいもあるのだが。
が
「わしが着ていた衣服も新しい情報のはずなんじゃがな。」
そこそこ自信のある服装だったのに、はれは目を剥かれ、文治郎には顔を背けられるわで散々じゃった。
「ぶん兄のアレはちょっと違う気がする。」
「そうなのか?顔を真っ赤にさせて、鼻の辺りを押さえながらこちらをチラチラ見ておったが?アレは見るに堪えないということではないのか?」
あの時にアヤツは顔を天井に向けて上げ、手布巾で鼻を押さえておった。
太郎に問うと微妙な顔をされた。
「だってあの時ぶん兄、膝小僧が尊いとか、白い太ももが罪とか。」
何やら太郎はブツブツ言っておるが、声が小さくよく聞こえない。
「なんじゃ、聞こえんぞ。」
太郎はわしに清々しい笑顔を見せた。
「知らなくて良いこともあるよね。」
「ポテト無くなっちゃったね。何か買ってこようか?」
机の上を見ると摘めるものはもうなかった。
時間を確認すると昼を少し過ぎている。
「はれが昼飯時には戻ると言っておったから、もそっと待とう。」
「おれ、腹減った。」
口を尖らせる太郎をなだめる。
「ここで腹一杯になって、昼飯を食えなんだら怒られるぞ。」
「うー」
太郎は不満げな顔をする。
しかし『買ってくる』か。少しずつ慣れてきてはおるのじゃな。
「なに?」
「なにとは?」
「何か、笑ったように見えたから。」
「そうか?」
無意識じゃった。
太郎が適用しようとしいるところが確認でき、表情に出てしまったのじゃろうか。
「『買い物』出来るようになったのじゃな。」
太郎はきょとんとした顔をしてからちょっと笑ってみせた。
「まあね。2人暮らしだし、ぶん兄居ないときは出来ることやろうと思ってるし。」
「えらいのう。」
「子供扱いするなだし。」
心から出た言葉なのに、太郎はムスッとした表情をした。
「でもさ、俺がいた村って金使うコトってあんましなかったんだよ。」
「ああ、物物交換が多かったのか。」
太郎はそうそう、と頷いた。
「金なんか、行商が来るか市場に行くかしないと使えなかったし。おれまだガキだったから奉公にも行ってなかったから、釣れた魚を庄屋様に買ってもらうときしか縁がなかったし。」
わしは頷きながらきいた。
「ぶん兄と暮らしだして、必要な物があったっらってスマホ出されたときはビックリした。」
「はれも言っておったな。現金使わなくなったと。」
昔は買い物に必須だったのに。時は変わるものじゃ。
「これさえあれば、何でも買えるってすごくない!?」
「何でもではない。対応していない店もある。」
「そうなの?」
「そうじゃ。それと使い過ぎには注意せよ。」
「何で?」
太郎はキョトンとした顔になった。
「それは魔法の機械では無いからの?使ったら使っただけの金が引き落とされる。」
「え」
太郎の顔が若干引っつて見える。
此奴にはまだ与えるのが早かったようじゃな。
ぶんにも説教じゃ。
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