おはよう、はれ姉
お越しいただきありがとうございます。
世の中には『世話焼きおばさん』とか『お節介おばさん』とか存在するらしい。
困っている人を見ると声を掛けるとか、頼んでもいないのに手助けしてくれるとか。
それはありがたいときもあれば、迷惑に感じることもあったり。
受け取り方は人それぞれだろう。
わたし的には、その言葉のイメージは関西圏に住んでいるオバサマたちのイメージが強く、わたしの住んでいる地域は関係ない世界の話だと思っていた。
しかし近頃、うちの母は世話焼きおばさんではないか?と思うようになった。
「おはよー」
「おはよう、はれ姉。」
寝ぼけ眼のパジャマ姿、寝癖も付いているだろボサボサ頭でリビングの扉を開けると、床に座布団を敷いて太郎ちゃんがリビングの机で宿題を広げていた。
何故かひざにごんを抱っこして。
「おはよう、たろちゃん。来てたんだ。」
そのままソファーにゴロンと寝転がる。
「うん、さっき回覧板持ってきたら、おばさんに上がっていけって言われたから、宿題持ってきた。」
「えらいね〜たろちゃん。」
喋っていたらあくびが出てきた。
『たろちゃん』こと浦島太郎くんがぶんちゃんと暮らしだして一月が経った。
ぶんちゃんが一番初めにしたことは、周囲への根回し。つまり、隣人となる我が家への挨拶だった。
この度訳があって遠縁の子供と暮らすことになり云々。少々事情があり、学校など行けない状態だったので等など。
ご迷惑をおかけするかもしれませんがよろしく、と。
対応していた母も最初は引き気味だったけど、両親はかなり前に亡くなっており、閉鎖的な環境で育ち、本人も心の傷が、みたいな事を話されると、母性愛?世話焼きおばさんのスイッチが押されたらしく
「お手伝い出来ることがあったら何でも言って!」
いきなりがしっとぶんちゃんの手を握り、ぶんちゃんも驚いた顔をしていたけど、何だかんだ不安なところもあったのだろう。
「是非!よろしくお願いします!」
力強く手を握り返していた。
そして母はたろちゃんの顔を覗き込み、
「困ったことがあったら何でも言ってね。お勉強分からないとこがあったら、このお姉さんが教えてくれるからね。」
あっさりわたしも巻き込んできた。
「はれ姉、ここ教えて。」
「今、何やってるの?」
「算数。」
テキストを覗き込む。小学生レベルの計算問題で良かった。これなら教えられる。
たろちゃんの今の年齢は14歳。本来ならこの春から中学3年生で学校に通っている年だ。
でも、元いた時代も教育なんて無かったろうし、いきなり一般の学校に入学というのも難しいだろう。どうするのだろう。
他人事ながら悩んでいると、ごんがあっさり解決してしまった。
「お前の大学の付属中学校に入れる。まあ、しばらくは個別授業じゃが。」
確かにうちの大学は幼稚園から小中高大学まである。でも、入学するには私立校だから入試がある。
ごんにその事を聞くとこれまたあっさりと言われた。
「あの学校は元々異界とのつながりが強いからの。受け入れは問題ない。」
お読みいただきありがとうございました。




