よく無事だったね
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そういえばなんで鶴だったんだろう。
「仕方がないじゃろう!近くにあった魂の入れものがそれしかなかったんじゃ!」
『魂の入れもの』って。魂って他に入れ替えることが出来るの?しかもそんな簡単に。
「はれ、言うておくが魂を他のものに入れ替えることは出来る。ただ、それには条件が揃わないと無理じゃ。」
わたしの表情を読んだごんが教えてくれる。
「太郎くん、その時点で死んではいなかったんだよね?でも、体から魂を抜き取って鶴の体に入れたってこと?」
ごんはコクリと頷いた。
いや、どんな技なの、それ。
「気がついたら違う生き物にって…これ『転生』とは違うの?」
「転生は生まれ変わりですから。この場合は浦島殿の魂を入れ替えただけですので違いますね。」
ぶんちゃんの説明何が違うのかよくわかないけど。
「大体、何でそんな面倒くさいことしたの。そのままの姿で龍宮城に戻ってもよかったんじゃない?」
「太郎の心体が持ちそうになかったのじゃ。」
やっと帰った故郷はなくなり、誰一人知る人は居ない。それは、どうしていいか分からないだろう。
心が壊れてしまいそうになるのも分からなくもない。
「でも、心体?玉手箱って開けたんだ?」
「開けたよ。土産だって持たされたから、何か役に立つものが入っているかもしれないって思ってな。」
おみやげだと思って開けた箱が、そんなものだとは思わないよね。
大体、何でそんなものを持たせたんだろう。昔から不思議に思っていた。土産どころか呪のアイテムじゃん。
昔読んだ浦島太郎の挿絵を思い出した。
玉手箱を開けてお爺さんになって呆然としている姿。
そんな事が実際に起こったら、確かに心も体も壊れておかしくない。
わたしは太郎くんを見つめた。
「良かったね。無事で」
「良くねえし!無事でもないし!!」
ブチギレられた。
「気がついたら自分の体見下ろしてて、俺、鶴になっていたんだぞ!足も変な蹼みたいになってるし、手も羽になってるし、おまけに亀はしがみついているし!」
あーほんっとに思った。想像したらなんか、うん。カオス通り越してる。
「よく無事だったね。」
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