なんで見た目がこんなに違うの?
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「あ、ごめんなさい。」
わたしは慌てて太郎くんに頭を下げた。
お話の中の登場人物を語る勢いで呼び捨てしちゃった。
いきなり呼び捨てにされたら不愉快だよね。
あれ、でも。
「太郎くんとぶんちゃんって、年代的に言えば太郎くんのほうが年上だよね。」
カメ吉はべそべそ泣いているので、ごんにきく。
「そうじゃな。」
「わたしも幼いときに御伽草子で聞いたことがありますので、かなり年は上かと。」
御伽草子って、かなりの大昔の響きがあるな。
でも、諸説あるらしいけど確かに鎌倉時代より前から似たような話があるって、授業で教わったことがある。
ぶんちゃんが生活をしていた時代は、話を聞くと江戸末期から明治くらいかなって思っている。
「何で太郎くんとぶんちゃん、何で見た目がこんなに違うの?」
「はあ?おれのどこがそいつより劣ってるんだってんだよ!」
話を聞いていたらしい太郎くんが目を吊り上げて食って掛かってくる。
「いや、誰も劣ってるなんて言ってないよ?」
あまりの勢いに後ずさってしまった。
「太郎、話は最後まで聞け。はれ、質問は内容をきちんと話せ。」
ごんのフォローに太郎くんは黙ったが、面白くなさそうに私を睨む。
聞き方が悪いのは、ごめんだけど、そんなに怒らなくてもいいじゃん。
「はれ、見た目の違いとは何じゃ。」
「あ、うん。太郎くんとぶんちゃんの見た目の年齢のこと。」
ぶんちゃんも正確な年齢は分からないけど、見た目は20代半ばくらい。大人の男の人の姿をしている。太郎くんは、どう見ても10代半ばで中高生にしか見えない。
ごんは以前、ぶんちゃんがこちらの界に戻ったのは独り立ちできると判断ができたから、と言っていた。でも、太郎くんはどう見ても未成年で、保護者が必要な歳にみえる事をごんに伝える。
ごんは少し考えるような仕草を見せた。
「はれは竜宮城から戻った『浦島太郎』がどうなったか知っているか?」
「玉手箱を開けたら白い煙が出てきて老人になった、ってやつ?」
「その後じゃ。」
「お爺さんになって困っている太郎の元に亀が来て、太郎を鶴の姿に変えた?」
『太郎』を呼び捨て連発したけど、ここは許してもらおう。
それから鶴と亀って長寿の象徴になったんだよね。
「そんな現実はおとぎ話みてーな話では済まないから。」
御伽話の人のはずの太郎くんはわたしを親の仇のように睨みつけていた。
「えっと、何か間違えている?わたしが知っているお話はこんな感じだったんだけど。」
「ほんっとにざっくり過ぎて、省略しまくられてるの腹立つ。」
太郎君は吐き捨てるように言う。
そんなこと言われても困るんだけどね。
「なら太郎、その『省略』された部分を教えてやれば良いではないか。」
太郎くんはごんを睨みつけると苛立たし気に舌打ちをした。
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