カワイイ生き物
お読みいただきありがとうございます。
変な夢を見たもんだ。
授業を聞きながら思い出してため息をついた。
朝、目覚めるとわたしの部屋にごんの姿は無かった。
ごんは昨夜出してきたゲンが昔使っていたキャリーの中に入れられて、リビングの片隅でスピスピ眠っていた。
母曰く、昨夜も特に鳴くわけでもなくぐっすり眠っていたらしい。
小さい生き物の寝姿って、激かわ。ほんと、罪の領域だと思う。
可愛い白いモフモフが眠っている姿‥
うおー天使がおる!
しかもしかも!昨日は夢の中でも出てきてくれたわけですよ!オデコ足蹴にされた気も何となくするけど、寝ている飼い主のほっぺをペロペロですよ!ああ!ウチの子天使!可愛さ、世界一!!
「はれ、顔、気持ち悪い。」
隣で授業を受けていたさくらの声に我に帰る。
「顔が気持ち悪いってひどくない?」
「あと、授業終わったから。」
ムッとして言い返すも冷静に返された。
え?マジで?
周りを見回すと、みんな片付けをしたり教室を出て行ったりしてる。
「ニマニマしながらノートとってんのはマジ引いたわ。」
「だって〜可愛いんだよ、うちの子!」
見る?
鞄からスマホ取り出そうとしたら冷たい目で見られた。
「いいからお昼食べに行こう。学食?」
「弁当。さくらは?」
「おにぎり持ってきた。でもコンビニ寄りたい。」
「りょ。」
昼時の激混みコンビニで何とか欲しいものを買って、その場から抜け出す。
学食は多分席が無いだろうから、ラウンジでご飯を食べる事にしててれてれ歩き出した。
「はれのウチって犬飼ってた?」
「昨日、拾った。」
「保護犬ってやつ?」
「そうなるのかな?散歩に行ったら付いてきた。獣医さんとこ連れてって、もし該当の迷い犬がいたら返さなくちゃいけないけどね。」
そう、そこが気がかり!あーんな可愛い子、いなくなったいたらおウチでは大騒ぎだよね‥返したくないけど、そこは、ねえ‥
「はれ、また顔。」
「『顔』で止めるやめ」
文句は最後ま言えなかった。人混みの中に数日前までの想い人と『しんゆう』の姿が見えたから。
二人仲良く笑い合っているのが後ろからでも、分かる。
なんと言うか、なんて言っていいか分からないけど、ああ、そうかって思った。
なんとなく分かっていたけど見たくは無かったかな。
「はれ、ラウンジじゃなくて講義室で食べよう。」
察したさくらがわたしの腕を掴んで歩いてきた道を戻り出した。
つられてわたしも歩き出す。
背を向けて歩き出したわたしは気がつかなかった。
元友人が振り返って私たちを見ていた事
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