己の浅はかさを思い知ったか
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「やはりお主だったか。」
ごんは「やれやれ」とばかりにため息を付きわたしを見た。
「なぜ言わんかった?」
なぜって言われても。
「道端で亀拾って川に返したって、話すほどのものでもないじゃん。」
「常日頃ある話でもなかろう?」
「お父さんの実家に、よく2軒隣の家の亀が迷い込んでくる話聞いていたから、どこぞの迷い亀かなって。」
わたしも迷子になりやすいけど、迷子はわたしに専売特許じゃないもんね。
「あんな所から落とすなぞ、わしを殺す気か!」
「殺す、なんて人聞き悪いな。」
亀の文句にカチンとくる。あのままあそこにいたら十中八九命は無かったよ。ってあれ?
「この亀、しゃべってる?」
「わしは最初から話している!お前にも声をかけた!」
声をかけた?覚えがない。呼ばれたような気はしたけど。
ごんに目を向けると今気がついたような顔をした。
「おそらくじゃが、今言葉が通じているのはわしがそばにいるからじゃろう。」
「どうゆうこと?」
「詳しいことはわしも分からんが、わしを仲介として言葉が通じているのか、と。」
なんか分かったような分からないような。
「じゃあ、これからもごんが近くにいたら動物の言葉がわかるの?」
なんかワクワクしてきた。動物の言葉が分かるなんてドリトル先生みたい。
そんな期待にごんはあっさりと首を横に振った。
「わしにそんなチカラはないよ。」
そうなんだ、残念。でもまあ確かに、これから食べようとしている魚の声とか聞きたくないしね。
「そういえば、お主先ほど物騒な事を言っておったな。はれに落とされて殺されかけたとか。」
「落としてなんかいないよ?」
「あの高さから投げ入れられるなぞ!」
「同時に喋るな。分けがわからん。」
ごんは鼻にシワを寄せ、嫌そうな顔をした。目線で問いかけられたので亀を見つけたときのことを話すとため息を突かれた。
「それは、はれ、お主が悪い。」
「え~」
せっかく川に戻してあげたのに、どこが悪いの。なんか、理不尽。
「川に戻したのは良いとしても、橋の欄干から投げ入れるのはいかがなものかと思うぞ?」
「だって、川辺まで降りるの危ないじゃん。」
階段一応あるけど急だし暗くなりかけていたし。
「まあ、確かにそうじゃが。なら、橋の脇の方においておくとか出来たじゃろう。高い場所から落とされるのは怖いものじゃよ?」
ごんにいわれて納得してしまう。そうだよね。それは怖いかも。
わたしは亀に頭を下げた。
「ふん、やっと己の浅はかさを思い知ったか。」
ああ?何か態度でかいな、こいつ。
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