ええ!?
お越しいただきありがとうございます。
はれさまは寝ぼけ眼でわたくしを見つめながらゆっくりと手を伸ばし、いつものように頬のあたりを描いてくださいました。
つい『いつも』など思ってしまいましたが、たった一月です。こんな短い間なのにわたくしは、はれ様に撫でられるのが当たり前のこととなっていたのです。
こんなに優しくしてくださるはれ様をわたくしは…己の浅ましさに消えてなくなりたいほどです。
「こんちゃん、どうしたの?
はれ様は両手を伸ばしてわたくしを抱き上げ、ご自分の胸の上に置きました。
「お腹すいた?どこか痛い?ん?」
わたくしは首を横に振り、はれ様の指先の匂いを確かめてからほんの少しだけ舐めさせていただきました。もう、白の君がお戻りになったので必要がないことなのですが。
お話をしているうちに段々と目が冴えてきたのでしょう。わたくしを両の手で抱き、ガバリ!
と起き上がられました。
「こんちゃん、無事⁉」
勢いよく起きたせいで「あ、目眩」と一瞬目元を圧えられてから、確認するようにわたくしの体を鰆れました。
「あの変なのに触られて!潰されかけていたよね⁉大丈夫?痛いとこ無い?」
「大丈夫じゃないのはお前じゃ。体は何ともないのか?」
わたくしの体をペタペタ触るはれ様に呆れたように白の君がお声をかけられました。はれ様は驚いたように声の方向をみられました。
そして、そこに寝そべっていられる尊きお姿を見つけられたようです。が、どうなさったのでしょう。何故か疑うような眼差しを向けておられます。
「ひょっとして、ごん?」
「おう、よう分かったな。」
白の君はゆっくり立ち上がると、はれ様の下に歩み寄られ、お顔を覗き込まれました。
はれ様も白の君に手を伸ばされ頬の辺りを鰆れました。
「デカくない?これで家に帰ったらお母さんびっくりしちゃうよ。」
「帰宅のときにはいつもの大きさになる。母君を驚かすわけにはいかぬでな。」
ん?大きさ?白の君は普段通りの大きさで居られますが。
「ごんはお仕事終わったの?まだ10月終わってないよ?」
「急ぎの用が出来たのでな。一足先に帰ってきた。」
白の君はほんの少しお顔を動かし、はれ様に撫でられる箇所をずらされました。
なんと申しますか、お二人が醸し出されている空気がほのぼの、というか何と言うか恋仲の二人のやり取りのようで、はれ様のお膝の上に乗っているわたくしは居た堪れない気持ちになってしまいます。
「して、どこぞ異変は無いのか?」
「異変?特に無いよ。」
「そうか、それは何よりじゃ。」
白の君は一歩下がられると、後ろ足で立たれ、前足ではれ様の頭を叩かれました。
「この、バカ娘が!!」
ええ!?
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