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名前、どうする?

お越しいただきありがとうございます。


 我が家では夕食が一家の団欒の時間だった、今は少し形が変わってしまったのだが。

お父さんは残業。お母さんも仕事帰りでバタバタ。私はアルバイトなどで帰宅が遅い。

2年前は兄がいた。しかし兄が進学の為に家を出たので、基本母と二人で食べる事が多い。土日は父も一緒のこともあるけど。

兄が出て行って、げんが死んで、変わってしまった家族の時間にもっと歪みが出てしまった。


でも、今日は……


「すっごく、ぐったりしていないか?」

平日の今日、一人遅い夕飯を食べ出した父は、ソファーの上をチラリとみた。

「環境が変わって、疲れているんじゃない?」

母は湯飲みにお茶を注ぎ、父の前に置く。

「はれ、お茶飲む?」

「うん。」

ソファーに座っていたわたしは立ち上がった。

その振動で、横にグデラーとしていたモフモフは目を開けたが、またすぐに閉じた。


あの後、母はモフモフを拾った自販機のまで車を走らせた。

その辺で犬を捜している人がいないか、この犬を知らないかと、自販機を置いているお店の人に聞いたり、少し周辺を歩いてみたりした。

捜している気配がまるで無かったので、またわたしたちを車に乗せると、今度はゲンがお世話になっていた動物病院に連れて行った。

拾った状況を説明すると、先生が似たような犬が探されていないか、確認をしてくれた。

今のところ、該当する犬はいなかった。

もし、今後申し出があったらその時はまた相談することにして、母は健康診断とトリミング、出来る予防接種を頼んだ。

健康診断の結果は特に問題が無かったけど、色々されて疲れてるだけ、らしい。


「生後、どのくらい?」

「二ヶ月くらいらしいよ。」

まあ、多分だけど。

「飼うの?」

父は空になった湯呑みを母に差し出した。母は受け取って、お茶を淹れて父に差し出した。

「まあ、拾ってきちゃったし。飼い主は、はれってことで。」

「だーから、勝手について来たの!」

ここははっきり言っておかないと!


  あ、そういえば。

 

「名前、どうするの?」

「なんだ、まだ付けて無かったのか。」

食事を終えた父がリビングに移動した。

定位置にモフモフが眠っているのを見ると、その横に座りとモフモフの頭を撫でた。

「白いからシロでいいんじゃないか?」

出たよ、うちのネーミングセンスのなさ!

「もっと、かっこいいのがいい!」

「例えば?」

父はリモコンを手にとってテレビをつけた。

「かっこいい名前なら、イケメン俳優の名前でもつけるのか?それとも推しの名前とか。」

「そんなのつけないよ!モフモフしてるからシフォンとかコットンとか!」

「ゴンとか?」

ご・ごん?

ださ‥どこがかっこいい名前なの!

「ゲンの次だからゴン。」

「あ、覚えやすくていいね。」

 洗い物を終えた母が、リビングに来てモフモフを抱き上げた。そのままモフモフを頬擦りして「キミはゴンちゃんですよ〜」なんて言ってる。

「いやいや、ちょっと待ってよ!もっと今時のさ。」

「はれ、あんたさ」

 母が抱き上げたモフモフを、ずい!っとばかりに差し出して来た。

「この、ちょー日本犬です〜って顔してる子にシフォンやらマイケルとかの名前が似合うとでも⁉︎」

「うっっ!」

 他、確かにモフモフは鼻筋が通った日本犬顔! 

 でも、シフォンは言ったけどマイケルは言ってないよ、わたし!

「どうせ長い名前付けても縮めて呼ぶんだから、初めから短いのでよし。」

ねーゴンちゃん〜って母はまたモフモフにスリスリした。

「でもさ!」

「なんなら、多数決とる?」

お読みいただきありがとうございました。

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