ごっめーん。来ちゃった。
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「うわ、なに!」
わたしはあわてて飛んできたごんをキャッチした。落とすかと思ったけど、ごんもしがみついてくれたので、何とか大丈夫だった。
「ごん?何でこんなところにいるの?ぶんちゃんは?」
リードもつけていないし。逃げ出してきたのかな?怖い思いしたのか、わたしにしがみついてプルプル震えているし。
「ごん?何があったの?うわっ!」
ごんが急にお口ペロペロをしてきた。
「なに、急に!」
「この!はれのバカ娘!!」
文句を言おうとしたら、なぜかキレられた。
え?何で?
「こんな時間に外出するなど!おまけに一人歩きなど!!ありえん!あってはならぬことじゃ!!」
「いや、これ以上遅いことなんてよくあるじゃん。」
「言い訳するな!!」
ピシャリと言い切られる。
「念のため、お口ペロペロをもう一回。」
「やめて、肌が荒れる!」
やたらと口を舐めてこようとするごんに自分の口を片手で覆って何とか守る。
片手で口を守って、もう片手でごんを抱っこ。バランスがやばい、その時、ふっと手の中のごんが消えた。
「何、こいつ。」
兄がごんを片手で抱っこして、まじまじと見ていた。
そういえば、初対面だった。
「保護した犬を飼い出したって話したじゃん。」
「ああ、そういえば言っていたな。」
兄はごんを高めに持ち上げ「雄か」と呟いた。
おい、止めたれよ。ごん、怖がって尻尾がだらんと垂れている。
「さて、帰るか。」
兄はごんを抱いたまま歩き出した。ちゃんと安定感のある抱き方に変えたのに、何かごんビクついてるような?
犬友のももちゃん以外に怖がるものってあまり無かった…いや、ドライヤー怖がったり注射怖がったりしていたか。
まあ、初めてだし。知らない人だしね。
「兄上、はれ殿!」
家の近くでぶんちゃんがわたしたちに駆け寄ってきた。
「二人共、よくご無事で!」
「『兄上』?」
ぶんちゃんの一声に兄の声が凍った。
「なに、はれ。お前こいつとどうゆう関係?」
「あー」
なんて言えばいいの?正直頭を抱えた。
夜もふけ、文治郎は寝支度を整えるか悩んでいた。普段ならそろそろ風呂に入り寛いでいる時間なのだが。
思いを読んだかのように、玄関の呼び鈴が鳴らされモニターで確認すると画面に白い犬が映し出された。
玄関に向かい扉を開けると、数刻前に紹介されたはれの兄と、抱きかかえられたゴンの姿があった。
「いらっしゃい。どうぞお入りください。」
はれの兄ーがくは当たり前のように招き入れられたことにちょっと驚いたような顔をしたが、すぐににやりと笑った。
「ごっめーん。来ちゃった。」
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