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ただいま、はれ

お越しいただきありがとうございます。


「やつとあった。」

  

 三件目の薬局でいつも使っている日焼け止めを購入することができて、安堵のため息を吐く。

 肌があまり強くないのか、合う日焼け止めが中々なくて困るんだよね。昨年使っていたものが今年は合わなくなっているなんてザラだし。でも、お気に入りの取り扱いが少なくなっているのは嫌だな。

 

考えながら歩いていると、いつもよりすれ違う人が多いのに気がつく。


 今日、何かあった?ああ。

「お祭りか。」

 辺りを見渡すと、いつの間にか夕方近くになっていたみたい。

 三件も薬局巡りするとは思っていなかったから、予想外に遅くなっていた。

 ごん、心配しているかもしれない。ぶんさんにわがまま言ってオヤツを出させているかもしれない。


「急ご。」

 これ以上太らせてなるものか、足を早めようとしたとき、クラリと目眩がして目を閉じた。

 嫌だな、わたしも熱中症気味なのかな。気をつけないと。

 ゆっくり目を開けて、何度かまばたきをする。

 うん、大丈夫。早く帰ろう。

 

 ふと横を見ると、細い脇道が目に入った。

 これ、抜け道じゃない?

 わたしは何も疑わずにその道に入っていった。


 わたしは知らなかった。わたしがその道に進んでいってすぐに道の入口が閉じていたことを。


 わたしは細道をずんずん進んでいった。その間にも少しずつ暗くなって行くのがわかる。

 やばいやばい、今日は御祭の日なんだよね。

 御祭の日夜は嫌い。何故かわからないけど、やたらと迷子になりやすい。みんなと行ったのに何故か一人はぐれて知らない道にいることもあった。

 昼間はまだマシなんだけど…


 そうこうしていると、細かった道が急に開けた。道端には提灯が飾られて、人もユラユラとした歩いているのがわかる。

 あれ?「人」がいるのは分かるけど、何かぼんやりしてどんな人たちなのかよくわからない。

 今日、コンタクトしていないし、近くだから眼鏡も忘れて来ていた。

 まずいな。本格的に暗くなってきているのに、帰り道も不安になってきた。


 ため息を付いて前方を見ると、ぼんやり鳥居のようなものが見えた。

 あー反対方向に繋がっていたのか。やっちゃったな。

 でも、せっかくここまで来たのだからお参りをしてから帰ることにしよう。


 そのまま鳥居の方に足を進めようとすると、後ろから急に肩を掴まれ驚いて振り向いた。

 そして、そこに居ないはずのない人がいてまた驚く。


「なんでここにいるの、お兄ちゃん。」

「よ、ただいま。はれ。」




 


お読みいただきありがとうございました。

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