いちゃいちゃするな!
お越しいただきありがとうございます!
え?は?なに?何が起こっている?
「離せ、たわけが‼︎」
いきなり抱きつかれたごんは、身を捩って逃げようとしている。
犬を『兄』って‥いや、忘れかけていたっていうか、誤魔化され続けているけど、ごんって人化できるんだよね。
見たの一度だけだったけど、5歳くらいの小さい男の子だった。
このごんに抱きついている人は、どう見ても20代半ばくらい。
よし、最善を尽くそう。
パンツのポケットに入れていたスマホを取り出す。
この場合、変質者で警察でいいのかな?救急車呼んだら、警察も一緒に来てくれる?
「まて、はれ!知り合い!知り合いじゃから‼︎」
ダイヤルをタップしようとしていると、それに気付いたのかごんが必死に叫んでくる。
「は?知り合い?変質者の⁉︎」
「変質者⁉︎何処にそのような輩がおるのだ⁉︎」
え‥この人自覚ないの?
他人の家にいきなり飛び込んできて、飼い犬を『兄』って抱きしめている、変質者以外の何者でもないと思うんだけど。
男性の無自覚にちょっとひいてしまう。
「お前じゃ‼︎」
ごんの頭突きが男の顔面にきまった。
話がしたい、と言われ困ったのは場所だった。
男の家で、と言われたが見ず知らずの、奇行に走る奴の家になんか入りたくもない。
近くのカフェはごんがいるから無理だし、他の客もいる。
庭先で話すのも、ご近所に目があるし、この時期蒸し暑くて長時間居たくない。
苦渋の選択で、我が家の客間に通した。
わたしはごんを抱きしめながら、いつでも逃げられるように襖を開け放って入り口あたりに座った。
男は上座に座らせたが、座卓をギリギリまで押し込んで、身動きが取りづらいようにした。
男は不服そうな顔をしているが、これくらいの保険はかけたい。
こんな変なヤツに‥
わたしは腕の中のごんをギュッと抱きしめた。
「はれ、大丈夫じゃ。そなたはわしが守る!」
わたしに不安を感じたのか、ごんがキリッと言い放つ。
く〜可愛いヤツめ!
「何言っているの!ごんは大切な家族なんだから、飼い主のわたしが守る!」
「何を言うか!わしがはれを守るのじゃ!こんなヤツに指一本触れさせんは‼︎」
あ〜起こっている姿も可愛い。もー堪らん!
みなさーん、ここに天使がいますよ〜
「もーごんってば、頑固なんだから。」
「頑固なのは、はれも一緒じゃ。」
「いちゃいちゃするな‼︎」
わたしたちのやりとりを苛立ったように、男が座卓をバン!と叩いた。
お読みいただきありがとうございます。
感想、誤字脱字等お知らせ頂けたら嬉しいです。




