嫌いなものを口一杯!
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「姿が見えないと思ったら、そんな可愛らしい見かけになっているんだもの。驚きよ。」
お姉さんはクスクス笑いながら、机に肘をついて顔を乗せた。
ごんはお姉さんの顔をじーっと見ている。
「あなたの弟が探していたわよ?兄上を知りませんか、って。」
何がおかしいのかクスクス笑うお姉さん。
ごんはお姉さんの顔をじーっと見ている。
「その子も中々いいと思うけど、連れ帰るのはちょっと難しいかもね。まあ、できないことでは無いけど。」
ごんはお姉さんの顔をただただ、じーっと見ている。
「ねえ、いい加減にしたら?バレているのはわかっているんでしょ。」
ごんは、くわ〜とあくびをして、何を言っているの?みたいに首を傾げた。
お姉さんは嫌味なくらい綺麗に、にっこり笑った。
「いいのよ?あなたがその気なら、その子かなり『美味しそう』だから」
わたしに手を伸ばそうとしたお姉さんの手を、わたしの腕の中から抜け出し、テーブルの上に登ることで阻止した。
「昔の悪食がまだ治まらぬご様子ですな。」
「アンタが悪いんじゃ無い。しれーって顔して、自分は無害なわんこぶってるから。」
お姉さんは、ふんと長い髪をかきあげた。
「宿下りの届けは出していますから、今は実質無害なわんこです。」
「届けってコレの事?」
お姉さんは何処から出した紙をペラペラ降って見せた。
「出しても受理しなかったらただの紙切れよね。」
お姉さんはパッと紙を手放した。すると紙が宙でぼっと燃えてしまった。
「あーらら、燃えちゃった。どうしましょう。」
「上にはすでに通っておりますゆえ。」
それは控えですので、ごんはしれーっと何も気にして無いよ〜みたいな態度だった。
お姉さんはその態度が気に食わなかったようで、目元が少しきつくなった。
「あなたが出した届けは十五年。その間、ずーっとわんわんごっこするつもなの?」
「今の犬は随分寿命も伸びているようですので、もっと伸びるかもしれませんね。」
まあ、その時はその時で。ごんはなんでも無いように言い切った。
「本気、みたいね。」
お姉さんは呆れたようにため息をついた。
「なんで、そこまでして。」
「命を助けられましたから。」
はれが社に迷い込んで、一緒に現世に飛び出した。
長居するつもりは毛頭なかった。ほんの少し気にはなったが、そのまま姿をくらますつもりだった。
それなのに、喉が渇いたろうと水を与えられ、車に轢かれかかったのを助けられた。
「それくらい、あなたどうにでもできたでしょう。」
「もちろん、どうにでも出来ました。しかし、助けられました。命の恩人です。」
「命の恩人に命をかけてのお礼?何、古臭いこと言ってるの。」
ごんは心底呆れているようなお姉さんに、ニヤリと笑って見せた。
「古臭いのはお互い様でしょう。」
お姉さんんはちょっと驚いたように目を見開いて、それからごんと同じようにニヤリと笑ってみせた。
「確かに、古さなら負けないわ。苔が生えてるどころか崩れかけてるくらいにね。」
「崩れかけているものを、新しく作り替えるのも一興では?」
「新しいことをしようとすると、中々煩いのもいるのよ。」
お姉さんはテーブルの上に置きっぱなしだったお茶を一口飲んだ。
「いいわ。認めてあげる。」
「ありがとうございます。」
「在宅ワークってヤツをね。」
頭を下げたごんは「は?」とすぐに頭を上げた。
「私は休暇をですね。」
「あなた、無許可で人型とったわよね?」
ごんは嫌いなものを口一杯詰められたような顔をした。
ごんは必殺「生意気」を使った!
効果は抜群‼︎
上司は奥義「業務命令」を発動!
ごんは倒れた
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