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味見じゃ!

お越しいただきありがとうございます。

「まったく」

「だからごめん、って。」

 

 近くにあったペットショップで新しいリードを買い直したのだけど、まだ機嫌は治っていないようだ。

 一応お財布持ってきていて良かった。


「で?歩きやすくなった?」

 赤い首輪に合わせた赤いリードを。白い毛皮に映えるというかちょっと眩しい。

「軽くはなった。」

 機嫌はまだなおっていないようだ。こちらを振り向こうともしない。 


 コレは必殺技を使うしかない、わたしは立ち止まってお散歩バックの中からさっきのお店で買った袋を取り出し破いて一粒出した。

「食べる?」

 ワゴンセールに子犬のおやつが売っていたので、つい買ってしまった。

「なんじゃ、これは。」

 ごんはクンクンと匂いを嗅いでいる。

「りんごのボーロ。食べてみなよ。」

「こんな菓子如きで‥」

 ぶつぶつ文句を言いながらパクリと食べた。

「‥」

 無反応。あれ?げんさんは子犬に時好きだったけど。

「苦手だった?」

 恐る恐るきいてみる。犬にも好みがあるもんね。前の子が好きだったからと言って、みんな好きとは限らないよね。

 ごんはパッカ、と口を開けた。

「ん?なに?」

「もう一口じゃ。一粒ではよう味がわからん。」

「あーー、はいはい。」

 今度は二粒摘んで口元に持っていく。これまたペロリと食べて、また口をパカっと開けた。

「‥ごん?」

「今までのは味見じゃ!」

 ああ、気に入ったのね。良かったね。

 わたしはボーロのチャックを閉めて、お散歩バックに戻した。


「勿体つけて、挙句仕舞うなど。」

 ごんはまたぶつぶつ文句を言いながら歩いている。

「小さいお菓子って言ってもカロリーはそこそこあるの。食べすぎ、厳禁。」

 子犬用って結構カロリー高かった気がする。一回に食べるご飯もまだお湯にふやかしてあげている筈だけど。

「ごんって、今ご飯何回食べてる?」

「3度じゃ。」

「じゃあ、そのうち2回になるよ。」

「え‥」

 ごんは立ち止まってこちらを振り返った。ショックって顔をしている。

「ご飯の量は変わらないよ?いま、ふやかしてるのが固いご飯に変わるから!」

 しゅん、とみみをぺたんとさせ、尻尾もだらんと下がってしまった様子に、ついつい言い訳のように口走ってしまう。

「ご飯‥減るのかの‥?」 

 目を潤ませてこちらを見る。

 う‥泣き落としに来たか。こいつ、食べるに好きだな。

「違うって、だから」

 言葉を続けようとしたら。


 「いいにおい」がした。

 

寒い日が続いております。

お身体に気をつけて、良いお年をお過ごしください。

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