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ゲンとの別れ

初投稿です。よろしくお願いします。


ペットロスの表現があります。苦手な方はご注意願います。


 1


 三カ月前に飼い犬が死んだ。


わたしが幼稚園の時に兄が公園で拾ってきた子だった。


  最初は段ボール箱に入っていたのだけど、友達と遊んでいるうちに箱から出てきて一緒に遊んだら楽しかったから一緒に帰って来た、と兄は言った。


 茶色くて、コロコロしていてとても可愛い子だった。


 母はため息をつくともう一度子犬を箱に入れ、兄に持たせて出かけて行った。

しばらくして、兄と母だけが帰ってきた。

兄はそわそわしていたが、母は普通通りだった。

そのまま夕飯の準備をし出したので、てっきり犬は元の場所に置いてきたのかと思っていたら、いつもの時間より少しだけ遅く帰ってきた父が、その子を連れて帰ってきた。


 どうやら動物病院で健康診断とトリミング、予防接種を受けてきたらしい。


 さっきはすこし汚い感じだった子犬はフワフワのモコモコになっていた。

わたしが恐る恐る手を伸ばしてみると、クンクン匂いを嗅いでから指先をペロリと舐めた。

それがゲンとの出会いだった。


「ゲン」という名前は兄がつけた。


 公園でで元気に遊んだ仲間だからという理由らしい。

小さかったゲンはどんどん大きくなっていって、すぐに抱っこできないくらいまでになった。

ゲンが大きくなると一緒に、私も少しずつ大きくなっていって以前ほど構ったりすることは少なくなっていった。

それでも大切な家族だった。

幼稚園から小学校、中学校と時が流れていき、ゲンを拾ってきた兄が大学に通うために家を出て、私が高校生になった頃ゲンはすっかりお爺さんになっていった。

いつもの散歩コースを歩いていても途中で座り込んだり、お気に入りのマットの上でコンコンと眠ることが多くなっていった。


 白い毛が多く混じるようになったゲンの頭を撫でながら

「頼むからわたしの大学受験が終わるまで死なないでよ〜」

と言うと、ゲンは「しょうがねえな」と言うように目を細めて、もっと撫でろと催促した。


ゲンはわたしの大学入試の合格発表のあった一週間後に息を引き取った。

 お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分も小説を書いていますが、結構誤字もなく、文がまとまっていていいと思います。モフモフが良すぎる! [一言] ありがとう!
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