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10話 宝石店

 メッサーが紹介した店は、後の二人には縁がないタイプの店だった。

 通りに面した部分は全面ガラス張り、狭い店だが店内は塵一つなく磨き上げられている、そこに並ぶガラスのショーケース。中には宝石や金細工。値札の数字は後ろにゼロがたくさん。

 店員はシャンとしたスーツなんかを着て、新人冒険者と酒場のウェイトレスという明らかに場違いな服装をする二人をまゆの一つ動かさず完璧なマナーで接待し奥のフカフカなソファーと机が並ぶ商談の用の部屋、たぶん、こんな場所来たことがないのでわからない、に通され香りがよいコーヒーがでた。

「うちの店で出す豆の10倍くらいの値段がするブランドよね」

ちらりと見た豆の袋がサラにとって唯一なじみがあるもの。


「旦那様。またお買い求めですか」

 コーヒーを飲みながら盛り上がらない、二人とも緊張している、雑談をしていたらいかにも宝石を扱っています、という感じの老人が部屋に入ってきた。

 誠実ながら抜け目はなさそうで、金勘定は得意だし値切り交渉も得意だがその帳簿をごまかしたり宝石の価値をごまかすようなことは許さない、そんなタイプの年寄。

「前買われたネックレス。当店に女性が売りに来ましたよ」

「縁がなかったんだな。良い値で買ってやったか」

「女性は大変驚いておりました、とだけ言っておきましょう。私共としては店の売り上げになるので不満はございませんが、私としては旦那様のようなお方はたくさんの女性に貢ぐために宝石を買うのではなく、将来の伴侶のために一番良い宝石を買っていただきたいと思っております」

「まだ身を固める気はないし、固めるにしても相手がね」

「そのような気構えでは行き遅れますよ。男は女よりも結婚適齢期は長いなどと思われてますが、そのようなことはありません。人生は短い。その結果金と指輪で女を買うように結婚し、破滅する。わたくしはよくよく見ております」

 老人の長い話が始まりそうとみて、メッサーはカップを叩いて静止。

「人生が短いなら長い話はまた今度聞くよ。今日は宝石を買ってほしいんだ」

「なるほど。品物はどちらにありますでしょうか」

 メッサーはサラに手ぶりで合図

「あ、これです。この飾りでついている石。よろしくお願いします」

「拝見させていただきます」

 カバンの中に入れていた短剣を取り出して机の上に出すサラと、愛想よくそれを受け取る老人。

 そして鑑定。

「ウーム」

とかなんとかうなりながら、懐から出した拡大鏡でよく確認している。


「これはどうなされたんですか」

「ええっと」

 サラはざっくりとしたいきさつを説明。

 ついでにメッサーがここに来たいきさつを説明。

 Nは自分がやったことを再度反省。


「ふむ、大変良い目利きをしなさりましたな」

 そう言って机においてあった紙に金額を書いて渡す。

 ここは上品な店。数字を直接口にすることはない。というのがこの老人の変なモットー

「え、えぇ、こんなに頂くわけには」

 そこにはウェイトレスをする少女の月給1か月分の値段が書かれていた。

 先ほどの店の言い値とは比べ物にならない。

「これは古い時代にダンジョンからよく出た石で最近は産出がすくないのです。ですからコレクター市場で値上がりしておりまして、将来はもっと良い値がつくでしょう。ただ石は比較的小さいですし、磨きや加工もかかる。当然当店の手間賃も考えなければならない。ですから買い取るのであればそのくらいの値段になります。ご了承いただけるのであればすぐに現金を用意いたしましょう」

「そ、その」

「不満はないんだろう。だったら承諾しておけばいい」

 メッサーの勧めもあり、サラは売却を決断。

「かしこまりました。では契約書と現金の方を用意いたしますので、おい」

「お持ちいたします」

 老人は部屋の外にいた従業員に諸々の書類を用意するようにいった。


「しかし古道具屋で宝が見つかるなんてことが本当にあるんだな」

「こればかりは目利きだけではどうにもならず、運やめぐりあわせがありますからな。この石に注目するのは好事家やコレクターだけでございますし、こういった剣の飾りはほとんど安価な宝石が使われますから確認するだけ無駄ということも多いのです。この剣が作られた当時はこの石もそういった扱いだったわけでございましょう。物の価値はこのように時間とともに変わりますが、人の価値も同じでございます」

 また話が長くなりそうだったので、メッサーは話を遮りもう一つの要件を話した。

 Nの宝物の換金だ。

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