勇者、賢者死す
剣身が蒼く、幻想的であり、神秘的で蠱惑的な剣を持つ1人のまだ、少女と言ってもいいくらいな年齢の女の子だった。
彼女と相対するは、伝説的の中にしか存在しないであろう生物。
全生物の頂点に立つであろうモノ、ドラゴンである。
「すぅー……、はぁー」
深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。
目の前にいる絶対的な生物が放つプレッシャーに押しつぶされないよう。
眼光を鋭く、相手を睨みつける。
相手に何か怒る訳では無い。けれど、この場に置いて私は間違いなく挑戦者だ。
で、あるならば。この程度のことでおくす訳にはいかない。
相手を射殺さんとばかりに睨みつけろ、王者たるアイツが、こちらに注意を向けるように。
そして、確認しろ、私が絶対的な弱者であることを。
しばらく、私はドラゴンを睨みつけた。
ようやく、ドラゴンは私を見た。
爬虫類の様な目が私を捉えた……が、直ぐに興味を無くした。
アリが人間に殺意を向けたとしても、気にしないように、たかが私如きアイツにとっては虫程度、それでいい。
蒼い剣身の剣を正眼に構える。
「すぅー」
息を吸う。
「シっ!」
短く、息を吐き正眼に構えた剣を必殺の意を持ってドラゴンに振るう。
剣がドラゴンに当たる瞬間に力__魔力__を込める。
魔力を込められた剣は、幻想的で神秘的、蠱惑的な剣からは、想像が出来ない程禍々しいオーラが吹き出した。
「ギャ!!」
私を弱者だと、侮っていたドラゴンは剣が放つオーラを見て驚愕している雰囲気を放っている。
だが、もう遅い。
禍々しいオーラを放つ剣がドラゴンに直撃した。
だが、さすがはドラゴンだと、言うべきか。
腕、1本を犠牲に私の剣から命を守った。
だが剣は剣身以上の長さを誇る、ドラゴンの腕を切り落とした。
「グギャァァァァァァァァァ」
そう叫ぶ、ドラゴン。
そこで、初めて私を敵と認識し、敵意と殺意と怒気を私にぶつけてくる。
だが、それでも、ドラゴンは私を襲って来なかった。
さっきまで、感じていたプレッシャー等何処吹く風である。それ以上のものを私個人に向けて放ってくる。
カタカタと剣が音をたてている。
……いや、よく見れば、剣を持つ私の体が震えていた。
恐怖により、私の体は震えていた。
絶望的なまでにある、種族格差。それを目の当たりにした。
「ふぅ、」
息を吐いて、何とか震えを止める。
ドラゴンが私を襲ってこないのは、私の持つ剣__聖魔王剣シュロス・シュヴェアート__を警戒してのことだろう。
ヨシっと、気合いを入れ直す。
ドラゴンの一挙手一投足を見逃さないように相手を見据える。
ドラゴンの口の歯と歯の間から炎漏れ出ている。ドラゴンがドラゴンたる所以、ブレスによる範囲攻撃だ。
「……やばいわね」
私はドラゴンの目の前にいるので、その攻撃を避けることが出来ない。
「仕方ないか」
剣に魔力を込め、禍々しいオーラを出す。禍々しいオーラに自身の魔力を込める。それを自分の体に纏わせ、鎧を形成する。
全身を姫騎士の様な黒を基調とし、所々に青をアクセントとした鎧が包み、深紅のマントを靡かせる。私の金色の髪に青のメッシュが入り、碧眼の瞳に黒く揺らめいている炎の様な模様が浮かび上がる。
避けることが出来ないなら、受けきると言うのが私のスタンスである。だから、剣から放たれているオーラと自身の魔力を込めた鎧と更にその上からオーラによる防壁を作る。
受けきる準備が終わる。
「ヨシっ」
気合いを入れ直した時に、私のすぐ近くの地面が光り、魔法陣が現れる。その魔法陣から三角帽子を被り、黒のローブを着ておりその上からでもわかる位に大きな胸をして手にはいかにもな魔法使いの杖を持った女性__アリア__が現れる。
「アリア、防御魔法!!」
出て、直ぐのこの状況にかなり呆然としていたが私の声に直ぐに我を取り戻した。
「了解!!ディフェーザ」
そう唱えると、私たちの前に光り輝く盾が出てきた。
ドラゴンのブレスはその盾に阻まれ私達に到達することはなかった。
ブレスが終わると、アリアは防御魔法を解除して私に補助魔法をかける。
「アングリフ!ヴィテス!フォルトゥーナ!エアホールング!」
補助魔法をかけて貰った私はシュロス・シュヴェアートから放たれている禍々しいオーラを剣身に纏わせ大きくする。剣身が私の体をゆうに越えてドラゴンの首を切れるくらいになったら、私は一息に相手の懐に飛び込み首に向けて大きくなった剣を振るう。
私の剣は阻まれることなくドラゴンの首を切り落とした。
それから数ヶ月後、私達は遠く離れた異国の地で私達、マリー・シルバーとアリア・マーリンの訃報を知った。
処女作だから、短いのは許してください。
基本的には、週1投稿を目標にしてますが、不定期更新です。
まぁ、皆様の暇つぶしになれば幸いです