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雪女〜真夏の雪女〜  作者: 黒井 羊
9/15

雪男の頭は尖っている

 修一郎は話し始めた。

「雪男の頭骨だと言われる骨が大型の熊だと判れば熊を参考に勝手な推測するのも楽しい。もしかしたら夏毛と冬毛があるんじゃないかとね。ヒマラヤの人も夏場は熊を頻繁に目撃しただろうけど吹雪の中とか視界が悪い時に偶然見たりすると熊以外の生物に見えたのかもしれない。」

「偶然見かけた熊と雪男って共通する部分があるんですか。」

 由利は修一郎に問いかけると弥生に視線を向けた。相変わらず窓の外の雪を見ていたが、窓に映った由利の視線に気付いた。由利からは窓に映ったモナリザの微笑みの弥生が見える。

「一番興味深いのは〈雪男の頭は尖っている〉と言う話かな。熊が二足立ちで威圧かどうかは判らないけど空に向かって吠えたらその姿になる。携帯で[熊 二足立ち 咆哮]と検索したらすぐ出てくるんじゃないかな。」

 そう言って修一郎が検索すると画像はすぐに見つかった。

 由利はこの考え方が修一郎独特なもののような気がする。少なくとも自分にとって雪男は雪男、熊は熊だ。

 画像を眺めている由利に修一郎が言う。

「熊の行動をずっと見ていても雪男には見えないかな。ただ〈熊が二本足で立ち上がって天を仰ぎ咆哮した〉その瞬間だけが雪男なんだよ。もしかしたらレオナルド・ダ・ビンチは一瞬の微笑みを脳裏に留めておいてモナ・リザを描いたのかもしれない。こんなことを言うと美術の専門家に怒られるけどね。」

 修一郎が喋り終わると弥生は

「私も怒るよ。」

と言いながら修一郎の前の淡雪掛けティラミス(なごりゆき)を自分の手元に引き寄せて食べ始めた。

 由利はプッと吹き出した。

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