醤油、団子、海苔巻き、煎餅
「新粉団子は上新粉だけを水で捏ねて醤油をつけて焼いたシンプルなやつが一番旨い。」
修一郎が言う。
「うるち米なの、もち米は、砂糖は。」
弥生は尋ねる。
「米粉だけ、それと香ばしい醤油が焦げる香り。蟹沢敏浩に一度食わせたい。」
由利は蟹沢敏浩の名前が出てきて以外だった。
「修と蟹君本当に醤油が好きね。蟹君は醤油飯に納豆だったかしら。納豆もタレじゃなくて醤油。ラーメンは竹岡式。」
都城出身の由利には新粉団子は解るし懐かしい。醤油飯は直ぐに思い浮かばなかったが竹岡式ラーメンで味までがある程度は想像できた。
「そう言えば、由利ちゃんは海苔巻きバージョンの方が好きだったね。」
修一郎が由利に話しかける。
由利は修一郎と弥生の会話に極力割り込まないように
「はい。」
とだけ答えた。
「ふぅぅん、海苔巻きもあるんだ。草加煎餅が浮かんだわ。」
弥生の言葉で由利の頭の中では新粉団子と醤油飯と竹岡式と草加煎餅が一直線上に並んだ。
「昔は醤油バージョンだけだった。海苔巻きバージョンを知ったのは二十一世紀になってから。しかも最初は両方同じ値段、俺が通った店ではね。そこが新粉だけの団子。店によって微妙に味が違う。白玉粉や砂糖を混ぜる店もあるみたいだ。」
修一郎は小学生時代の記憶をつい先日の出来事の様に喋った。
「それより海苔有りと海苔無しが同じ値段の方が驚きだわ。みんな海苔巻を買いそう。」
弥生は当然よね言わんばかりだ。
「でも直ぐに海苔巻きが海苔の分だけ高くなったかな。」
修一郎は即座に返し付け加える。
「昔は一本十円だったよ。」
弥生は納得していたが、由利にとっては想像の付かない昭和の世界だ。
「そう言えば埼玉でも、確か入間の方でも同じようなの食べたことある。草加煎餅で思い出したよ。米粉だけの醤油焼き団子だったかな。醤油と酒を混ぜて塗っては焼き塗っては焼き。」
「ホント、あなたはどうでもいいこと覚えてるのね。」
修一郎の言葉に弥生は突っ込む。
由利は〈そこ、やっぱり「後で団子の店探すか。」でしょ。その方が弥生さん喜ぶのに。〉とおかしかった。




