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サバイバー  作者: タートライザー
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触法少年

少年は施設内の生活と社会に対する反抗心が一体となり鬱屈していた。

次第に搾取されるくらいなら、する側になれば良いと感じるようになった。

ついに少年は法の壁を犯した。スーパーで窃盗をしたのだ。最初はガムを一つ盗った。少年は罪悪感以上に爽快感を覚えていた。それから日常的に窃盗を行うようになり一度に盗む商品数も金額も膨れていった。

完全に少年の良心は狂気と化していた。しかしそんな悪事は長く続かない。


窃盗を始めて二か月が経過した頃、その日も手慣れたように鞄や袖に盗品を仕込むと少年は店内へ出た。数歩歩いた所で、私服の中年女性が少年のバッグを強く引くと、呼子笛を鳴動させた。待ち構えていたかのように屈強な男性店員3名が少年を取り囲み、バックヤードの事務所へと連行する。

事務所へ行くと椅子に座らされた。

「あなた何回もやってたでしょう。ずっとマークしてたのよ」中年女性は高い声で少年に詰め寄る。どうやら彼女は私服保安員のようだ。

店長と名乗る初老の男性は事務所に入ると間髪入れずに少年を叱責する。

「このがきゃあ!てめえは遊び半分でもこっちは生活かかってんだ!」

店長は事務所に置いてあるパイプ椅子を思い切り蹴り上げた。

少年は押し黙ったまま思考を放棄した。

その後、施設の職員が少年の身元を引き受けにきた。

盗品の料金を支払うなら今回は不問にすると店長が温情をかけた為、示談となった。


施設に帰ると施設長室に呼び出された。

施設長室に入ると顔を真っ赤にした施設長が激高していた。

「そこに正座なさい!」そう怒声まじりに指示すると少年は床に正座した。

その後、2時間にも及ぶ説教を受けたが当時の少年は何も思わなかった。ただ無のままだった。


施設内部では万引きなど日常茶飯事であった事から周りの人間は気にも留めない。

少年が入所していた施設は犯罪行為が当たり前の世界なのだからそれは至極当然なのかもしれない。


唯一のストレス発散の術を失った少年は施設の生活に嫌気がさし、ついに脱走を企てるようになる。

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