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招かれた客~守護者・ガーディアン

クリスは高校1年生。

ガーディアン協会に所属している。

妖刀【紅】に選ばれたガーディアン・守護者たる者だ。


~登場人物~


☆ガーディアン・クリス(栗栖巫都)

  高校1年生・ガーディアン協会所属の守護者・妖刀〈紅〉の所持者

☆ネス:キタキツネ

スコットランド・ネス湖にてクリスに発見される・クリスとはテレパス(念話)を交わす


~場所:バビロン諸島・ミケーレ学園島~

☆皇太子・第1皇子アスラン:孤島・学園島領主・学園長

   BD族(吸血族)時期王位継承権者・使用する力(術)は不明

☆第2皇子・マルセル:時期王位継承権を望む者:強力な力(催眠術・武器)を使う

☆第3皇子・ファタミ:まだ王族の力が顕現していない

☆ナタリ姫:王家の姫

☆ピエール:学園評議委員長

☆メイシェ、ソフィ、カミラ、イライザ:正妃候補(貴族の娘)

☆エディル・カイル・ライル・ターシャ:王族の守り人(銀狼一族)

☆フランツ、アリーシャ:街に住むハイブリッド(吸血族と人間の混血)の兄妹

☆アンバー、コンスタンツェ:人間

   洞窟内を活動拠点とするUn known minority(知られざる少数派)人間

☆バジルス:泉の主(守神)

☆クラウド(蔵人):クリスの兄・元ガーディアン・

妖刀〈暁〉所持者

   270年前の時代スコットランドへ修行者として旅立ったまま行方不明


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

人はこの世に別れを告げる時までに、何を手に入れることが出来るのだろう。

それは、身の周りを飾る沢山の物だろうか。

誰かを喜ばす、多額のお金かもしれない。

もしかしたら、ただ・・自然の景色を心に抱いたまま、息を引き取ることかも。

なんであれ、

心の安らぎを得た、と思えるのなら・・それでいい。


~確かなモノとはなんだろう??~


フン、人間の欲望なんてものは、計り知れなくて~キツネ如きには悩む事すら馬鹿馬鹿しい。

唯一確かな事は、クリスがくれないと共に2年の年月を過ごしたという事実だ。

あいつの余命は、確か・・5年か・・いや6年だったかな。

振動に揺れる座席で丸まっていたキツネは、窓の外をひたすら眺める隣の少女を見上げた。

ヘリの騒音防止用のヘッドホンに隠れて、表情は見えない。

肩で揃えた真っ直ぐな黒髪が小刻みな振動に合わせて揺れている。

どこかに属する事を証明するセーラー服。

胸元の紅いシルクのスカーフは、一般的なポリエステルの物とは違い

クリスのこだわりを表している。それは、兄だった者から最後の誕生日に贈られた品。

今は、この世界には・・いない人間だが。

『ええ~い、いい加減、酔っちまうだろ!!』

そう思ったが、誰にこの不機嫌さをぶつけて良いのか分からなくて、結局また丸くなる。

青い海と同じ色の空から眺める世界は、どこまでも広く・・美しい。

もし、ここにぽっかりと漂うはぐれ雲のように、一人きりでいたら~

いつまでも、いつまでもここに留まりたいと願うのかもしれない。

クリスは膝の上に置いた・紅・を抑えつつ、そんな事を思った。

ただ単純に景色を楽しめることが、普通は嬉しいのだろうけれど。


なぜだろう??

気持ちにストップがかかるのは。


それは、きっと日常生活から離れてしまっているから。

普通の女子高生ではなく。

任務に就くガーディアンとして、ここに座っている事がその証拠。


ガーディアン~守護者~依頼人を護る者。


ガーディアン協会から任務の打診を受けて、各国へ派遣されるのが通常なのだけれど。

今回は少し変則的だった。



「ああ~っと、ほら! あそこですよ! 見えますか?あの島です!」

前の座席に座るピエールが振り返り、ヘッドホン越しに叫んでいる。

ヘリに乗ると、否が応でもその騒音に付き合わされることになる。

今回は案内人が道中、いや空中から

曖昧な説明をしてくれるものだから、かなり疲れてしまった。


依頼者から派遣されたという案内人ピエールとは、つい先日会ったばかり。

先週末に北海道で開かれた太平洋・島サミットでだった。

会場となるホテルに数人のガーディアンと共にクリスも派遣されていた。

ガーディアンは表だって要人を警護するSPとは違い、

あくまで目立たぬように行動するよう、依頼人側から要求される。


今回はロビイストとして日常の服装~クリスの場合は高校の制服姿のまま~

ホテル会場のロビーにあるソファで寛いでいた。

少し、緊張感に欠けていたかもしれない。

なにせ、日本では外国人によるテロ行為が起こった事はないし、

今回も事前にそのような情報は入っていなかったから。


そんな状況で、ピエールに出会った。

彼はかなり目立つ色合いの服装で、それが制服だと気付くまで少し時間がかかった。

『ありえない!』

日本国内の何処の学校も採用しないであろう、派手な色彩の制服。

目の覚めるようなヴァイオレット・ブルーを基調とした膝まであるロングブレザーと

同色のスラックス。おまけにサイドに真っ赤なラインが入っている。

グリーンのYシャツに金色のバラ刺繍が施された真紅のネクタイ。

クリスは思わず、制服ではなく彼自身を凝視してしまった。

なぜなら、それを着こなしている学生がまるで赤レンガのような髪をしていたから。

ロビーの大きな窓から入った太陽光で、まるで燃え上がっているのかと思ったくらい。

なにも、赤褐色の髪が珍しい訳ではないけれど。

際立った、白い顔色と対比するかのような輝く赤毛。

それはまるで、どこかこの世の人間とは思えないような雰囲気を放っていた。


そうか・・

彼のせいなのかもしれない。


クリスの・くれない・が小刻みに震えているのは。

妖(怪し)の名を持つ、日本刀~紅~その昔、この日本刀が完成した夜に

妖星が現れたことから、この名が付いたと言う。

当時、彗星・流れ星は妖星と位置づけされ、転地異変の前触れとも言われ。

この不気味に輝く星が現れた次の日に、古代のみやこは崩壊したとの言い伝えがある。

妖刀・紅~作者不詳、と公表するガーディアン協会が保管中の刀剣類・槍類等

武器の一振りである。


持ち手として、クリスが選ばれる2年前までは。


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