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六人七脚  作者: 弥生ちとせ
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出会い

学校帰りのアーケードでの出来事。

その日僕はバンドの練習がなかったから五時過ぎくらいに帰路についていた。

特に変わりもしないいつもの通学路をいつものように何も考えず、ゆっくりと歩いていた。

僕の通学路にはアーケードがあって、この時間は定時で帰れる勝ち組な大人たちで人ごみが形成される。

そんなことは気にもせず、無の感情で歩いて行く。

しかし、今日はなにかいつもと違う。

ふと違和感があった方向に目をやる。

そこにはいつもと違う光景があって、アーケードの柱の根元あたりにグレーのパーカーを着て体育座りしている人がいた。

人通りが多いこのアーケードの中なのに、誰一人目を向けるでもなく話しかけるでもなく無視していた。

そうだ、そんな世の中なんだ。

そう考えたが、自分の中にある正義感が無視することを許さなかった。

気付いた時にはその人の元へ歩いて行っていた。

すぐ側まで行くと、しゃがんで

「大丈夫ですか?」

と一言声をかけた。

すると体育座りしていた人がフードを脱いでこちらを見上げてきた。この時この人が女性であることを認識した。

そして、女性が口を開いて言葉を発した。

「今日一日でいいので家に泊めていただけませんか?」

この一言で、もしかしたら家出したのかな?と一瞬思った。

もちろん僕は、はいと答えてしまった。

その返事を聞いてか、女性は顔が少し明るくなったように見えた。

「本当ですか、ありがとうございます」

深々とお辞儀されたのはいいが、人通りが多いので少し恥ずかしくなって無言で手を引っ張って駆け出してしまった。

そのままアーケードの外まで出て行き、一度女性を見る。

「えっと、家はこっちです。」

まだ恥ずかしさは残ったまま、女性と家に向かった。

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