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しゃぶしゃぶ
薄琥珀色の温泉に浸かるには、桃色をした豚肉。
あんまり浸しすぎると、繊細な豚肉はヤケドしてしまう。だから、優しくしゃぶしゃぶ・・・しゃぶしゃぶ・・・
そうしてあげると、豚肉は、少女から成熟した女性のように、凛々しくなる。
その美しい女性に、ゴマだれというアロマオイルに浸してあげてそっと口に運ぶ。
あ~・・・。至福。余計なもにがそぎ落とされ、良いものだけが凝縮された豚肉。ただただ旨い・・・。
野菜は、ネギだけで良い。豆腐も、白菜もお暇してもらおう。
ネギの香りは香水。ネギの甘みはスイートベイビー。ネギの旨みは思想の深み。お出汁に浮かぶネギは、はキャンパスを彩る印象派のような水面に浮かぶ睡蓮。
豚肉とネギを一緒に食べる。豚肉が芸術となる。ネギという色彩に彩られたその味は、淡く登る太陽。太陽に照らされた水面。モネの作品のような芸術作品となる。
しゃぶしゃぶは、もはや絵画だ。舌と感性を楽しませてくれる、印象派の絵画なのだ。
そして、こっそりうどんを入れちゃう。ちょっとした喜びもね!