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ごちそうの詩 Season2  作者: bashi
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精養軒のアイスクリーム

2月の不忍池は、蓮の花が褐色になり冷たい風に吹かれて揺れている。池の水面は淡い日光に照らされて煌々としている。


そんな不忍池を一望できるのが、上野精養軒。そこでアイスクリームを食べた。


上品な器に盛られたアイスクリームは、ガラスの靴を履いたシンデレラのようであった。


卵を贅沢に使ったことが分かる、黄金色のアイスクリームである。そこに、スラッと盛られたシュシュのような生クリーム。そして、スリムなラングトシャの髪飾り。


ワクワクしながら一口食べてみる。


お!この味は・・・確かに濃厚。卵の味がしっかりするカスタードの味に、甘すぎないが深い甘さのあるアイスクリーム。


しかし、ハーゲンダッツや31アイスクリームのような、ネットリとした濃厚さはない。非常にさっぱりとしている。それはまるで、淡泊だが濃厚な森鴎外の文体のようであった。


そうか、これは明治時代のアイスクリームの名残なのだ。生クリームよりも牛乳を多く使ったアイスクリーム。夏目漱石が修善寺で食べた味。宮沢賢治が病床についた妹トシのために、アイスクリーム機を一生懸命回して作ったアイスクリームの味なのだ。


牛乳、卵、砂糖。全てが贅沢だった時代のアイスクリーム。


僕は叫びたい。素晴らしいと!


明治時代の味に出会い、歴史はただ書を読み、遺構を見るだけではない。味わうことで学べるのだと知った。


まだあの濃厚で、上品で、さっぱりとしたアイスクリームの余韻が残る。


そんなアイスクリームが、長い年月を経ても尚、僕たちを待ってくれている。

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