表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/140

73 プール1

 

「皆でプールって初めてじゃない?」

「ええ、そうね」

「悠人君の新しい水着写真バッチリ押さえておくから、安心して」

「そこまで要らないと思います」

「でも、優菜ちゃん。良い機材の方が綺麗に撮れるから良いと思うよ?」

「わたし、さき行ってる」

「分かりました。ですが、準備体操を忘れずに」

「ふふふ、悠人様の背中。生の背中。ふぇへへへへ」


 ガールズは、橘家が所有するプールへと来ていた。そして、ガールズがいるということは、


「プールなんて何年ぶりかしら?」

「まぁ、皆で楽しくやれそうじゃない」

「胸が大きくて泳ぎにくいのに〜」

「深い場所と浅い場所があるので、注意しなさい」

「まさか、エリナとプールだなんて夢にも思わなかった」

「皆様、水分補給は忘れずに!」


 当然、マザーズ+メイドもいるわけで、



「おいっちに、おいっちに」



 そして、奴もいるわけで。


 元々今日は、トレーニングの日。

 真夏の暑さの中、エリナの地獄トレーニングは軽く3回死ねる。だが、そこは橘家、室内でもやろうと思えばやれる。しかし、悠人の軽く呟いた一言「プールに行きたい」を聞き取り、即座に全ての予定を変更。周りに、「今うち来れば悠人の生の水着見れるよ?」とグループLI○Eで呼ぶと、1時間足らずで全員集まった。


 地味にこいつら、暇である。なら、トレーニングに参加しろと、内心思ったエリナ。


 一応、水着は、マリア、エリナ、リボンが用意。当然、彼のお気に召す物を探し、実際に見せて許可を得た。



 何も、問題は、ない!



 そして、現在。女達は、わくドキしながら、シャワーを浴び、プールへと向かった。

 そこで、彼女達は目撃する。



「おー、おー! おー!」



 夜々が何かをサーフィンのように乗り、嬉しそうに声を大きく発している姿を。


 何に乗っているのか?


 夜々の足元に注目すると、現れたのは悠人。夜々は泳いでいる悠人の背の上に乗っていたのだった。

 唖然とする一行を夜々は知ることもなく、今の状況を楽しんでいる。しかし、人の背中は足場としては不安定。そして、泳いでいるため、揺れ続けている。うまくバランスを保てないとすぐに落ちてしまうのだ。



「おー、お! あっ!」



 だが、落ちてしまう。

 悠人は踏まれている感触が無くなったことにすぐに気づき、泳きをやめ振り返る。そして、夜々の位置を確認し、移動。夜々を背中に抱きつかせていると、見ていた一同と目が合う。そして、一同の元へ泳ぎ始めた。


「もっかい」

「また、後でな」

「むー」 

「にーちゃ、私も私も!」

「お兄さん!」

「……駄目だ」

「なーんーでー!?」

「どうしてですか!?」

「沈む」

「やってみなきゃ分かんない!」

「やりましょう!」

「……」


 挑戦するもやはり体重に耐えきれず、悠人はただただ水中に沈んだ。この2人が駄目なら他も駄目であり、期待していた少女達は、悲しみに包まれた。



(てか、泳げたの?)



 彼女達の疑問はもっとも。彼が臨海学校以来、海、プールに参加したことはなく、泳ぐ機会はない。だというのに、先程は見事な平泳ぎをしていた。

 どうしてかと全員で問えば、春妃さんに教えてもらったらしい。いつものように拉致られた際、プールで遊ぶことになり、そのついでに泳ぎ方を教えてもらったと。


 あの人、息子がいるのにちゃっかりしてる。


 しかし、教えてもらっていたならば仕方ないと納得するのであった。






「おっ、おお、……高っけぇ」


 一応、世界一の貴族橘家の所有するプール。1m・3mの高さ飛び板と、5m、7.5m、10mの飛び込み台、プール施設によくあるウォータースライダーが当然のように設置してある。


 悠人がいるのは10mの飛び込み台。初心者がいきなり挑戦するものではない。しかし、興味本位で行ったのが運の尽き。途中で怖くなり、両手で手すりを使って階段を上がる。飛び込み台に着けば、誤って落ちないように膝をついて四つん這いになり下を覗いている。


 ここまでびびっている悠人はレアである。


「悠人君、大丈夫〜?」

「れっ、玲奈さん。ええ、平気ですよ。しかし、ここまで高いとは」

「飛び込んでも死なないから大丈夫よ〜」

「死んだら困ります」


 玲奈が来たために、だらしない姿を見せられんと悠人は立ち上がる。しかし、恐怖は無くなっておらず膝が笑っている。


「一緒に飛ぶ〜?」

「……大丈夫です」

「そう」

「ふっ、ふっ、ふっ。いきます!」

「……」

「おおおおおおお!!」

「気をつけしながら落ちるって、どこの空挺団なの〜」


 そして、着水。


「ぷっはぁ!」



 ……いける。



 そこに、恐怖はなく。小走りでまた10mの飛び込み台へと向かう。先程まで両手で手すりに掴まり移動していた階段を難なく上がる。飛び込み台へと着くや否や背中から倒れるように飛び込んだ。


 着水。


 こうして、木下悠人はまた一つ恐怖を克服した。



 それを見ていた大人組は思った。


(珍しく可愛い姿を見れたと思ったら、いきなり凛々しい姿になったー)

「全部撮れました。今度、ディスクで渡しますね」

「ご苦労様です」


 そして、淡々と行われる秘密のやりとり。



 今日の女達は不満をあまり持たない。



 それは、何故か?



 水着が見れているからだ!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ