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5 逆ラッキースケベ

 

 入学式から数週間過ぎたのにも拘らず同じクラスの女の子達は相変わらず俺に対してガツガツアプローチしてくる。


「ねぇねぇ、悠人君!!外で遊ばない?」

「ねぇ、悠人君!!何の本読んでるの?」

「悠人君!ここの問題教えてくれない?」



「「「「悠人君!!」」」」



 ……最初にした俺の自己紹介のことは何も覚えてなさそうだな。てか普通飽きない?てか飽きてよ。何なの?私の心はいつでもキャンプファイアーなの?


 俺の生活態度は至って普通。挨拶されたら返事する。話しかけられたらとりあえず話を聞く。


 みんなに対して平等に接している。特別扱いなんてしたらその子がいじめられてしまうからな。


 この前気まぐれで外で本読んでいたら、


「あんた悠人君と話して調子乗ってんじゃない?」

「じゃあ話しかけたら?」

「はぁ? そんなの無視されるに決まってんじゃん」

「そんなんだから話せないんだよ」

「てめぇ!!」

「ほらあそこで悠人君本読んでんじゃん。私から話しかけるからその後話して」

「嘘だったら覚悟しろよ!」

「はいはい」


 ……恐イデスネー。はいあの後ちゃんとお話いたしました。顔赤くして可愛いかったんだけど、さっきの会話聞いちゃうとなんかね、こう複雑な気持ちになるよね。


 消しゴム拾っただけでクラスの空気が死んだんだもん。俺ってそんなに悪いことしましたか?してないのにねぇ。


 女の子達と接していると分かるが近づいてきてガツガツ話しかけてくるタイプと遠くからジッと見てくるタイプがいる。それなら普通だから別にいい。


 だが、俺は本を読む。当然図書室に行くわけだ。本を借り、読み終わったら返す。当たり前の行動だな。しかし、その場に居合わせた女子達のほぼ全員がその返した本を手に入れるためキャットファイトするのだ。これじゃ本も借りにくい。


 まぁでも俺の私物は取らないのはありがたかった。多分ないと俺が困ることを分かってくれているんだろう。そこだけは感謝してる。少なくとも今は…な。どうせいつかは盗まれることはあるんだろうが。



 そして現在俺のいる場所は図書室。とても静かな空間。話し声は少なからず聞こえず、本を読むのに最適な場所。


 俺を見る子達は多いが話しかけて来ない。みんな図書室のルールを守っている。だから本を読みたい時は図書室に行くようにしている。


 子供向けの本とかを最近じゃよく読む。こう…初心に返って見てみると意外と面白いんだよな。


「ねぇ、悠人君」

「木村さんか。どうした?」

「次それ読みたいから読み終わったら貸してくれないかな」

「分かった。どこに座ってる?」

「じゃあ隣で待ってていい?」

「別にいいけど」


 木村さんは俺の隣の席に座る。別にいいとは言ったが、嫉妬の視線が木村さんに向けられているのが分かる。だが彼女はそれを気にせず俺を見ている。遠くからならまだしも近くで見られると気になってしまう。


「見られていると気になって読めないんだが」

「え……あっごめんね」

「いや、この本はもういいから貸すよ」

「いいの?」

「ああ」

「ありがとう」


 彼女に本を渡すとそのまま読み始める。そして俺も別の本を読み始める。


「「……」」


 会話はない。聞こえるのはページをめくる音のみ。彼女は時々こちらをチラッと見てくる。俺もその視線に気づき目を合わせると慌てて目線を本に戻す。


(俺の顔に何かついてんのか)


 そして携帯のカメラで顔を見てみるが何もない。ニキビ一つない健康な顔のみ。


(まぁ気にしなくていいか)


 本を読むことを再開する。


 だがその後も彼女は俺をチラッと見続けていた。



 キーンコーンカーンコーン



 休み時間終わりの5分前のチャイムが鳴った。


 俺は木村さんと本を借り図書室を出る。同じクラスなのにわざわざ分かれて教室戻るとかしない。面倒なだけだからな。


 だがそのせいで彼女に嫉妬の目線が…以下略。


「あまり俺と関わらないほうがいい。木村さんに迷惑がかかる」


 やはり注意しとくべきである。席が隣だから結構話すこともあり彼女に迷惑がかかることはしたくない。


「大丈夫。私強いから!」


 あっ、もう自分でも気がついているのね〜。何というか気にしてた俺が馬鹿みたいじゃん。


「ありがとね。悠人君♪」

「え……ああ」


 この学校の図書室は2階にあるため、一度階段を降りる。だが降りている途中に、


「きゃっ!」


 木村さんが足を踏み外した。俺は彼女の手を掴むが踏ん張りが足りずそのまま体を巻き込まれ落ちていく。だが俺はとっさに彼女を引き寄せ背中をクッションにした。おかげで彼女は無事だったが、


「グフッ!」


 その分俺に痛みが伝わる。ヤベェよすごい痛いよ。こんな痛み前世で友達と肩パンした時、ふざけて腹パンされた時の痛みだ。痛みを受ける部位は違うけどそんくらいやばい。


「「「悠人君大丈夫!?」」」

「誰か救急車!」

「「救急車ーー!!!」」

「タンカだよ!! タンカ!!」


 周りが混乱状態だよ。だがそれは置いといて、


「平気か?」

「うん、あっ、ありがとう」

「ならいい」


 しかし彼女が上に乗っていては起きれない。


「そろそろどいてくれないか?」

「え!? あっ、ごめんね!!」


 と彼女が退こうとした瞬間ピシッと石のように固まった。そして気がつけば周りの空気が死んでいたのだ。


 そして周りの視線は彼女に向けられていた。俺は今の彼女の体勢を見てみると、



 右手で俺の胸を掴んでいた。



 そして俺は理解した。


(ははーん、彼女は偶然にもラッキースケベをしてしまったのか)


 貞操観念が逆転したこの世界ではラッキースケベは女性が男性にするものになっていたのだ。


 真夏から聞いたが男女比の差が激しいせいで男性に会うことすら難しく話すことなんて奇跡と言ってもいいらしい。



 なら……ボディタッチは?



 入学式に同じクラスの女子全員に握手したのは覚えているか?そしてその過半数以上は…気絶したのだ。触られるのも触るのも慣れていない。その時の彼女は気絶はしなかったが、顔が沸騰したように赤くして、


「この手絶対洗わないね!!」


 と言われた。ちゃんと後に、


「風邪ひかないようにうがい手洗いしろよ?」


 と注意したけどな。



 話を戻そう。


 握手しただけでも顔を赤くする彼女は当然、


「……きゅぅ」


 気絶した。顔が俺の胸にくるあたり狙ったな?と思ってしまう。しかしこのままというわけにもいかないので、一度彼女を横にずらす。そして俺は立ち上がり彼女を抱える。要するにお姫様抱っこ。いやこの世界では王子様抱っこか?


 そして保健室に向かう。こういうのはベットに寝かしといたほうがいい。背中の痛みは無くなってきたので大した怪我ではないだろう。


 周りの女の子達は、


「あの子社会的に絶対死んだ」

「あの子終わったわ」

「やばいよー」

「悠人君学校来なくなっちゃう!」


 と言っているが放っておこう。



 保健室に着き木村さんをベットに寝かせる。保健室の先生がいなかったのでとりあえず来るまで待つことにした。訳を話さないと保健室の先生も困るだろうし。


 すると、


「悠人君探したよ!! 背中大丈夫!?」


「えっ……ええ、大丈夫ですよ」


 あまりにも凄い剣幕だったので少しキョドッてしまった。多分白衣を着ているから保健室の先生だろう。


「とりあえず寝てなさい!!」


 一応言う事を聞いてベットに寝る。こういうのは絶対に諦めそうにないからな。だからといって眠い訳じゃないから先生に彼女のことを話しておく。そしてその話を聞いた先生は顔を真っ青にして、


「えっと……悠人君は訴えちゃうの?」

「えっ何でですか?」

「だって胸……触られたんでしょ?」

「あれは事故ですし仕方ないです。訴えないので安心して下さい」

「そうなんだ」


 すると、


「うぅ……ん」


 木村さんが起きた。まぁ何も怪我してないから平気だと思うけど。


「平気か?」

「うぇっ!? 悠人君!? 何でここに……てか、私」


 カーテン越しだから顔は見えないが慌ててるのは分かる。多分気絶する前のことを思い出したんだろう。


「俺は寝てろって言われた。木村さんは平気か?」

「うん、大丈夫。悠人君が助けてくれたから……。……でも」

「あれは事故だ。あまり気にするな」

「許してくれるの?」

「……ああ」

「ありがとう!」

「俺は先に戻るよ」

「ダメだよー、悠人君。今救急車来てるから」


 え?先生今何て言った?


「とりあえず早退扱いで病院で検査してね」

「先生必要な「「ある!!」」

「念の為にね? 悠人君行ってきて」

「悠人君私のせいで何か障害が残ったら嫌なの」


「ねーよ」と言いたいがここは我慢。だったら俺が木村さん運ぶのを止めろよ。えー行くの面倒なんだけど…。


「分かりました行きます」


 立ち上がろうとすると、


「「動かないで!!」」


 と言われたらどうしようもないね。


 その後救急車までタンカで運ばれて病院に運ばれた。そして真夏や優菜にめちゃんこ心配されるのは言うまでもない。



 あっ一応何の異常もなかったよ。



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