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26 SNSと電話

 


「悠人君はツ○ッターとかしてないの?」


「え?」


 放課後の教室で里奈と何気ない会話をしている時に、いきなり聞かれたのでつい疑問形で返してしまった。


 しかしツイ○ターか。


「してない。一応優菜にアプリ入れてって言われたから入れただけ」


「登録はしてるんだ。じゃあ相互フォローしよ?」


「俺呟いてないけど?」


「いいのいいの、フォローするだけいいから」


 とりあえず相互フォローをした。


 里奈は俺のプロフィールを見ると、


「えっ!?」


「なんかあったのか?」


「何でフォロー数が7しかいないの?」


「フォローする人いないから」


 優菜と真夏以外はゲームの公式だからな。


「悠人君、ネットくらいはボッチやめよ?」


「失礼だな君は」


 里奈の頭に軽くチョップする。


「あぷっ! もお〜、悠人君」


 頬を膨らませていかにも怒ってますアピール。少し強くし過ぎてしまったのだろうか。


 しかし可愛い。


「ファンクラブに悠人君のアカウント教えて、フォロー増やしてあげる!!」


「やめてっ!」


「でももう広まると思うよ?」


「何でだ?」


 里奈は俺の後ろを指で指している。


 …。

 

 まさかと思い、後ろを振り返る。


 そこには、親指をグッと立てて満面の笑みを浮かべている柳田さん。


 その顔を見れば、「ネタくれてありがとう」と言っているのは間違いないのだろう。彼女が俺そのものがネタと言ってはいたが、やはり何かしらのトラブルなどがあって欲しいはずである。


 こっちとしては勘弁願いたいのだがな。修羅場とか。後、いないと思いたいけどヤンデレとか出たら真っ先に写真よりも助けて欲しい。


「今晩の夕食くらいしか呟かないからな?」


「とか言って、結構呟きそう」


「変な事呟いておこうか」


「柳田さんは僕の公式ストーカーです、とか」


「公式ストーカーってなんだよ。」


「知らない」


「だよねー」


「ところで悠人君って、ファンクラブのサイト見てないの?」


「そうだな、見よう見ようと思っていたけど忘れてた。はっきり言って、減ろうが増えようがどっちでもいいんだよな。でも、この前は酷い目というか自業自得っていうか」


「あー、真夏さんの会社の人達にバレたんだっけ? それよりもみんな驚いてたよ?」


「そうなのか?」


「悠人君急いでたでしょ? 先生が今日悠人君は仮病で休みますって言った時は衝撃的だったというか、悠人君らしいというか」


「嘘は…言いにくい」


 先生に「どうしたの、風邪?」と心配されて、「はいそうです」とは言えず、つい「仮病です! 」と答えてしまったのだ。


 その後、先生はなぜか嬉しそうに「分かった」と言っていたけど。


「少し真面目に生きるの辞めようかな」


「やめときなよ、後で自己嫌悪に陥るだけでしょ?」



 なんも言えねぇ。





 その一週間後、



 フォロー 7 フォロワー 276042



 ……うわぁ。


 えっと……フォロワーいきなり増えてて草…っと。


 呟いた瞬間、ものすごい量のいいねとダイレクトメッセージが。


【悠人君やっと呟いたね】

【悠人君の初呟きキター!!】

【ちょっ、君いいね多過ぎwww有名人かよー!】

【これは仕方ないことなのです(フォロワー増加は)】

【草しか生えない】

【にーちゃ今日のご飯何ー?】


 etc…



 ……。



【餃子だよーん。一緒に作りたいから早く帰ってきてねー♪】



 さて下ごしらえするか。



 ガチャッ!



「にーちゃ!! まだ餃子作ってないよね!?」


「下ごしらえ中だーい」


 帰ってくるの早すぎんよ。





 ー次の日学校にてー


「君のせいでフォロワーが沢山だぜ」


 俺は里奈に少し文句を言っていた。まぁ事の発端は里奈だし少しくらいは言ってもいいだろう。


「ふふふ、これで寂しくないよ?」


「騒がしすぎるのも考えものだと思うんだけど?」


「木下君、私もフォローしてくれないかしら?」


「悠人様、私もフォローしてください」


 明日香とマリアがツイッターのアプリを開きながら来る。


「ツイ○ターとかそういうのはあまりしていなかったんですよね」


「マリアちゃん、やってなかったの?」


「悠人様や里奈ちゃん、明日香ちゃんがやっていたので流行に遅れないようにと昨日入れました!」


 えっへんッ! と体を少し後ろにそらすマリア。


 普通に可愛い。


「それでマリア、フォロー数は?」


「えっ…と、3です!」


「マリア、強く生きろ」


「それ木下君が1番言っちゃいけないやつよ」


 やめろ明日香、心が痛くなるだろう?



 そんなこんなあって木下悠人のフォロー数が9になった。



「もうすぐ2桁か」


「上々だね」


「まぁ、この先俺がフォローする人は…」


 ふと目を他所に向けると、柳田さんが人差し指を自分に向けている。


「…柳田さんのアカウント知ってる?」


「えっ? 知ってるよ、じゃあ教えるね!」


 フォロー数2桁達成。





 その日の夜中10時頃に携帯の通知がなる。


 こんな時間に誰だろうか。俺は携帯を見る。その通知の主は夜々ちゃんだった。こんな時間にどうしたんだ?


 とりあえず、すぐに携帯を取り通話をする。


「どうしたの夜々ちゃん? こんな夜遅くに」


『ねてたらこわいゆめみた。だから、ゆーとさまのこえがききたくなった』


「そう」


『よるおそくにごめんなさい。めいわく?』


「大丈夫、迷惑とは思わないさ。夜々ちゃんが好きな時に電話してと言ったからね」


『ありがとう。やっぱり、ゆーとさま、やさしい』


「寝れるまで電話する?」


『いいの?』


「もちろん、明日休みだから。夜々ちゃんの話したいこと言ってごらん」


『えっと、えっと、このまえおけいこのときに______』




 まさか話が朝まで続くとは思わなかった。




「うぼぁ…」


「悠君どうしたの?」


「女の子のささやかな願いを叶えてた」


「そう、大丈夫? 隈すごいよ?」


「寝る」


「不摂生な生活は辞めてね?」

 

「分かってる。それより真夏」


「何?」


「女性ってどんな年齢でもお喋りなんだね」


「そりゃそうよ、それに話す相手が悠君なら尚更ね」


 ……聞き上手になれるように頑張るか。



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