19 胸の話
「悠君今日台風来るんだって」
真夏が天気予報を見ながら話して来る。
「じゃあ今日の洗濯は室内干しだな」
「いやいや、今日は自転車で学校行くのやめたら? 送り迎えするよ?」
「んー」
天気予報を見る。だが台風は学校がすでに終わった後に来るらしい。ならいらないな。
「平気平気、その頃には家に着いてる」
「むぅっ、悠君! たまにはあまえなさい」
頬を膨らませて怒られた。
「あまえてるよ。例えば……あれ?」
そういえばあんまりあまえてない気がする。
「悠君は膝枕と耳かきしか求めてきません! しかも2週間に1度くらいです。子をあまやかし、叱りつけ、立派な大人に育てるのが親の仕事です。それに何なの今は……いい子でカッコ良くて可愛い子じゃない!!」
「……ええ」
なんだろうこの腑に落ちない感じは。
「ちょっと近くに来て」
「……? おう」
真夏の目の前まで行くと、
「やっぱり可愛いもうっ!」
「ウプスッ!」
抱きしめられた。たわわに実っている魅惑な果実が俺の顔面に。やべぇ、やっぱりすごい柔らかi...…じゃなくてだね。
「苦しっ!」
力強く抱きしめられているため結構息苦しいのだ。俺は真夏の脇腹を平手で叩く。そうすると、
「あっ! ごめんね」
と抱きしめる力を緩める。
ふぅ、これで息苦しくない……いや離してよ。
「離して」
「ダメ〜最近悠君とのスキンシップがご無沙汰なの〜♪」
「え……分かったよ」
「うん、悠君ありがとー!」
まぁ、そうだよね。大事だよねスキンシップ。そういえば抱きしめられることはあっても抱きしめることは少なかったな。
「……」
静かに俺は真夏抱きしめる。
「ふふふ……黙ってはいても悠君はあまえん坊さんだね」
「……あまえ方知らないし」
「黙って抱きしめればいいんだよ」
「次回からそうする」
しばらく抱きしめ合っていると、
「おはよー」
優菜が起きて来て、俺と真夏の状況を確認。そしてカッ! と目を開いて、
「にーちゃはお〇ぱい星人だった!?」
何と失礼な妹だろうか。
とりあえず真夏と離れ……られない。絶妙な力加減でガッチリホールドされておる。
「優菜、誤解するでない。私はお〇ぱい星人ではない」
「でも今も顔ぎゅーってしてる! お〇ぱいにぎゅーって!」
「これは抱きしめ合っているだけだからな? なぁ真夏?」
潔白を伝えねば、優菜は俺の話をクラスメイトにするらしい。変な噂立ってしまったら恥ずかしいしな。
「そうよ優菜、悠君は唯のパイ〇ツには興味ないわ。私のパイ〇ツ…真夏パイが好きなのよっ!!」
真夏よ、俺はどんどん話がこんがらがっていくのを防いで欲しいんですけど。
「……にーちゃそんなの唯の脂肪だよっ!!年とったら垂れるだけなんだよっ!!」
うん知ってる。そういうのは前世でもいっぱい聞いた。
「自慢でしかないけど私のパイ〇ツはマシュマロみたいに柔らかいの」
そこでやっと俺は解放される。少し顔辺りが寂しい感じになるのは気のせいだろう。
「……」
疑い深い目で真夏を見る優菜。そしてジリジリと真夏に近づいて胸に顔を埋める。そして胸を数回揉み、
「柔らかいよぅ」
優菜が負けた瞬間であった。
「ふふふ、安心して優菜もいつかこのくらい大きくなるよ」
「……!! そうすればにーちゃが私のお〇ぱいに抱きついて来る!」
「そのとうり!」
いやしないからね? というか、優菜がお〇ぱい星人じゃないか。
「でもそれにはまだ時間がかかるからね」
そして直ぐにその希望を打ち砕くんじゃない。
「はっ! にーちゃ私のお〇ぱい揉んで! そしたら大きくなる!!」
はっ! じゃないそれは唯の迷信だ。18禁展開につながる可能性がある行為は致しません。
「落ち着け優菜、お前は今寝起きで頭が回らないだけだ」
「でも!」
「いらっしゃい、悠君」
手招きしながら俺を見る真夏、
「ほら!このままじゃママに負けちゃう!」
何故こうも真夏の優菜への煽りスキルが高いのだろうか。
「真夏もあまり煽らないで」
「親としてどうかと思うけど、この頃子供達にちょっかいかけるのが結構楽しい」
……まぁ優菜は可愛い反応してくれるしな。その気持ち分からなくもない。
「優菜大丈夫よ、悠君は優菜が好きだから優菜のどんなパイ〇ツでも平気よ」
その「胸なら何でもいい」みたいな節操無しの言うことを言わないでくれ。しかもそれ逆にさ、
「じゃあにーちゃ! 私の絶壁にダイブして! 」
ほら勘違いしてるし。しかも絶壁って自虐で言って…ないね。てかそんな屈託のない笑顔を見せて言ってるんじゃない。そして求めるように両手を広げた体勢で待たないでくれ。
「嫌だよ」
「……えっ」
「えっ、じゃなくてなそういうのは大事な時にとっておきなさい。代わりに俺の胸を触ればいい」
「いやいやいやいや!! 逆に悠君が大事にしなさい!!」
「自慢ではないが俺のは鍛えてるから結構硬いぞ?」
「にーちゃ、それ私知ってる」
「あっそれもそうか」
優菜に抱きしめられたり、胸に寄っかかれたりされるの日常茶飯事だしな。
「何それ私知らない」
1人取り残されている真夏。うん、だってそういうのした覚えないし。
「じゃあ抱きついてみる?」
と無意識に言ってしまった。
「うぇっ!?」
うん、流石に今の発言はないわ。逆の立場だったら動揺するし、説教が始めると思う。
「悠君、女は狼、野獣なんだよ分かってる? いくら周りの人達が優しくても心の奥底には必ず性欲というものが絡んでるの。人は性欲なくして恋をしないのよ。今はみんな自制が効いているんだけど、悠君のちょっとした性的な発言や誘いでそれが外れちゃうんだよ? 嫌でしょ、ずっと仲良くしてきた子にいきなり襲われるなんて」
うん、やっぱり始まったね。
「……うん」
「悠君が優しいのはみんな知ってる。だから悠君の優しさにつけ込む人だって絶対出てくる。いい悠君?」
「……うん」
「今の発言は無意識に言ってしまったのも知ってる。でも気をつけて?」
「……うん」
「それはそうと悠君の胸硬いの?」
「うん……うん?」
話が急に脱線した。
「へぇ……」(硬いのか〜。……悠君の母親なのに悠君の胸に顔を埋めたいと思っちゃうなんて…やっぱり母親失格なのかな)
なんか寂しそうな顔で俺の胸を見てくる。
「ママ、1回抱きついてみれば?」
「……えっ?」
「家族だからノーカンだよ!」
「何がノーカンなのか教えて優菜」
「あまえることは恥ではない……だよ!」
すげぇ、子供だから言える名言だなそれ。まぁそれに、
「胸やらチン〇ンやら見てるんだから今更抱きついても問題ないだろ」
「うちって裸族じゃないよね? それと悠君また後で説教」
「堪忍してくぁさい」
「さぁママ、にーちゃにダーイブ!!」
優菜が真夏の後ろにまわり背中を押す。
「きゃあっ!」
真夏はバランスを崩し正面にいる俺の元へ倒れてくる。もちろん俺は真夏を倒れるのを防ぐために動くが支えきれず一緒に倒れる。
毎回のことだがなぜ倒れるのを防ごうとすると俺まで倒れてしまうのか……これがわからない。
「優菜、危ないからやめなさい」
「えへへ〜〜、ごめんなさーい♪」
とテヘペロとしながら言う。うん、可愛いから許す。まぁ俺が許してもしょうがないんだけども。
「真夏、大丈夫?」
「悠君の胸、……硬い」
「真夏?」
「えっ!? あっ、今どくからね!」
慌ててどく真夏。もしかして胸を触るの初めてだったのではないのだろうか。
「とっ、とりあえず! もうパ〇オツの話おしまい!」
「そういえば真夏、もう時間じゃない?」
「あっ、本当だ! 行かないと!」
真夏は急いで仕事の支度をする。
「はい、弁当。今日はハンバーグが入っている」
「うん、ありがとう♪ じゃあ行ってきます!」
「「行ってらっしゃい」」
そして真夏は仕事へ向かった。
「優菜、朝飯準備するから顔洗って来い」
「うん!」
俺は朝飯の用意しようと思いキッチンへ向かおうとする。
「ところでにーちゃはどんなお〇ぱい揉みたいの?」
このタイミングでっ!?
「へっ?」
「どんなの揉みたいの?」
逃げようとしても無駄、妹からは逃げられない。
てか何でこうなった!? まるで意味が分からんぞ! てか何で今日こんな胸の話になってんだっ!?
「ワクワク」
何で楽しそうなんですかねぇ? しかしふと思う。どんな胸を揉みたいか……大きなものは別に、柔らかいのもそんなに、というか胸にこだわりとかないしな……あっ! どうせなら、
「嫁になる人の胸が揉みたいね」
「にーちゃは私の夫! だから揉め!」
「何とッ!!」
今日も平和だな〜〜。




