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15 勉強会で

 


 今日は待ちに待った勉強会。といっても俺にとっては全く為にもならないものでしかない。小学生の授業で詰むほど俺の頭は悪くない。てか詰んだら俺の人生はとっくに終わってる。



 それに……宿題終わらしちゃったし。まぁ漢字と算数だけだしすぐに終わるか。



 多分里奈の宿題の手伝いをする感じになるんじゃないだろうか。


 結局迎えに来てもらうことになった。やはり俺の身の安全を考えてだそうだ。



『前にも言いましたが殿方を守るのが女性の役目でもあるのです。悠人様は私にとって大事なお方ですからもっと頼って下さい』



 だそうだ。…俺から彼女にしてやれることはないだろうか。彼女におんぶに抱っこ状態じゃダメだ。男女の前に俺と彼女は対等であるのだから...。


 インターホンが鳴り玄関を出ると、


「悠人様お待たせいたしました!」


 マリアが笑顔で待っていた。そしてメイドの南さんも一緒だ。


「おう、マリアおはよう! 南さん数ヶ月ぶりですね元気にしていました?」


「えっ!? 覚えて頂けていたんですか?」


 えっ……なんか酷くない? ちゃんと覚えてたよ?


「リボン…悠人様はそんな人ではありませんよ?」


「いや〜お嬢様の影に隠れてしまっていたのでもう忘れているとずっと思ってました。そして凹んでました」


「俺を悠ちゃん呼ばわりした数少ない人忘れるわけないじゃないですか」


「あはは…あの時は失礼しましたね」


「大丈夫です、気にしてませんよ」


「ではこちらへどうぞ」


「またリムジン?」


「はい、リムジンです」


 うん知ってた。


「相変わらずですね悠人様」


「南さん、1回2回で慣れたら苦労しないです」









 鮫島さんの家に到着



「おはよう、橘さん木下君」


「おはよう、鮫島さん」


「おはようございます」


「早速謝りたいのだけど、宿題もう終わらせてしまったの」


「だろうな、俺も」


「私もですのでお構いなく」



 ……里奈大丈夫かな。



「これ完璧に里奈が夏休み明けに居残りにならない様にどうにかするやつだな」


「私も薄々は気づいてました」


「でしょうね」


「否定して?」




 そして里奈の家に到着



「みんな〜おはよう!」


「おはよう里奈……それより宿題終わらせた?」


「ふぇ? 今日みんなでやるんでしょ?」


「……許せ」


「えっ? みんな終わっちゃってるの?」


 全員無言で頷く。


「ひどい! 私だけ仲間外れにして遊んじゃうんでしょ!」


「何言ってるの? 木村さんが終わるまでみんなで見てるのよ」


「まぁそうなるな」


「絶対嘘だね!」


「文句は後、とりあえず今日中で終わらせるぞ」


「さぁ行くわよ」


「悠人君! 裏切ったんディスカ!」


「おう、俺は裏切ったんディスヨ?」


「私は誰を信じればいいの!」


「里奈ちゃん」


「マリアちゃん! マリアちゃんだけは私の…」


「諦めましょう」


辛辣しんらつ!」


 最近思うんだが里奈がいじられキャラになりがちなのは気のせいか?





 最後にマリアの家に到着


「マリアの家って思ってたけどやっぱり凄いわ」


「本当凄いよ! 敷地内で20分くらい走ってたし!」


「バラの庭園も綺麗」


「ふふ……ありがとうございます」


 右を見ればお花畑左を見るとバラの庭園、そして玄関前には噴水。お金持ち要素がたんまり過ぎてもうお腹いっぱい。


「さぁ行きましょう」


 玄関を通ると…もう何もいうまい。逆に説明すんのがおこがましいくらいだよ。一言で言えば、やっぱり金持ちすげぇ。


 そして図書室というより図書館ぐらい部屋に案内される。ぱっと見て5階分の螺旋階段が見える。隠し部屋とかないか探したくなる。いや絶対あるに決まってる。


「とりあえず里奈、まずは算数からだ」


 だがまずは里奈の勉強に集中する。答えは教えない。答えにいきつくまでの考え方を教えるだけ。できると分かるは違うからな。


「うへぇ……苦手だよ〜」


「文句言ってないでやるの」


「今日終わらせれば明日からゲーム三昧だから」


「頑張るよ…」


「リボン、何か飲み物を」


「分かりました」






 ーー1時間後ーー






「全部終わったー!!」


「すぐに終わりましたね!」


「「……」」


 俺と鮫島さんは顔を見合わせ。


((やれば出来る子だった))


 この子ゲーム廃人レベルだけでなく、頭も意外に良かった。分からないところを教えたらスポンジのように吸収していたし。点数悪いのはただ勉強してないだけという。ずるいよ。


「次は漢字だよ!」


「すぐに終わるな」


「終わるね」


「終わらせて?」


「じゃあ見てて?」


「ジ〜〜」


「いやん」


「下らないことしてないで早くやりなさい」


「「ごめんなさい」」


「楽しそうでなによりです」


「というか漢字ってみんなどう覚えてるの?」


「俺は殴り書き」


「最初に音訓を書いているわ」


「私も音読み訓読みを書いて綺麗にまとめます」


「悠人君と同じに勉強しよっと」


「楽したいからって俺の真似するんじゃない」


「えっやっぱり悠人君も?」


「ふふっ、もち♪」


「「Oh! My best friend!(なんと! 我が友よ!)」」


 俺と里奈はハイタッチをする。


「あなた達はツッコミが欲しいの?」


「「欲しい」」


「では…Am I an important person for Yuto?(悠人様にとって私は大切な人ですか?)」


 なんとマリアが乗って来た! しかしここは元高校生これくらいの英語容易く返答できる!


「Yes. Maria is an important person for me.(おう、俺にとってマリアは大切な人だ)」


「ふふ…そうですか。嬉しいです」


「Is it a fault? Do I do not matter?(あら? 私はどうでもいいのかしら?)」


 おっ鮫島さんも乗ってきた。


「Not at all. As for me, all are important(そんな事はない。俺にはみんなが大事だ)」


「木下君は本当にずるい人ね」


「俺はそういう人間だ」


「そうね」


「ねぇ悠人君私はいつから外国に来てしまったの?みんな何言ってるの? 分からないの」


「俺、みんな、大事」


「分かりやすくて助かるよ」


「それより漢字ノートをやりなさい」





 ーー45分後ーー





「終わったな」


「終わったね」


「終わったわね」


「終わりましたね」


 里奈の漢字ノートは終わった。しかし、元々勉強会のくせして里奈を除く俺たちはそれを見ながら話していただけ。


「さて何する?」


 そしていざ終わると何もする事がないという。


「このまま話していてもいいと思うわ」


「トランプとかしたいよね」


「じゃあやりましょう、リボン」


 マリアが2回手を叩くと、


「はい、ここに」


 すぐに南さんがトランプを持ってやって来た。手を叩いてメイド呼ぶの初めて見たけどすげぇ。


 そして俺が驚いているのに気づいたのか。


「ずっと部屋の外でスタンバッてました」


「いや、寂しくなるから言わないで」


 仲間外れにした気分になるじゃん。


「みんなで大富豪でもしましょう」


「無難だな」


「罰ゲームとか付ける?」


「それ俺が絶対負けるフラグだからやめようぜ」


「じゃあ普通にやるわよ」


「南さんも一緒にどうですか?」


「いや私は今仕事中ですので」


「そうですか」


「では失礼します」


 そう言って南さんは部屋から出ていく。


 そして大富豪が始まる。






「そういえば悠人君ってやっぱり普通とは違うよね」



 ………。



「えっこのタイミングで?」


「いや、今純粋に思ったから」


「まっ、俺は非常識だからな、なぁマリア?」


「はい、非常識です!」


「満面の笑みで言わないで?」


「確かに木下君は明らかに異常よね」


「鮫島さん、今君が1番失礼だぜ?」


「あらごめんなさい。でも小学校に通い、女子に優しく、ラブレターも全員分の返事を書き続け、一度話した人の名前を覚えている。ほら…確かに異常よね」


 まぁ俺も大概だとは思うけどよ。女の涙は見たくないもので、後はやっぱり恋愛事かな。好意を抱いてくれた子にはやはり誠意を持って対応しないといけないと思うし…。そこは俺が馬鹿なだけだからしょうがない。


「ははは…」


「悠人様、私からも聞いてもいいですか?」


「いいぞ」


「どうしてそんなにも女性に優しくできるのですか?」


「……」


 いつかはしてくると思った。大概の男は女を嫌っている。だからこそ俺は異常すぎる。それも小学1年が女の園に入ったのだから。


 だが俺は前世の記憶をそのまま引き継いでいるから深く考えることも理解することもできた。でもなそれが1番理由じゃないんだよ。1番の理由は、





「家族がいてくれていたからだな」





「家族ですか」


「真夏はな。俺の事を考えてくれてな、悪いことは叱って、いい事したら褒めてくれた。最初だって女は狼だって教えていたよ。そんな色々考えてくれる真夏を嫌いになるなんてできないし、逆に役に立ちたいと思ったんだよ。優菜はよく甘えてくるし、頼ってくれるから嬉しいんだよ。それに俺といる時間を本当に嬉しそうに笑って居てくれるんだ。そんな家族と一緒にいれば自然と優しい性格になるんじゃないか?」


 もし俺の家族が恵まれていなかったら自分勝手になっていたかもしれない。今の俺が今まで変わらずに居られたのも真夏と優奈のおかげなんだよな。


「それに痴女する女性や襲う人もそれは一部の人のみ。みんなはそんな人ではないことは理解した。他の子も同じだった。だから優しくする」


「……やっぱり悠人君らしいね」


「ええ、本当に」


「マリア、どうした?」


「いえ…最初お会いした時からずっと聞きたくて、私が会ってきた殿方はみんな女性を嫌っていたので気になってしょうがなかったんです。ごめんなさいこんなこと聞いてしまって」


「気にすんな、逆だったら俺も気になってるからな」


「ふふ…ありがとうございます」


「それで俺の答えは何点だ?」


「100点以上です」


「おっし!」


「さぁ次は何をするの?」


「ジジ抜きしよ!」



 そうして俺たちの時間は過ぎていき、




「またな!」


「じゃあね悠人君!」「はい、悠人様」「暇があればまた今度ね」


 帰りもリムジンで送ってもらい。挨拶をし、家の玄関を開ける。





「ただいま!」






「「おかえり!」」






 俺は笑顔で帰りを迎えてくれる家族を見て、当たり前の日常の幸せを感じる。






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