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寂しくなった2人と気にしない奴

 

 悠人が学校生活を謳歌している中、あまり時間が取れなくなり少しずつ不満が溜まっている者がいる。


「とーちゃんは、最近時間が取れないんだぁ」


 東堂悟。

 春休みということもあって、週に2、3回程度で生配信の為に悠人を拉致を決行していたのはこの子。しかし、中学生になり通い始めたら時間は全く取れない状態に。


 悠人にもあまり参加出来なくなると言われていたが、春妃にも釘を刺されれば我慢するしかない。


 悟もそうだが、配信を覗いている視聴者もやはり奴が居ない事には不満はある。だって、煽りや野次を弄りと知っていて反応してくれるおもちゃは誰だって欲しい。


 実際、悟のみやアグリウスと2人きりの生配信は、とても穏やかで弄りもなく、癒しの空間となる。そして、カコカワのショタの2人は何をしても絵になり目の保養となる。


 しかし、奴の存在がある途端に、それは消える。


 例を挙げるなら、まず恋愛ゲーム。奴が操作すれば確実にヤンデレルートへと進み流血シーンが流れ主人公は必ず死んでいたり。


 対戦ゲームをすると2人を手加減無しにボコボコにして、2人に負けた腹いせに蹴られたり、叩かれていたりと保護者枠の筈なのに、どういうことか子供の教育に大変よろしくない事ばかり起こすしさせる。


 終いには、それを注意する人に対して、


『教育に悪い、子供が覚えたらどうする? 覚える事が悪い事でなく、それを実際に起こす事が問題という事にまさか大人になった今でもご存知でない? それに俺が悪いんじゃなく、親の言う事を聞かないお粗末な教育をなさっているご自身が悪いのでは?』


 中指を立てて煽りやがるから始末が悪い。


 それでも人気があるので、未だにメディアから消えることは出来ていない。


「ゆ、とーちゃんは実際忙しい」

「でもでも、アグリウス。最近全然会えてないじゃん」

「……それは、そうだけど」

「偶には、連絡してみようか!」

「普段、連れ去るのが普通ってやっぱりおかしいと思う」

「それが僕達なりのコミュニケーション!」

「……それもそうだね」

「とーちゃん、出ておくれい!」


 視聴者にも聞こえるように設定した上で、奴に電話をかける悟。繋がらない数コールの間、ソワソワしている2人。まともに連絡する事は初めてなのである。


『電話とは珍しい。悟、どした?』

「会えなくて寂しくなったから電話した」

『そういうのは、将来大切な女性に言ってやるもんだぞ』

「とーちゃん」

『おお、アグリウスもいるのか。俺は元気してるが、お前はどうだ?』

「ん、上々。最近、何してた?」

『トレーニング』

「……」

「……」

『……どした?』







「なあ、機嫌直せって」

「ふん!」

「……」


 拉致を決行し、無理矢理連れてこられた奴。無理やり連れてきたくせに、頬を軽く膨らませ奴の膝の上に乗るアグリウスと明らかに不機嫌な返事をして衝撃を与えるように背中に寄っ掛かる悟。


「俺が悪かったよ」

「……」

「……」


 返ってきたのは、アグリウスの頭突き。

 悟は至ってはガン無視である。


 奴にとって、キャラクターのアイデンティティを保つ為の必要行為。そもそも異常な身体能力の高さが知名度を上げる1番の要因であったのだから、それを削ぐことは絶対に出来ない。


 それは、悟もアグリウスも理解できる。


 理解はしたが納得していない。


「その無駄に鍛えた身体能力を世間にもっと晒すべき」

「アグリウス、なんて事を言うんだ」

「フルマラソンの記録をあのままにしておくの?」

「悟、そもそもあの時の記録がまだ塗り替えられていない事に驚きなんだが?」

「いや、後2回変身残してるような相手に挑むとか、馬鹿じゃないんだから」

「大丈夫だって。個人的でしか走る気ないから」

「駄目だよ。ゆ……とーちゃんが走らなくても、僕達が走らせる。反省するなら走って」

「……」


 走り切った後に、クールランニングとか言って再走。普通に考えて、まだ余裕があったと周りから見える。それを超えたとしても直ぐに塗り替えられると予感し、走る気を無くすのは当然。


 そして何より、あの時の悠人はまだまだ成長段階であり、未だ現在も肉体の黄金時代がまだ訪れていない状態。何も知らぬ一般人であれば、得られる情報ではないが、それを知る貴族階級の大半は、大人しく身を引く事を選んだ。


 忘れてはならないのは、奴は師であるエリナとライバルであるマリアを超えることを目標にしている。それ以外に、陸奥に負けないでいること。奴の鍛えるという目的全てが身内の中で終わってしまっている。


 1番になるとか、俺より強い奴に会いに行くとか、特別大きな承認欲求もない。


「番組で走ってんだからそれで十分だろ」

「僕はもっとかっこいい姿を見たい!」

「僕も」

「……そうか」


 なんだかんだ言い訳を重ねれば諦めるだろうと思っていた奴。しかし、そこまで言われてしまえば、拒む事なんてできない。


「そうだな、走ろう」

「!」

「!」

「準備は任せる」

「任せて!」

「うん」


 話はまとまり、しばらくゲームをして過ごす3人。

 奴が帰った後、2人は母親に準備をお願いするように伝えた。


 後に、奴は語る。



「前は1ヶ月くらいかかってたじゃん。1週間で準備できるもんなの?」



 世間様、第二形態、始動します。



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