序章
連載ものに挑戦します!
途中で放り出さないように頑張らないと(笑)
よろしくお願いします!
「ねえ、俺の好きな人教えてやろっか。...お前。」
時刻は午後五時をまわったところ。
春の暖かな風と戯れる、川沿いの通学路。
急に何を言い出すのかと顔をしかめてまーくんを見ると、
夕日に照らされてか彼の顔がいつもより赤くなっているのがわかる。
「なにが言いたいの?」
依然しかめっ面のままでまーくんを見上げて問う。
入学した頃は同じくらいの身長だったのに、今ではすっかりまーくんを見上げている。
「言わせんなよ...。俺と、つ...付き合ってください…。」
声が震えていて、顔が赤くて、左手をぎゅっと掴んでいる。
本気なんだ、と一瞬驚いてから私はすぐに応じた。
「いいよ。」
え?いうような顔で見て来たかと思えば、途端に顔がほころんでいく。
「やったーーーー!!!!マジで!?!?」
五時をまわってお散歩をしている人の温かい視線を感じながら、私はゆっくり微笑んだ。
さて、こいつはいつまでもつだろうか。
3時間後。
『辰巳です。お前まさやと付き合ったんだって?おめでと笑』
部活の先輩で、ちょっぴりウザい野郎だ。
でも1年に7人もの女性と噂になるほどモテている。
『ダメそうだったら俺のとこ来ていいよ?笑』
この人だけが知っている。私の過去の恋愛。
「ごめん、やっぱ付き合うのなしにしよう。」
突然のメールで私は振られた。
あまりに唐突で、涙すら出なかった。
なんで?結局振るならなんでOKしたの?
掻き乱すだけ掻き乱して...私は君しかいないのに…
ズタボロになった心は誰も癒すことが出来なかった。
わかった。一人に執着するからダメなんだ。
もう本気の恋愛なんてしない。
復讐する。この腐った世の中に。ズタボロにしてあげる。全員。一匹残らず。
私は心に決めた。もう、恋はしないと。
その後、私は荒れた。
手当り次第男をたぶらかすために、スキンケア用品を揃えて香水を買った。
髪型も変えた。服装もハンカチの色も女の子らしくした。
結局1年で10くらいの人に告白された。まあ、全員上手くいかなかったけど。
上げられてから落とされる感覚。知ってる。物凄く辛いんだ。
時は今に戻る。
たつみ先輩の申し出を受けることにした私は、すぐに返信を送った。
『良いですよ。浮気、しましょうか。』