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幕間3

「では、時間とは何だ」

 と、男は訊いた。

 ふむと頷いて、魔術師は答えた。

「時間もまた波だ。波のように次々と押し寄せて来る。押し寄せ、ぶつかり、消える。ワシ等はただその波に流されることしかできない。不便なモノだがな」

「そう言うお前は何だ」

「ホウンガンだ。波である時間の中を、今という波を乗り換え乗り換え、世界を見て回っている。それ故に、人はワシを波の魔術師と呼ぶ」

「なぜ、そんなことをする」

「見ての通り、ワシは人ではない。人に作られた土人形だ。それ故に、人はワシを岩のホウンガンと呼ぶ。ワシは世界を見て回るように人に作られたが故に、時間の波を越えて旅をしている」

「そうか」と、男は頷いた。

「もうよいか。では、さらばだ」

 魔術師の体が不意に、まるで一枚の紙のように薄くなった。そして細かく千切れ、千切れる端からどこかに滑り込むように消えていった。

 ”残され人”である男は満足して立ち去った。彼を待つ家族の元へと。

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