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3-1(終わりの旅の始まり1)

 三ヶ月が過ぎた。

 その日、アキラはナーナの家の庭に落ちた枯葉を一人で掃き集めていた。太陽は西に傾き始め、夜の訪れを告げる風が彼の足元で冷たく舞っていた。

「おーい」

 集落に続く坂道から声が響く。

 イーダの夫、ダダだった。手には羽根をむしった鳥が三羽ぶら下げられていた。

 アキラは体を起こし、笑顔を浮かべて軽く手を上げた。

 この三ヶ月の間にいろいろあったが、ダダの態度は三ヶ月前とはまるで別人だった。今では、彼はアキラのいい呑み友達である。

 イーダが、ダダの後ろについて登って来る。

「こんばんは、アキラ」

 いつもと変わらない少ししゃがれた声でイーダが言う。

「こんばんは、ダダ、イーダ」

「お嬢は?」

「昨日も徹夜で調べ物をしていたらしくて、朝ご飯は食べたけど、お昼に呼んだ時には書斎で力尽きて倒れてた。だから寝室に運んで、多分、そのままかな」

「ホントにあの子は。いい歳をした娘が、客が来るっていうのにこんな時間まで寝てるなんて。ちょっと、お尻を叩いてくる。2階の寝室ね」

「そう。お手柔らかにね」

 片手を上げてイーダが家に入って行く。しばらくして、

「お嬢!」

 というイーダの声と、

「ひゃんっ!」

 というナーナの悲鳴が2階の寝室辺りで響いた。

「大変だな、ダダも」

 そう言ったアキラに、ダダは太い首を振って見せた。

「オレも、入らせてもらっていいか?」

「もちろん。居間に座っててくれ。これを片付けたらオレも行くよ」

 ダダを見送り、アキラは枯葉をちり取りに掃き入れた。


 アキラがこちらの言葉を覚えたのも、大きな変化だった。言葉を覚えたことでアキラはいろいろなことを知った。

 そのひとつが、この世界の社会が基本的には母系社会だということだ。

 イーダの家族がいい例だった。

 イーダの家族は、イーダを含めて、父親と叔母、兄、妹、それに夫であるダダと、ダダとの間に儲けた2人の男の子の8人。アキラの感覚からすれば、イーダの父親が家長だろうと思うところだが、実際には、18歳のイーダが彼女の家の家長なのである。イーダが15歳の時にイーダの母親が亡くなり、長女だったイーダが家を継いだのだ。ダダは当然のように婿養子だ。

 ナーナについて新しく知ったことで驚かされたのは、彼女が、カナルと呼ばれるこの辺り一帯、小さな川の向こうの一部と裏山のかなりの部分を含めた川のこちら側すべての領主だったことである。イーダの家族の住む土地も、もちろんナーナの所有地だ。元は彼女の師匠の所有だったものを、魔術師の地位と共にナーナが引き継いだのである。

「それでお嬢か」

「そう。お嬢様っぽいでしょ、あの子」

「それはどうかなぁ、家事が苦手なのは確かにお嬢様っぽいけどね」

 ナーナが家事が苦手というのも、新しく知ったことだ。洗い残された食器の山を見た時には、アキラは愕然としたものである。彼女が最初に手際よく食事の用意をしてくれただけに。

 今ではアキラが、この家の家事全般の担当者である。

 不思議だったのは、今までどうしていたのかだ。魔術師だったという死んだ彼女の師匠が家事を担当していたとは、とても思えなかった。そこでイーダに訊くと、イーダは語気を強めて教えてくれた。

「奴隷がいたのよ、この家、あの子の師匠が亡くなるまで。

 そいつがホントに嫌な女でね、領主である魔術師の奴隷だってことを鼻にかけて、わたしらにも高飛車な態度でさ、お嬢にも暴力を振るってたみたい。あの子の師匠はそういうことに無頓着だったから、もうやりたい放題。

 それで、師匠が亡くなってお嬢が新しい主人になったら、復讐されると思ったんだろうね、”売られる権利”を主張したのよ」

「”売られる権利”って?」

「知らない?主人から虐待とか、理不尽な扱いをされた奴隷が自分の身を守るために自分を別の主人に売ってくれって主張できる権利。

 虐待してたのはアイツのくせに」

 未だに許せないのだろう、イーダの声には深い憎しみが込められていた。

「それで、ナーナはどうしたの?」

「アイツの言う通り売ってやったわ。バカだから、余分な手当てまでやって。これで縁が切れるんなら安いもんだって」

「ああ」

 ナーナの気持ちが、アキラには判る気がした。もう、1秒でも顔を合わせたくなかったのだろう。いや、もっと身体の深いところでその奴隷を拒否していたのかも知れない。

「奴隷を追い出してからはわたしもたまに様子を見に来ていたんだけどね、あの子、あんな感じだからさ、2、3日徹夜するのもザラだからすぐに部屋が荒れちゃって。新しい奴隷を買いなよって言っても言葉を濁すだけで。

 よかったよ、アキラがいろいろやってくれるようになって」

 その、アキラがいろいろやるようになったことで大きく変わったのが、ナーナとカナルの住民との関係である。

 ダダがその代表だが、今ではナーナはカナルの住民にすっかり受け入れられていた。

 ナーナがカナルの住民に受け入れられなかった最大の理由は、やはり彼女に名がないことにあった。カナルの住民は住民で、彼女にどう接すればいいか判らなかったのだ。神々に祝福も呪いもされなかった名のない少女、しかも、自分たちの領主である魔術師の養いっ子をどう扱えばいいのか。

 名さえ呼べないというのに、どうコミュニケーションを取れと言うのか。

 しかも両者の間には、高飛車な奴隷女がいたのである。

 それが、領主になって奴隷女を追い出しただけでなく、仮にも名を得て、一般人よろしく男を引っ張り込んだのである。「なにそれ」とナーナは怒ったが、どうやらそれが彼女が住民に受け入れられた大きな理由のひとつのようだった。母系社会で、成人した娘(こちらでは、14歳から成人だった)が普通の人と同じように婿を(ちょっと変わった婿だったが)迎えた、と捉えられたのである。

 なんだ、わたしらと変わらないじゃないか、と。

「婿だったのか、オレ」

 とアキラは言ったものの、住民との集まりに彼は積極的に参加していた。それがまた、ナーナと住民の関係を好転させていた。

「でもさ、アキラが来てからあの子、明るくなったよ。前はあんなに笑う子じゃなかったのにさ」

 アキラと住民の間に立ってくれたイーダは、明るい声でそう言った。それもまた、ナーナと住民の関係を好転させた一因であることは間違いないところだった。


 ほうきとちり取りを片付けて居間に入ると、ナーナがひとりで居間に座っていた。

「イーダにぶたれた」

 アキラを上目遣いに見て文句を言う。寝起きということもあってご機嫌斜めだ。

 それを笑って聞き流し、アキラは

「ダダとイーダは?」

 と訊いた。

「台所。今日はわたしたちの送別会だから、主賓は座ってろって。あんたは邪魔だって言われた」

「ちょっと見てくるよ」

 むくれる彼女の頭をポンポンと叩いてアキラは台所を覗きに行った。


「ラクドに行きたいの」

 ナーナがそう言い出したのは一ヶ月ほど前である。

「いいけど、どこにあるの、そこ」

 朝食を並べながら、アキラは訊いた。ナーナはまた徹夜だったらしく、髪もボサボサで懸命に欠伸を噛み殺していた。

「旧大陸」

「えーと」

 手を止めてしばらくアキラは考えた。

「オレらがいるここは、確か新大陸だったよね」

「うん」

「どれぐらいかかるの、そこまで」

「うーん、帰ってくるまで、半年か1年ぐらいかなぁ」

 という訳で、ラクドに行くことが本決まりとなり、今日4人でささやかな送別会を開くことになったのである。


「いいから、その、ラクドに行く理由ってヤツをさ、お姉さんにも判るように、きっちり説明しな、もう一度」

 額をぶつけんばかりにナーナに詰め寄ってそう言ったのは、イーダである。

 手には、米から作った醸造酒--日本酒と表現するのが一番近いだろう--の入ったコップが握られ、怖いぐらいに目が据わっていた。

 そのイーダを横目に日本酒を舐めながら、アキラは、これハクの市場で売れるんじゃないかと考えていた。領地の住民が農閑期に趣味で作っている酒だったが、趣味の域をはるかに超えるおいしさだった。

 テーブルに置かれた鳥鍋はほとんど空になり、送別会も終わりが近づいていた。

 空のジョッキと空っぽの樽が並べられ、つまみを入れていた皿が食べつくされて積み上がり、ワインを入れていた空っぽの革袋が幾つも投げ出されていた。

「もっと持ってこーい」と女性陣二人に言われて、アキラが取り出してきたのが、もらったばかりのこの日本酒だったのである。

「だからね」

 コップ酒を固く握って応えたナーナもほとんど酩酊状態である。

 アキラとダダは同い年で19歳、イーダがひとつ下の18歳。ナーナはまだ、成人したての14歳でしかない。

『いろいろ問題があるなぁ』

 と思わないでもないアキラだったが、郷に入っては郷に従えである。

「月がないの、こっちわぁ」

「月って何よぉ」

 二人とも呂律がかなり怪しい。

「地球の(この星という意味だ)兄弟星でね、だいたい29日周期で地球の周りを回っていたの。それがないの」

「それがどうしたぁ」

「だからね、暦には、月があった影響が残っているの。一ヶ月という言い方もそうだし、一ヶ月って、だいたい30日でしょう?これって、こっちにもアキラの世界と同じように月があったってことじゃないかって。

 アキラにそれを言われてね、気になって調べてみたら、やっぱりあったの月が」

「さっき、ないって言ったじゃないか。君はお姉さんにウソついたのか。ウソつきは、こうだぞ」

 ふらふらしながらイーダがナーナを叩くフリをする。

「だから、今はないの。でも、大災厄の前まではこっちにも月があったみたいなの!」

「大災厄ぅ、なんじゃあ、そりゃあ」

 かなりガラが悪くなっている。

「なにと言われると、わたしもよくは判んないよ」

「判んないぃぃ?そんな判んないよーうな理由で、あんたはわたしを置いて、1年も旅に出るって言うのか」

「で、なんだっけ」

 意外と冷静な声で訊いたのはダダだ。彼はいつも口数が少なかった。大災厄ってなんだっけということだろうと察して、アキラが答えた。

「オレもナーナから聞いただけだからよく知らないけど、と言うか、そもそも被害が大きすぎてよく判ってないって事らしいけど、1200年ほど前に当時の人口が5分の1まで減ったっていう災害だろう?」

「ああ」

「それまでの記録もほとんど失われて、当時も相当な混乱状態だったから大災厄自体の記録もほとんど残ってないって、ナーナは言ってたな。原因も不明だって」

「そう!」

 ナーナがぴしりとアキラを指さす。しかし、その指先も体も、頼りなく左右にゆらゆらと揺れていた。

「原因はまったく判らないけど、当時の文明が一度、滅んじゃったの。大地震や大洪水が起こったっていう記述は残っているけど、そもそもの原因がまったく判らない。神々と、名を口にするのも憚られる御方たちとの間で戦いが起こったって説もあるし、神々の間で諍いが起こったっていう説もある。

 それで、世界を滅ぼしかけたって。

 実際、数少ない大災厄以前の書物を読むと、大災厄以前には名を口にするのも憚られる御方たちが今よりももっと姿を現していたんじゃないかと推測できるし、神々にしても同じ。大災厄以前には神々はもっと身近な存在だったんじゃないかって。

 それが、大災厄以後には姿を現すことがめっきり減って、大災厄の際に神々の間に何かあったんじゃないか、と言われているの」

「それがどう繋がるんだ?」

 短くダダが訊ねる。

 イーダはすでにテーブルに突っ伏して気持ちよく潰れていた。

「だからね、大災厄以前には月があったの。大災厄以前の書物に、月について記述している書物があって、それをアキラに見てもらったら、多分同じだって」

「文字はまだよく読めないから、判ったのは挿絵だけだったけど」

 クレーターが細かく描かれた絵を見せられたのだ。その書物には月までの距離も記述されており、ナーナによると約38万キロ。まったくアキラの世界と同じだった。

「で、今は散逸しちゃってる大災厄当時の日記にね、月を消したのはひと振りの黒い剣だったって記述があったらしい、という、えーと、また聞きの、そのまた聞きが記述された書物を、ようやく見つけたの。

 その剣というのが、ひょっとしたらアキラがこっちに来るときに見た黒い剣じゃないかって」

「ズイブン怪しい話だな」

「うん、オレもそう思う」

 日本酒を口に運びながらアキラが同意する。

「けど、ほとんど手がかりがない状態だから。藁にも縋る気持ちで」

「そこ、藁とは何だ!」

「あ、ゴメンナサイ」

「で、やっぱりなんで、ラクド?」

「その大災厄の時に失われた文明の中心が、ラクドだからって。ナーナが」

「そう!」

 ナーナが高らかに叫ぶ。

「失われた文明の中心地が、デア。そのデアが、今のラクドなんじゃないかって。死んだ師匠が当たりをつけてたの」

「デアって、この国の首都だろ?」

「それはね、ダダ兄さん。この国を建国した時に古の魔法帝国にちなんで名前をつけただけなの。1200年前の大災厄で滅んだ魔法帝国の首都が、デア。デアは旧大陸と新大陸のほとんどを支配下に置いていたので、デアと同じぐらい栄えるようにって願いを込めて。

 で、元々のデアがどこにあったかはまだ定説はないんだけど、いろんな書物からラクドがそうなんじゃないかって師匠は考えていたの。

 わたしも師匠の説に賛成してる」

「なるほどな」とダダが頷く。「でも、やっぱり1年もかけて行くって割には理由として弱くないか?」

「とにかく手掛かりがないからね。とりあえずできることをしたいってことさ。それともうひとつ、ラクドに行く理由があるんだ」

「なんだ?」

「闇の司祭に会いたいって」

「なんだ、そいつ?」

「闇の司祭ウィストナッシュ」

 両手で握ったコップに視線を落とし、長く息を吐くようにナーナが答える。

「デアにはね、もちろん旧デアだけど、デアの4大魔導士と呼ばれる魔術師がいるの。

 筆頭が、赤い魔眼の魔術師、永遠なる者、神殺しとも呼ばれる偉大なるマスタイニスカ。

 次が、さっき言った闇の司祭ウィストナッシュ。

 それと、千の妖魔の女王にして既に死せる者シャッカタカー。

 最後が、波の魔術師、岩のホウンガン。

 4人とも伝説みたいなもので、今も生きているかどうか、そもそもホントにいたのかどうかも定かじゃないんだけどね。旧デアの魔導士ってことは1200年以上も生きているってことだから。

 でも、闇の司祭と呼ばれる魔術師がラクドの王宮の奥にいることは確かなの。それで、もしお会いできれば何か教えていただけるんじゃないかなって」

「ふーん。それにしてもズイブン大げさな呼び名だな」

「うん、オレもね、いろいろ、いろんなところに問題があるんじゃないかと思うよ。著作権的に」

「なんだ、著作権て」

「ダダ兄さん、アキラはたまに意味不明なことを言うから気にしちゃダメ」

 さすがにナーナはそういうのにも慣れて来ていた。

「まあ、会えるかどうかは判らないんだけどね」とナーナ。

「賢者に助言を求めるのは定番だからな」とアキラ。

「なるほどな。で、出発はいつだ」

「5日後ぐらいになると思う。まずは、デア、この国の首都だな、デアへ行って、途中通過する予定の国々のビザやらなんやら準備するから、そこで一ヶ月ぐらい滞在する予定にしているよ。

 まさか、冒険の旅に出るのにビザがいるとは思わなかったけど」

「5日後か、もうあまり日がないな。寂しくなるけど、まあ体に気をつけて行って来い」

 手にした日本酒をぐいっとひと飲みにして、ダダが立ち上がる。

「くれぐれも、世界をもう一度滅ぼしたりしないようにな」

「ああ、気をつけるよ」

 アキラは笑って応えた。

「そろそろ帰るよ」

 起きる気配のないイーダを軽々と背負い、夜道を照らすランプを片手に「またな」と言ってダダは帰って行った。

「世界をもう一度滅ぼさないように、か」

 ダダの手にしたランプの灯りが次第に遠ざかっていくのを見送りながら、アキラは小さく呟いた。

 微かな不安が、胸の奥で不快にざわついていた。

 もし、ナーナの言う通り、月を消したのがオレの見た黒い剣であるならば。神々が彼女を祝福しなかった理由というのは、オレたちが世界を滅ぼしてしまうからじゃないのか--。

『だけど』と、扉を閉じながら、己に言い聞かせるように思う。

『神々は、ナーナを祝福しなかっただけじゃない。呪いもしなかったんだ。それはいったい、どう考えればいいんだろう……』

「あきらぁ」

 ナーナがアキラを弱々しく呼んだ。

「なに?」

「お水が欲しいよぉ」

「はいはい」

 水を入れたコップを台所から持って来て、アキラはナーナに渡した。うーと唸りながらコップを受け取り、ナーナがごくごくと喉を鳴らして飲み干す。

「ありがとう」

 ため息交じりに礼を言って、ナーナがコップを差し出す。

「どういたしまして」

 コップを受け取ったアキラを、ナーナがもう一度、呼んだ。

「ねえ、アキラ」

「うん?」

「本当に良かったの?一緒にラクドに……その、行ってもらって」

「ああ」

 アキラは、ナーナの隣の椅子に座り、テーブルに突っ伏した彼女の顔を覗き込んだ。

「それはもう、話しただろう?」

「うん、そうなんだけどね……」

 くぐもった声でナーナが言う。

「もし、こっちとアキラの世界を繋ぐ出入り口のようなものがここにあるんだとしたら……、アキラはここにいた方がいいんじゃないかなって……」

「もし、そうだとしても、こういう場合はやるべきことをやらないと元の世界に帰れないっていうのがお決まりだから。一緒に行くのが一番いいんだよ」

「うん……」

「ナーナ」

「うん?」

「オレは、ずっと君を見つめているんだぜ」

 妙に気取った言い回しに、ナーナは顔を上げて、訝し気にアキラを見た。

「byリチャード・ブレイン。**歌劇団、カサブランカより」

 ぷっとナーナが笑う。

「なにそれ」

「元気を出してってことだよ。イーダと別れるのが辛いのは判るけどね、オレはずっと一緒にいるから」

「う」

 図星だ。

「さあ、今日はもうおやすみ。ここはオレが片づけておくから。まだ、旅の準備、できてないだろう?」

「うう」

 子供扱いされて不満だったが、言われる通りだったのでナーナはしぶしぶ立ち上がった。「おやすみ、ナーナ」とアキラが声をかけたが、返事をするのも悔しかったので、彼女は口中でもごもご言っただけで2階の寝室へと姿を消した。

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