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重機日記  作者: 忍の里
2/6

土禁と崩落

目が覚めると 雨が降っていた


今日から本番だ 敵が来る


実戦で雨とは… 不安だ


そんな事を考えながら出勤した

別に敵が来る事も無いし 就職してから初めての雨降りなだけなのだ


作業開始のチャイムが鳴るまで オペレーターは

コーヒータイム 実に優雅だ


「アラートだ!」

「全員 出撃~!」

「ラジャー!」


こんなノリの会社って他にもあるのだろうか?

こんなノリで大丈夫なのだろうか?

少し心配になるが 彼は気にしない


愛機の所まで 足元は悪い

泥まみれだ

そのまま 愛機に飛び乗る

汚れる

そして考えた

「土禁にしよう」


愛機は 古い、当然エアコンなど付いていない

雨が降る、フロントガラスは曇る…

「何回拭いたら いいんだよ」

最後には フロントガラスを上げた


当然 雨が吹き込んでくる

そして フロントガラスを下げる

「イラつく~」


操縦の不慣れから来るストレスと

フロントガラスの曇るストレスとで

かなり イラついているようだ


そんな雨降りの作業を終え 愛機を倉庫にピットイン

操縦席を丸洗いし始めた

長年蓄えられた 泥やホコリ

窓ガラスのヤニまで 綺麗さっぱり


ゴミも捨てて スッキリした感じになった

そのおかげで 送風機が動き出した


「あれ?これって こんなに風送ってたっけ?」


整備担当が言うには 余計なゴミや泥 ホコリがなければ 結構役目は果すらしい


ドライヤーで乾燥させて 土禁使用に


「よし、いい感じ」


この会社で 初の土禁使用重機 誕生である


翌日から 彼の愛機に乗るオペレーターは

いなくなったとか


「身体が熱い」


風邪をひいたらしい

フロントガラスの明け閉めや 何やらで雨に濡れたまま掃除をしていたから 当然の結果


そして 復帰して愛機乗る

土まみれになってる


「おぅ、休んでる間 乗ったぞ」


工場長が土足で乗ったらしい


「えぇ~」


俺の愛機を汚すなんて また掃除しなきゃ


そして また雨が降ってきた


「今度は マシだろ」


送風機と 同時に扇風機もフル稼働

フロントガラスの曇りは 少し改善されていた


「これで僕は 戦える」


何とだ? 岩盤相手に殺気をむき出しにして

マシンを操る

ふと 上の方から


「爆弾か?」


違う、落石だ

しかし パラパラと 数も多いし 少し大きいのが


「何だろ? 少し下がっとくか」


ガタガタガタ~


「おぃ、どうした?」

「あっ、工場長!上の方から やたら石が落ちてくるもんで」


「あぁ~ん」

岩盤を見る工場長 パキっ パキっ


「おぃ、下がれ 崩れるぞ」


アクセル全開で 退却

必死で逃げるが 愛機はアタッチメントが重過ぎて

思い通りに動かない


工場長は とっくに逃げていない

岩盤は パキっ パキっ っと音を出してる

パキパキパキ… パキパキパキ…


音が変わってきた ヤバイ

直感でそう思った もっと遠くへ 遠くへ

次の瞬間… ズドォ~ん

ガラガラガラ~


岩盤が一気に崩れてきた

「ヤバイ ガードしなきゃ」


走行レバーを足で踏んで 逃げながら旋回する

腕やアタッチメントが盾になるように構える

細かい石が飛んで来た!

ガラスにも当たる アタッチメントや腕には

岩石が当たる


ヤバイ ちびりそうだ

岩盤の足元が抜ける

その上には5m角位の岩がある


「あれが来たら 俺ヤバイよなぁ」


落ちて来た 一直線に

必死で逃げるが 追いかけて来る


「おぉ~」


ガードをやめて 腕を伸ばす


「撃ったらぁぁぁ~」


止まった


「助かった」


雨で岩盤が揺るんで 崩れたみたいだ

他のオペレーターも 似た経験があったらしいが

最後の一撃で もうダメかと思ったらしい


「俺も もうダメかと思いましたよ」


ジ〇でジオン〇相手に戦った気分だ

機体のダメージは大きかった

油圧シリンダーには傷が入り、ボディーはボコボコ


「これが 戦争!」


違います! 崩落事故寸前なだけ

でも 機体は一応修理と点検する為

倉庫にピットイン しばらくは違う機体を使う事になるらしい


「違う機体って 何だろ?」


「積み込み用の新型や、明日には届くから」


返り際 倉庫に顔を出す


「すみません、どうですか?」


「あぁ、結構いってるね!油圧シリンダーにホース、後 ボディーの凹み気になる?」


「そうですね、出来ればボディーは綺麗な方が…」


「分かった、出来るだけ早く修理するから」


「よろしくお願いします」


愛機が守ってくれたおかげで 俺は無傷だが

俺の愛機は 倉庫で見た時には ボロボロだった

早くても1ヶ月は入院らしい


翌日 出勤して倉庫に行く

油圧シリンダーは外され ホースも外され

見た目 廃車になるような印象を受けた


コーヒータイム中 珍しく何も言わない俺に

周りは気を使っているみたいだった

すると 1台のトレーラーが入って来た

事務所の前で停まった


「おぅ、おはよー」


「あれ?工場長、このトレーラーって?」


「お前の新型積んできた、見てこい」


俺は 上履きのまま外に出た


「えぇ~、デカイ」


「どぉや、気に入ったか?」


そのまま しばらく新しい相棒を見つめていた



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