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碧巨人ヴィレ  作者: 漣職槍人
神様、仏様、天使、妖怪、魔法使い、宇宙人、超能力者・・・・・
16/41

2-7.防戦一方

(・_・;)あれ?この量だと9月中に終わらない?

(´・ω・)大丈夫。きっと字数増分だけ読み応えが・・・・・

(・_・;)つまり『都合のいいことなんてない』

(´・ω・)まさか前話の表題にそんな意味が!

んなわけあるか~い!(o゜Д゜)=◯)`3゜)


(`・ω・´)第二章まだまだ続くよ!

 合体した碧巨人の姿形が脳裏に映る。碧の体にシルバーと蒼、赤の筋。角張った細長い五角形のゴーグルのような黄色い二つの目に光が灯る。頭には尖がりが三つ。中央は小さめで左右の尖がりはミミズクの羽角のような形でWの文字を描く。

 巷で噂の碧巨人ヴィレが隣市の廃墟の上に立っていた。

 急に現れた碧巨人に巨人を見上げる人々が驚きの声を上げる。

 やがて空を見上げる巨人の視線の先にあるものに気がつくと誰かが叫んだ。

 怪獣が来る。脳裏を過ぎるのは五日前の夜の出来事。

 その言葉を皮切りに恐怖が伝染していった。

 周辺の街や市で鳴るサイレン。市民への避難勧告が出されて政府による迅速な避難誘導が開始された。五日前のことを教訓した迅速な対処に日本政府の優秀さが伺える。

 頭に流れ込んでくる情報。ヴィレが捕らえていた敵を知覚させた。

空気層を突き進み。空気との摩擦熱で炎をまとった隕石が向かってくる。上を見上げれば赤い光点が目に入った。速度が速い。急激に大きくなっていく。

 体が無意識に両手を持ち上げて構えを取る。

 受け止めきれるか?バカな思考は捨てろよ貫志。受ける以外に道はないぜ!

 壁面のバリアを張ってもバリアを支える腕に負荷がかかるだけだ。ここは体全体で抱きとめて全身のバネを使い力を分散相殺することを提案する。

 それでこの体は持つのか?

 炎と衝撃は体に合わせて全身を覆う薄膜バリアを形成して保護する。

 それだと弱い。ヴィレ。接触箇所の前面部だけに薄膜バリアを集中することで少しでも暑さを増すことはできないか?

 可能だ。ただ貫志の案では炎の熱によるダメージを分散しきれない。背面にダメージを追うことになる。その分の消耗は避けられない。

 なら簡単だ。心で負けなきゃいいだけだぜ。絶対に止めてやるよ!

 恵那の頼もしくも強い思いが体の中を駆け巡った。

 二人とも来るぞ。

 炎をまとった隕石を受け止める。周囲に衝撃波が広がる風圧を感じた。

 うあああああああああああああああああああああああ!

 気合を入れるように。心を搾り出すように恵那の叫びが体内を駆け巡る。貫志はその中で隕石の力を殺すイメージをすることに集中する。

 細かい粒子。それらをつなぐ網目状の格子にボールが収まるイメージ。細かい粒子間の距離が等間隔に広がって伸びていくとともにボールの力が弱める。

 まだ?まだか。受け止める隕石から力が消えるのを待つ。

 隕石の力が消えるまでの時間が長く感じる。まるで時が止まっているようだ。

 やがて隕石の制動を感じた瞬間、今度は隕石が垂直に重力に引かれる重みが腕にかかった。

思わず手を離すと隕石が地面へと落下した。

 ズ~ンと重く響く音と振動が足元から来る。

 た・・・耐え切ってやったぜ・・・・・

 疲労を現すようにかすれた恵那の声が木霊して恵那が意識を失った。

 ・・・・・ヴィレ

 わかっている。恵那の意識が消失した。だが合体が解けたわけじゃない。かろうじてまだわれわれとともにいる。

 でも意識が戻らなきゃ。

 ああ。いずれ合体は解ける。

 そして僕ら二人だけじゃ。あいつは倒せない。

 目前の隕石を睨むとその巨石が動いた。楕円形の巨体が地面から浮き上がる。巨体から短い足が出ていた。側面体表にコの字型の亀裂が入ったかと思うと両手が飛び出し、体の半分を割る亀裂が開くと牙と赤い口内が姿を現す。

 敵の正体がわかった。ヴィレの言葉とともに情報が流れてくる。

彗星怪獣ガイスト。彗星と呼ばれるゆえんは地球でいうところのハレー彗星を追いかけ続けることからきている。追いかける理由は不明。大気圏突入をこなすほどの強固な鉱物で覆われた体を持つ防御重視の怪獣だ。

 前回のクプラでさえ僕とヴィレでは火力不足で倒せなかったっていうのに。

 ただ単純に防御力を上げただけでわれわれには十分脅威。前回の戦いをアニール星人も見て分析したはずだ。それでも彼らの目にわれわれは脅威として映らなかったのだろうな。

 ヴィレの知識からもっと危ない怪獣の情報が流れ込む。これよりさらに強いやつがいると思うと億劫になる。でも今だけは目の前のこいつに集中しよう。

 少しだけ距離を置いて両腕を上げて構える。

「グアアアアアアアア」

 ガイストが咆哮を上げる。

 気づいたときにはガイストが目の前にした。

 予想以上に動きが早い。体当たりを受け止める。

 それでも先ほどの大気圏突入ほどの威力はない。なら。

ガイストの力を受け流して方向を変える。回転させて地面へと投げた。

 幸いにもガイストの落下地点は前回の戦いで廃墟となった町だった。この程度の範囲であれば足元への損害も気にしなくてすむ。

 よしチャンスだ。

 左手で右肘から小指の先までをこする。生まれた光の筋を腕を横向きにしてガイストに向ける。発射台となる右腕を支えるように左手を右手首に添えた。

 マイネン光線がガイストに放たれる。

 しかしマイネン光線が当たっているにもかかわらず、ガイストにダメージは見られない。ガイストは起き上がるとゆっくりとこちらを睨む。マイネン光線はまったく効いていなかった。

 それなら。マイネン光線を打ち切り。今度は拳にマイネン光線を纏う。光線+打撃。

「ガアアアアアア」

 咆哮ブレス。吐き出された息吹の突風に体が押されて後退する。

 貫志恐れるな。やつにクプラのプラズマブレスのようなブレス攻撃はない。

 でも防御力が高すぎる。光線も打撃も効かない。僕には恵那のような一瞬の爆発力もない。

 恵那が目覚めるまで持ちこたえるんだ。われわれに残された道はそれだけだ。なに。恵那が目覚めればどうにかなるさ。なぜならわれわれは三人で一人のヒーローなのだから。

 咆哮とともに風圧が消えると僕らは前へ出る。

 他だけでだめなら足もだ。足にもマイネン光線を纏い両手両足で殴る蹴るの殴打を繰り返す。恵那が目覚めるまで少しでも少しでもこいつにダメージを与えるんだ。

 ガイストは動かない。攻撃はまったく効いていない。

 体を振り回し、僕らを跳ね除けると再び体当たりをかましてくる。

 僕らはそれをうまく受け流して再びガイストをひっくり返す。そしてまた殴打を繰り返し、と同じことが数回続いた。

 やがて互いに決定打がない膠着状態にガイストが今までにない動きを見せる。

 体当たりをしてくるかと思ったら空を見上げた。

 何をする気だ?

 いけない。やつを抑えるんだ。

 ヴィレが叫んだときには遅かった。ガイストが跳躍して空高く飛び上がる。追いかけようかと思ったがヴィレに止められた。伝えられる情報に驚愕する。ガイストは地球に体当たりをしようとしていた。最初の体験突入ほどの威力はないものの何度も続ければ日本を沈没させることができる。僕らには受け止める以外の選択肢がなかった。

 重力加速を追加しての全体重を乗せた体当たり。

 力を別の方向に変えることはできる。でもそれだと周囲の町へ殺しきれない勢いのままガイストを投げ込むことになる。

 最初のときと同じ。体をバネにして力を分散して受け止めるしかない。

 一度目を受け止める。

 恐ろしいほどに集中力が必要だった。精神的な消耗が激しい。受けきると同時に全身から力が抜けてガイストを地面に落とす。ガイストはこちらを一瞥すると再び空へと跳躍する。

 あと何度受け止められるだろうか?

 恵那はまだ目覚めない。


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