黒
黒色。
それは全ての色を塗り潰すことができる色。
全てを、その色で染めてしまえる。
まるで紙は、私たちの人生。
最初は真っ白で、何も描かれていない。
その紙に、幸せな事。
黄色
淡い恋心。
桃色
悲しい事。
青
醜い憎悪。
紫
その色たちを、塗っていく。
今まで描いてきた色の全部を塗れる色。
それが黒。
塗りつぶしてしまえば、もう元には戻らない。
楽しかった黄色や桃色は、もう見えない。
黒に埋まって、何も見えない。
黒色は、何かを消せる色じゃない。
ただ、上から塗りつぶせるだけの色。
黒く染まった人生を、元に戻すことなんて出来ない。
「だから、白を塗るんだ」
その白色は、黒くなった紙を白く染めていく。
白と黒が混ざり合って、少しづつ。
ほんの少しづつ、白くなっていく。
白は、黒を塗り潰すことは出来ない。
いくら頑張っても、黒く染めてしまった人生を、完全に白くすることは出来ない。
それが貴方の罪。
上から塗った白と混じり合って、灰色になっている。
決して消えることのない黒。
その黒を背負いながら、また黄色を上に描いていく。
罪を背負って、またやり直せる。
最初からじゃなくても、今からでも。
貴方の人生に、白を塗る事が出来る。