勇気。
---Side 蒼華
「んっしょ、んっしょ・・・ふぅ~、やっと準備ができたよ。」
なに?
頭がクラクラする。
私どうしたんだっけ?
「んんっ」
「ん?・・ふぅ、やっと起きてくれましたか。」
目の前に見知らぬ男。
鼻息が荒く、髪の毛ボサボサで、丸々と太った気持ち悪い男が目の前にいた。
「・・・あんた誰?」
私はその気持ち悪い男に質問しながら辺りを見回した。
そこは薄暗い、もう使われていないような工場か倉庫かなにかの中だった。
もう外は暗くなってきており、明かりは周りにいくつか配置されているスタンドライトのみで、あまり周りの状況は詳しくは分からなかった。
そして私はどうやら、その中に置かれているマットのようなものの上に寝かされているようだった。
「んふふ~~。やっぱり寝ている姿も可愛いけど、起きてる方がもっとかわいいよぉ~~。」
鼻息を荒くしながら、生理的な嫌悪を覚える野太い声でしゃべりかけてくるブ男。
「ちょっと、あんた誰よ!それにここどこ!」
私は身動きをとろうとしたが・・・・
「いたっ」
動けなかった。
どうやら私の体は縄のようなもので両手足を縛られているようだった。
動いた拍子に縄がこすれ、痛みが走る。
「ああ、あんまり動かない方がいいよ~。せっかくの綺麗な肌が傷ついちゃうからねぇ~。ぶへへっ。」
気持ち悪い。
なんなんのよ。こいつ。
こんな気持ち悪い人間がこの世にいるの?
「なんなのよ!早くこれ解きなさいよ!」
私は声を張り上げて言った。
「君がおとなしくしてくれるっていうなら、そうしてやってもいいけど。・・・やっぱり抵抗する子を無理やり縛って愛でるのが僕のポリシーなんだよねぇ。ぶふっ。」
「なっ・・なんなのよぉ。」
最初は状況に頭が追いつかず、強気でいられた声がだんだんと現状の空気に呑まれ涙声になってきた。
「無駄だよ。ここは今はもう使われていない、町外れの廃れた倉庫の中。いくら叫んだところでこの辺りには人っ子一人いないからねぇ。ぶひゃひゃっ。」
その男はつばを撒き散らしながら、気持ち悪い笑い声を上げる。
「ひっ・・・なっ、なにするつもり?」
「んん?・・・もうそんなに怯えないでよぉ。ぶへっ。大丈夫、今まで経験したこともない“気持ちいい”こと、してあげるからねぇ~。ぶひゃひゃっ。」
その男が何をしてくるのかは分からなかった。
しかし、きっともう2度と人前に出られないようになるような、ひどく嫌で気持ち悪くて、最悪なことをされると本能で悟った。
「いや・・・来ないで!」
私は少しでも、その男から離れようと両腕と両足を動かし、這いながらその男から離れようした。
「ぶひひ。いいねぇ。そんなに抵抗されたら、ぼくちん・・・・興奮しちゃうじゃないかぁ。」
その男はいつの間にか手にしていたビデオカメラを構えながらこちらへと近づいていた。
「いや・・・やめて、来ないで!・・・助けて。誰か・・・誰か助けて!!」
私は精一杯の声を張り上げて助けを求めた。
「ほぉら、お兄さんがす~ぐに助けてあげるからねぇ~。ぶひゃひゃひゃっ!」
「・・・なっ、なにがお兄さんよ!このブタ男!気持ち悪いのよ!!」
「・・・・プチッ」
「・・・・え?」
何か音がしたような気がした。
すると・・・
「・・・誰が・・・・誰がブタじゃごらぁああああああああああああ!!」
「ひっ!?」
今までじわりじわりと、気持ち悪い笑みを浮かべながら迫ってきた男が急に豹変したように叫びだした。
「ぶへへへっ!もう焦らすのはおわりじゃ!・・・一気にひん剥いて、秒速で僕のモノを最奥までねじ込んでやるぅうううううううう!!ぶひゃひぇひぇ!!」
その男は一気に私に迫ってきて、私のスカートをつかんできた。
「やめて!助けて!!」
「ほぉら、かっこいいお兄さんが助けてあげますよぉお~!」
やめて、怖い、気持ち悪い・・・助けて誰か・・・パパ、ママ・・・・・
「助けて・・・」
「空朱ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「やめろーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」