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最終話 神様がミスした瞬間に

ユウ「『神様がミスした瞬間に』も終わりだな。結構長くやってた気がするが」


アクア「でも最後らへんは更新速度激落ちしてたけどね」


セシル「まぁ、忙しいんだろうよ」


レイン「ここで喋るのも最後か……感慨深いな」


ルナ「でも、番外編書くかもしれないらしいですよ?」


ユウ「まじか……。初めて知ったぞ」


ルナ「あとがきで何か発表するかもしれませんよ~」

「さてここは一体どこなんだ? 教えてくれ」


窓からオレンジ色の光が差し込んでくる。

外を見ると、綺麗な夕焼け空が広がっていた。

2人もだいぶ落ち着いただろうということで話を切り出した。


「ここは“北ブロック警護隊所本部”よ。警護隊の人達が私達をルペッタ遺跡からここまで運んでくれたのよ」


「そうか……。後で礼を言わなきゃな」


また迷惑をかけてしまった……。

やっぱまだまだだな、俺は。


「レイン達はどこに行ったの?」


「それが分からないんだよ。行き先言わずに格好つけて行きやがったからさぁーー」


何が“当たり前だ、バカ”だよ。


レインのほうが馬鹿に決まってんだろ‼



「やぁ、目が覚めたんだって?」

「ハーデス隊長? なんでここにいるんですか?」

「たまたま別の任務でこっちにきていてね。心配だから見にきたんだよ。体はもう大丈夫かい?」

「あっ、はい。大丈夫です」

「ならここをでて右に進んで突き当たりの部屋にいってみなよ。総隊長がまっているよ」

「総隊長が、ですか……」


これは何か重大な事がありそうだな。

体も完全に治ったことだし、行ってみるか。


「分かりました。すぐ向かいます」

「私もついていくわ」

「同じくですぅ~~」


俺達はハーデス隊長に軽く会釈をして部屋を後にした。



「きたか……ユウマよ」

「遅ぇっての」

「まちくたびれたよ……」


そこには総隊長の姿だけでなく、レインとセシルの姿もあった。


「うるせぇ、どこにいったか言わなかったから分からかったんだよ‼」


「それもそうか……。まっ、俺たちの話はこれくらいでいいか。ハルサメ総隊長どうぞ」


ゴホンと咳払いをしてハルサメ総隊長は話し始めた。


「ユウマ、お前さんは異世界から来たんじゃったよな」


「はい、そうですけど……」


俺以外のみんなが悲しそうな顔をする。

どうしたんだ……?


「単刀直入に言おう。ユウマ、異世界へと通じる扉が見つかった」


「っ!!」


「場所は……【中央ブロック ヒストン学園 地下室】じゃ」


「ヒストン学園⁉ 確か調べたって言いましたよね⁉」

俺の周りを色々と調べたって言ってたけど……。


「いやーー実は地下室があったことを知らなかったんでな。めんごめんごーー」


このクソジジイ……‼

軽い感じがムカつくぜ……‼


「とりあえずヒストン学園に向かおう」

「そうだな」


「いや、今日はもう遅い。明日の朝にここを出ればいいじゃろ」


確かに外を見ると、薄暗くなっていた。

こりゃ着くのは、夜になっちまうからいい判断か……。



「……分かった。行くのは明日にしよう」


「「やったぁぁーーーー‼‼」」


やけにあいつら喜んでるけど、なにかあったけ?


……いや、とぼけるのはもう止めよう。

なぜあいつらがあんなに喜んでるかって?

だって今日で最後の夜になるかもしれないのだから……。


◆ ◆ ◆



「……ユウマ起きてる?」

コンコンと童話の狐の鳴き声のようになるドア。

あいつらが俺を呼んでいる。


「……ああ、起きてるよ。みんな(・・・)入ってこいよ」


「……入るわよ」

「……失礼するよ」


我らがチーム『オリエット』のメンバーが入ってきた。

そのまま流れるように部屋のソファーへと腰掛けた。


「俺達がいるってことよく分かったな」

「まぁな。俺が……俺がお前らの立場ならきっとそうしただろうから」

やばい、涙が出そうだ。


「やっぱり元の世界に帰るの……?」

「そうだな。やっぱり俺は一度戻らなければ、いけない」

「一度、ね……」

また戻ってこれたら、いいがな。


「でも見つかった扉を使えば、自由に行き来できるんじゃ……‼」


「いや、それは無理なんだ。あの扉は異世界から来た者のみに適用される“完全一方通行”の扉らしいからな。だから俺が日本に戻ったらそれで終わりなんだ」


「ようするに他の手段がいるってことね……」


「そういうこった」


アクアもルナも悲しそうな顔をしている。

まるで恋人と離れ離れになってしまった時のように。

そんなに心配なのか……?


「まっ、ユウがそこまで固い決心をしているんだ。俺達はそれを笑って受け入れようぜ‼」


「レインの言うとおりだね。こんなしみじみとした感じ、僕達らしくないもの」


俺の心に月明かりが差し込んだ。


「みんな……(ガシッ‼)」

「っ‼」

「おっと」

「ユッ、ユウ君⁉」

「ユッ、ユウマ……」


俺は我慢することが出来ずに、みんなを抱きしめた。

この時の温もりは、どんな暖房器具よりも温かった……。



【ヒストン学園】


「行くのかユウマよ」

「あぁ、世話になったな」

「敬語を使え‼」

「あたっ⁉」


ディオ先生のげんこつは相変わらず痛いぜ‼


ここには今まで出会った皆が見送りに来てくれている。

勿論EOWDのメンバー以外だけどな。


「ユウマ、門を開く準備は整ったぞ」


これが本当に最後になるのか。

この世界にくるのも……。


「ユウマ……これ皆で書いたの」

「受け取ってくれ‼ 姉御とルーの愛のメッセー……痛い‼ 痛い‼ 痛い‼」

「ユウ君、ちゃんと私達のこと覚えていて下さいね……?」

「絶対だよ……‼」


目から雫が垂れ落ちる。


「ああ……‼ ありがとう。俺がいなくてもチーム『オリエット』は永久不滅だっ‼」


やべぇ……。

この世界に超残りてぇ……。

ちょっと前までは平凡大好き人間だったけど、この世界に住んでから、1ヶ月足らずで非日常も好きになったからな。


アクア、セシル、ルナ、レイン、ハイネ先輩やミレイユちゃん達、それに各ブロックの総隊長達に獣人族のみんな。


俺は沢山の人に助けられてきた。

そのお礼を……したい‼


「今までありがとうございました‼ みんなとの出会いは一生忘れません‼」


マイクが割れるほどの大声で叫んだ俺は、扉のほうに向かい背を向けながら歩き振り返ることはなかった。



【異空間】


「起きたか、白石悠馬よ」


「ここは……っ‼ てめぇは……‼」


「ふっ‼ 気が付いたか。久しぶ――『死っねぇぇぇバカ神!!』ぐげりゃべしゃ‼」


訳わからない声とともに吹き飛ぶ老人。

それはグラニデに行く前にみた老人と瓜二つだった。

俺は、老人になんて興味が無いので先に進むことにした。


「って待てバカ白石‼ 神を殴り倒しておいて無視して進むとは何事じゃ‼」


「相変わらずうるせぇな……。まっいいや。何か用か?」


「コホン、よくぞここまで戻ってこれたな。ワシは二度と戻ってこれないと思っていたのじゃが」


「けっ‼ そう簡単に死んでたまるかってぇーの。あっちの生活も楽しかったぜ」


悪態をつきながらも、故郷(にほん)に戻ってこれたことを、内心喜んだ。


「そうか……。本当にすまなかった‼」

「やっ、やめてくれ‼ お前そんな柄じゃないだろ⁉」


土下座をする神様なんて始めて見たぞ……。


「いや、しかしだな……。今回は完全に私達神様の間違い(ミス)のせいだからの……」


「さりげなく他の神様方巻き込んでんじゃねぇよ」


お前1人のミスだろ。


「いちいち癇に障る奴じゃの、お前は……。まぁよい。もうお前さんと会うことはないじゃろ」


「そうか……。なら最後に一つだけ聞いていいか?」


「なんじゃ?」


「また地球からグラニデに行くことは出来るのか?」


「それは神のみぞ知る――冗談じゃ‼ 冗談‼ そんな怖い目で見なくても……そうじゃな。可能性はあると言っておこうかのぉ」


ニヤリと笑ったバカ神の笑顔を最後に意識が飛んだ。



【日本 愛知県】


「どうやら戻ってきたみたいだな……」


騒々しい車のエンジン音やそびえ立つホテルなど都会らしさが妙に懐かしく思う。


俺本当に異世界に言ってたんだな……。


「ここは……ああ、家の近くのコンビニか。ちょうどいいや、今は何年何月何日なんだ?」


異世界物って帰ったら、すごい時間が経ってることあるもんな。



「……半日しか経ってないじゃないか」


時刻は8時か。

このまま帰るのもあれだし、いつもの河原に行くか。




俺は河原に着くなり、電灯の元で手紙を読むことにした。


「ん? 何だこの線達は……」

まてよ。小学生ぐらいの時、こういうの流行ったな……。

確か繋ぎ合わせるんだっけ?



「……はははっ、あいつららしいや。返事は……口でいいか。勿論俺も大好きだから」


届くはずのない手紙の返事を呟やいて自分の家へと帰った。


線が書かれたそれぞれの手紙をつなぎ合わせたら大きな字でこう書かれていた。


大好き、と。

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