第72話 ルペッタ遺跡へ
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では、前回の続きへGO‼
◆ ◆ ◆
あの日から数日がたつ。
ユウ「アクア~。今日の飯は~?」
アクア「あれ? 今日はみんなで鍋パーティーやるんじゃないの?」
ルナ「場所は確か私の家でしたよね?」
ユウ「ごめん、俺そんな約束した覚えがないんだけど」
ルナ「えっ、でもユウ君の声だったんですけど……」
ユウ「バカ猫ぉぉぉぉーーー‼」
こうなったら、道ずれだ‼
地獄に行くのは道ずれ、友に情けなしって言うもんな。
※言いません。
所変わってルナの家。
どうやら闇鍋をするらしく、部屋の中は暗く台所だけ明るい。
アクア「それじゃ、始めるわよ~‼ 一人一つ台所から食材を持ってきて入れてね」
ルナ「食材は台所のまな板に置いてありますから、好きなの使って下さい~」
レイン「なんでこんな目に……」
セシル「もう食べれる物になるよう祈るしかないよ……」
ユウ「えっと、まな板の上……まじか」
レイン「まともな物が一つもねぇ‼」
セシル「洗剤にタワシにスポンジ…etc。掃除するわけじゃないんだから……」
でも所々ワサビとか醤油があるのは嬉しい。
具材じゃないけど、調味料として使える。
レイン「トマトもあるぞ」
セシル「これ絶対ネタだよね。流石に食べられるものくらい分かるでしょ」
ユウ「んじゃ、まな板の上を整理して行きますか」
戦場に……。
明くる日の朝午前7時。
俺達チーム『オリエット』は完全に準備を整えて、町の中央広場と思わしきとこに集まった。
「カバンの中がすごいパンパンだな……」
「そりゃあんなに荷物を渡されたら、こうなるでしょ」
「おめぇーー」
ルナなんかポーチなのによく入ったなぁ……。
「勿論いくらかは抜きましたよ? 魔法特化種族に必要ない物もありましたから」
「俺なんにも言ってないんだけど……」
「勿論ユウ君の心の声です」
「俺にプライバシーの権利はないの⁉」
裁判所があったら、訴えてやる‼
「ルナちゃん。今度それ教えて」
「いいですけど、アクアちゃん“心読み”できなかったんですか?」
なんか技名みたいになってるんだけど……。
「たまにしか出来ないのよ」
「たまにでも出来るのかよ‼」
「ユウマとアクアさんのセリフがすごい似てるね」
「わりかしどうでもいいことだな」
「なら今度教えますね♪」
意気揚々と死刑宣告に等しいことを話すルナ。
これは何としても阻止しなければいけないな。
じゃないと今後の俺の生活が酷いことになるだろう……。
俺は軽く想像したが、涙が出てきそうになったので止めた。
『皆さんおはようございます』
どうでもいい話をしていたら、アフロディーテーさんがやって来た。
上品で優しさを漂わせる天使の微笑みを見るだけで、腕立て500回はいける。
「準備出来たんですか?」
『ええ、ですが我が村の兵士20人ほどでよかったのですか? もっと兵士はいるのですが……』
「いえ、この作戦はあまり人数が多いと不利です。だからこの人数で充分です」
「で、その作戦は?」
「早く教えろよ~」
この作戦と言うのは、セシルが考案したもので、誰かに盗み聞きされるかもしれないということで、直前まで内容は教えないことになってた。
「それじゃ説明します‼ 兵士さんもこちらへ」
セシルはホワイトボードを取り出し、ペンを走らせた。
兵と書かれたものは、ゴチャゴチャに配置されている。
「まず、兵士さん達にはロニ達の注意を引いてもらいたい」
「どうしてそんなことするんだ? それよりみんな一気に行った方がいいだろ? 戦力分散よりかは」
レインの疑問はかなりマトを射ていると思う。
多勢に無勢っていう言葉もあるくらいだし。
「確かにそうだけど、戦力分散してでもやっておきたいことがあるんだ。一つは、罠の確認。これはバラバラの方が、いざという時被害は最小限になるよね? もう一つは、【雪原の奇跡】っていうのは広いらしいから、中々ロニ達を見つけれないかもしれないでしょ? だから、おびき寄せるという意味も含まれてるんだ」
セシルは淡々と説明した。
確かにかなり理論的な作戦でセシルらしい。
「成る程……流石セシルだぜ‼」
「やっぱりリーダーはセシルね」
「おーい、俺がリーダーだぞー」
「冗談に決まってますよぉ~♪」
「そっ、そうだな……」
「もっ、もちろん冗談に決まっているわよ‼」
「ルナ、こいつらの顔引きつってるんだが……」
「………………」
「なんで気まずそうに目をそらすんだよ‼」
何この仕打ち。俺なんかした⁉
「んじゃ、そろそろ出発するとするか‼」
『はっ‼ いつでも出発できます‼』
さて、最後にリーダー? らしいことをしとくか。
「いいか、これが最後の闘いになる。みんな気抜くんじゃねぇぞ‼」
「分かってるわよ」
「もちろんだよ」
「何回も困難に立ち向かってきたからな」
「今さら気を抜けってほうが無理ですぅ~~‼」
みんなやる気は、バッチリなようだな。
よーし、やってやるぜ‼
「チーム『オリエット』いざ、出陣‼」
「「おぉーーーー‼‼」」
◆ ◆ ◆
【雪原の奇跡 紅葉の木】
「これがアフロディーテーさんの言ってた雪原の奇跡の紅いモミジ
の木か……」
辺り一面真っ白なのに、目の前にあるモミジの木だけが紅色に紅葉してる。
確かに奇跡だな……。
『ここをもう少し進むと“ルペッタ遺跡”があります‼ そこに奴等がいるはずです』
「ありがとう兵士さん。まずこのまま兵士さんが先に突入して、作戦通りのことをしよう。そしてこの通信機で連絡をとろう」
セシルは通信機を兵士に渡した。
いつのまに用意してたんだ……。
どろけいの時は、ダンジーの――もとい男子生徒Gの奴から借りてたしな。
『それでは行ってまいります‼』
「よろしく」
兵士達はスタスタと遺跡へ向かっていった。
「さて、俺達も頑張らなきゃいけないな‼」
「ユウマ……作戦前に一つだけ聞いていい?」
「なんだ?」
「何か……何か悩んでいることがあるんじゃないかしら?」
「アクア……」
アクアだけじゃない。
みんな心配そうな顔で俺を見ている。
やっぱり顔に出てたか……。
あの夜アクアが尋ねてきた時にはもう気付かれてたってわけか。
正直に言うべきか?
でも今ここで言ったら、この後の戦いに何らかの支障をきたすかもしれない。
ならここは黙ってる方が得策か?
「俺は別になにも……」
「嘘は聞きたくないよ」
「本当のことを言って下さい」
こりゃ言わなきゃいけないな……。
俺がロニとの決着をつけたら元の世界に帰ろうとしていることを。
「実は――『プルプルプルー』……なんの音だ?」
「通信機の音だよ。……『はいもしもし』」
人が折角勇気だして言おうとしたのに……。
『大変です‼ 奴らが待ち伏せをしていました‼ 罠は無かったのですが奴らが強すぎて――ぐはっ‼』
『プープー』という通信機が切れた音しかしない。
恐らく誰かにやられたのだろう。
「事態は思ったより深刻だな……‼」
「これが終わったらちゃんと話してね」
「分かったぜ」
「早く行かないと兵士さん達が……‼」
「急ぐよ‼」
兵士さん達の無事を祈りつつ、俺たちはルペッタ遺跡へと向かった。
ちなみに前日のルナちゃん。
ルナ「えっと、キュウリとかツインダケとか切ったりしてゴミが出たり汚れたりするといけないから掃除道具置いとかなきゃダメですよね。分かりやすいようにまな板の上に置いときましょ~~」
天然だったり。




